日米に続き、EUも米国との関税交渉で合意。しかし、いずれも合意文書は未発表のまま。詳細について双方の発表内容が相違しており、今後、もめる可能性も残る。日本にとって最悪のシナリオは回避され、世界景気ソフトランディングの可能性が高まったと考え、年末日経平均4万4,000円の予想を解説する。
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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日米に続き、米EUも関税合意、どうなる日経平均?」
米国との関税交渉、EUも合意
トランプ米大統領とフォンデアライエン欧州委員長は7月27日、米・欧州連合(EU)関税交渉で合意に達したと発表しました。22日に発表された日米合意と、内容がよく似ています。日米合意がEUに対する圧力となり、EUは米国との合意を急がざるを得なくなったと思われます。
日米合意と、米EU合意の内容を比較します。
<日米・米EU通商交渉の合意内容比較>
【1】日本への自動車関税15%がドイツ・韓国への圧力に。メキシコ・カナダはどうなる?
日本への自動車関税が15%になったことが、EUにとって圧力になったことは間違いありません。日本だけ自動車関税が下がると、ドイツ車の輸出に不利になるからです。EUへの自動車関税も15%に下がるように交渉を急ぐ必要が生じ、EUがかなり妥協する形で合意となったと思われます。
今回、日本とEU(ドイツ)の自動車関税が15%に下がることになったので、韓国にかなりの圧力がかかります。このままでは韓国車の輸出に圧倒的に不利になるからです。韓国もかなり妥協して自動車関税を下げてもらうしか選択肢がないと思われます。
ただ、韓国の問題は自動車関税だけではありません。米国向け鉄鋼輸出も大きく、鉄アルミ関税50%の引き下げ交渉にも注力しています。韓国にとって、対米交渉はかなり難しい局面になったと考えられます。
次に問題になるのが、メキシコ・カナダへの自動車関税です。表面的には25%に据え置かれており、そこを米国自動車業界が問題視しています。「日本からの自動車輸出が関税15%で、メキシコ・カナダからの自動車輸出が25%では、日本が有利になり過ぎる」と主張して、米政府に抗議しています。
メキシコ・カナダからの自動車輸出には、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)による減免措置もあるので、実効税率はそれほど高くありません。それでも米国自動車業界からの抗議に、米政府も配慮が必要になるかもしれません。
メキシコからの輸出が大きい米国自動車大手「ゼネラルモーターズ」(GM)がロビー活動を通じて、トランプ政権に圧力をかけると考えられます。GMのロビー活動が成功してメキシコ・カナダの自動車関税も15%に下がれば、トヨタ・ホンダ・マツダなど日本の自動車メーカーに大きなメリットとなります。日本メーカーもメキシコ・カナダからの輸出が大きいからです。
自動車関税が最終的にどうなるか、先行き予断を許しませんが、日本の自動車メーカーにとって最悪の事態は回避され、なんとか自動車関税のダメージを克服していける道筋が見えてきたといえます。
【2】合意文書が発表されていないことに不安
日米合意も、米EU合意も、合意文書が発表されていません。フォンデアライエン委員長は「合意の詳細は、今後明らかになる」としていますが、重要な項目で双方の説明に食い違いがあり、このままでは実行段階で問題が起こるでしょう。
医薬品関税・鉄鋼アルミ関税について、EUと米国の間で、合意内容の理解が異なります。米国は、鉄鋼アルミへの関税50%を維持するとともに、医薬品への関税率を将来50%へ引き上げる方針です。フォンデアライエン氏は、医薬品・半導体・自動車を含む全ての関税がEUに対して15%になるとともに、金属への課税も引き下げることで合意したと解釈しています。今後、詳細を詰める段階で問題となる可能性があります。
日本との合意でも問題になりそうな項目がたくさんありますが、特に重要なのは、対米5,500億ドル投資の詳細です。米国側の説明では、「トランプ大統領の指示で日本がどんな案件にも投資する」となっていますが、実際にはリスクが高すぎる投資(アラスカでのエネルギー開発投資など)は、日本は断る可能性があります。
「日本による投資で、米国が利益の90%を取る」という米国側の説明は誇張だったと考えられます。日本政府の説明では、「日本の政府系金融機関が出資する場合は最大10%まで。その場合、政府系金融機関の取り分は10%で残り90%は日米の民間出資者の取り分になる」ということです。日本政府の説明が正しいと考えられます。
日本、EUが米国と関税合意。日経平均急騰だが最悪シナリオは回避できたのか?(窪田真之)
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