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トランプ政権後に残るものは?「相互関税」の真意と日本の取るべき道を考える(窪田真之)

2025/8/2 8:00

 トランプ大統領は世界を驚かす命令を連日出し続けています。とはいえ「米国のことしか考えず、朝令暮改で混乱を招いている」と批判するだけでは問題は解決しません。彼の真意を冷静に分析する必要があります。トランプ大統領の立場から考えて、日本の取るべき道を考えます。

目次
  1. トランプ大統領の懸念:「双子の赤字」拡大、このままでは取り返しのつかないことに
  2. トランプ大統領の内政:低所得者層・労働者層の「反感」を利用
  3. 日本はどう対処すべきか?トランプ政権後に残るもの

トランプ大統領の懸念:「双子の赤字」拡大、このままでは取り返しのつかないことに

 膨張を続ける米国の「双子の赤字」(貿易赤字・財政赤字)。結果として、米国は世界最大の対外純負債国【注】となっています。

【注】「対外純負債国」とは
 海外に保有している資産を「対外資産」、海外から借り入れている負債を「対外負債」と言います。対外負債が対外資産を上回る国が「対外純負債国」です。米国は世界最大の対外純負債国です。一方、対外資産が対外負債を上回る国は「対外純資産国」と言います。

<対外純資産と対外純負債のランキング:2024年末>

対外純資産と対外純負債のランキング:2024年末
出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成

 トランプ大統領は、拡大する米国の「双子の赤字」は放置すると取り返しのつかないことになると考えたようです。米国は世界最大の借金国で、日本や中国が大量の米国債を保有しています。日本は友好国ですが、中国のように米国と敵対する国に巨額の米国債を持たれているのに不安があります。

 対外純資産で世界の1位、2位、3位に並んでいるのは、米国から巨額の貿易黒字を稼ぎ続けてきた国です。それが、ドイツ、日本、中国です。特に、中国は今でも対米で巨額の黒字を稼ぎ続けています。

 中国を第一のターゲットとし、それに続いて、日本、ドイツ(欧州連合:EU)、メキシコ、ベトナムなど、対米で貿易黒字の大きい国全てをターゲットとして関税引き上げを一方的に宣告しました。

 全ての国に「相互関税」という言葉を使っています。関税率の高い国に対してそれと同等の関税を課すという意味ですが、詭弁(きべん)です。インドやベトナムや韓国のように実行関税率の高い国に対して言うならば分かりますが、日本のような低関税の開かれた国に対して「相互関税」という言葉を使うのは不当です。

「関税率が高かろうが低かろうが、対米で貿易黒字を稼いでいる以上、なんらかの不公正がある」という詭弁で、日本に対しては「非関税障壁」を根拠とし、さらに米(コメ)など取引量の小さい一部商品の高関税を問題とする戦略を使っています。

 トランプ大統領の狙いは、貿易赤字の削減であり、また経済活性化のための大型減税の継続も重要な目標です。大型減税の財源として関税収入を増やすことは不可欠です。どのような詭弁を使ってでも、全ての貿易黒字国に対して高い関税を課すのは既定路線と思われます。

 トランプ大統領は、さまざまな政府機関や国際機関への補助金や協賛金も、次々とカットしています。海外での防衛協力も縮小の方向をはっきり打ち出しています。

 貿易赤字だけでなく財政赤字まで含めて、米国の「双子の赤字」と徹底的に戦っていると言えます。

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