6月米雇用統計は鈍化予想。NFPは11万人増、失業率4.3%と予測。FRBはデータ次第で利下げを検討、7月会合で動きも。シナリオは3つ。予想通りなら年内2回利下げ、大幅減速なら7月利下げも。上振れなら利下げ後退。結果次第で円高リスクも。
6月雇用統計の予想
米国の雇用市場の現状はどうかといえば、まだまだ力強さを維持しています。しかしトランプ関税の影響もあって拡大ペースは確実に勢いを失いつつあります。労働力不足は引き続き問題となっていますが、一方で求人件数は今年の初めから減り続けています。「人手不足でリストラはできない。でも業務拡大もできない」という企業の実情を反映しています。
米労働省労働統計局(BLS)が7月3日に発表する6月雇用統計では、非農業部門雇用者(NFP)は、11.4万人増加予想となっています。前回5月実績の13.9万人増に比べて減る見込みです。製造業など、トランプ関税の影響を受けやすい業種での雇用創出の鈍化が伸び悩みの原因となっています。
2024年8月以降、失業率は4.0~4.2%の狭いレンジ内で推移してきましたが、6月は4.3%に0.1ポイント上昇する予想となっています。失業保険の継続件数は3年半ぶりの高水準にあり、このデータは今回の雇用統計に算入されます。
平均時給は、前月比で0.3%増の予想です。前月の0.4%増よりも若干下落する見込みです。また、前年同月比では3.8%増の予想で、前月実績である3.9%増からやや減速の見通しです。

雇用統計 シナリオ分析
米連邦準備制度理事会(FRB)は現状、トランプ関税によって「米経済の不確実性」がさらに上昇していると判断して、インフレと成長の両方のリスクを注視する「様子見モード」に入っています。
先月6月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利を4.25~4.50%で据え置く決定がされました。しかし、次回7月30日の会合では「動きがある」との予想が広がっています。
FRBは金融政策について「データ依存型」のアプローチを重視しているため、雇用統計の悪化は利下げの根拠になるというものです。FRBがトランプ大統領に忖度(そんたく)して早めに金利を引き下げてみせることも考えられます。
FRBは最大雇用と物価安定という、二大使命(デュアル・マンデート)を負っています。現在の雇用市場はほぼ完全雇用の状態であるため、最大雇用の使命は達成されているといっても良いでしょう。しかし物価安定(インフレ)に関しては、低下傾向にあるとはいえ、目標とする2%は5年間未達のままです。
そのため、インフレ圧力再燃の兆候が見えた場合は、雇用データが多少弱くても利下げに慎重になるとの見方もあります。このように、今回の雇用統計は、FRBが今後の金融政策を決定するための重要な判断材料になります。そのためマーケットの注目度も高まっています。
雇用統計の結果によって、FRBの金融政策はどう変化すると予測されるでしょうか。

シナリオ1:結果が予想通りの場合
非農業部門雇用者の増加数(NFPが市場予想通り(11.4万人増)、失業率が4.3%以下、賃金上昇率が予想通りの場合、現在の見通しがほぼ維持されるでしょう。7月利下げに踏み切るほど雇用市場は弱くないとの判断になるでしょうが、減速傾向が確認されることで、9月以降の利下げ確率は高まるでしょう。
この場合、年内2回以上の利下げが実施される可能性があります。
シナリオ2:結果が大幅減速の場合
NFPが市場予想を大きく下回り(例えば10万人以下)、失業率が4.3%以上、賃金上昇率が予想を下回る場合、雇用市場の冷え込みが鮮明になったとして、7月の利下げが検討されることになるでしょう。この場合、年内利下げ回数は大きく増え、2回の利下げが実施される可能性もあります。
雇用の減速が確認された場合は、FX市場にも影響を与えます。長期金利の低下によって円高圧力が強まり、またドルインデックスの下落拡大の可能性が高まると考えられます。
シナリオ3:結果が上振れの場合
NFPが市場予想を大きく上回り(例えば15万人以上)、失業率が4.2%未満、また賃金上昇率が4.0%を超える場合は、雇用市場に不安がないことを示しているので、FRBは物価の安定(インフレ)に政策をフォーカスしていくでしょう。7月(FOMC)の利下げ可能性はほぼゼロになり、年内の利下げ回数も1回から2回程度に限定される可能性が高まります。

6月雇用統計の注目ポイント 雇用統計三つのシナリオ予測。「米利下げで円高」リスクもあり? 6月米雇用統計 詳細レポート
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