トヨタ・ホンダは「買い」と判断。米国の自動車関税で短期的に大きなダメージを受けるが、2~3年かけて克服すると予想。なおトヨタは、EV・自動運転技術開発で米国テスラや中国BYDに遅れをとったが、これから巻き返すと予想。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【日本株】トヨタ・ホンダの未来に強気。トランプ関税直撃どうなる?」
トランプ関税が自動車産業と鉄鋼産業を直撃
日米関税交渉がどう決着するか予測不能です。ただ、今までに聞こえてきた話から推測する限り、
【1】相互関税上乗せは「無し」にできると期待される。全世界に課した基本税率10%だけで済む可能性がある。
【2】自動車関税、鉄鋼アルミニウム関税は免除されない可能性もある。発動済みの25%の追加関税が続くとダメージは大きい。
最終決着は予測不能ですが、上記【1】【2】が続くとして自動車業界・鉄鋼業界への影響を考えてみます。
トヨタ(トヨタ自動車:7203)は自動車関税の影響を、4~5月の2カ月分だけ見積もり、営業利益にマイナス1,800億円の影響と予測しています。その前提で、今期(2026年3月期)営業利益は、前期比20.8%減の3兆8,000億円と予測しています。
トヨタ自動車の連結営業利益:2021年3月期~2026年3月期(会社予想)

自動車関税が2カ月で済まず1年間マイナスが続くと、単純計算では、さらに9,000億円のマイナスが出て、合わせて1兆800億円のマイナスとなります。
一方、ホンダ(本田技研工業:7267)は、1年間トランプ関税のマイナス効果が続く前提で、年間マイナス6,500億円の効果と試算しています。それを前提に、今期の連結営業利益は、前期比58.8%減の5,000億円と予測しています。
これだけ巨額のダメージが予測される割には、決算説明では両社とも「冷静」と感じました。両社の米国現地生産比率が高いこと、ハイブリッド車が米国で高人気であることが、両社の冷静さにつながっていると思います。
トランプ関税は、世界中の自動車メーカーに重大なダメージを与えます。米国のフォード(フォード・モーター:F)やゼネラル・モーターズ(GM)もダメージを受けます。GMは、赤字に転落するリスクがあります。トランプ関税の最大の犠牲者は米国のGMになる可能性もあります。
そうした中、トヨタ、ホンダは赤字にはならないのではないかと予想されます。相対比較ではダメージが小さく、有利な立場にあります。トヨタは、3年くらいかければトランプ関税の影響を克服していけると、私は予想しています。従って、現在の株価で、トヨタ、ホンダとも買いと判断しています。
トヨタ・ホンダ株価指標:2025年5月26日
コード | 銘柄名 | 株価 (円) |
配当 利回り |
PER (倍) |
PBR (倍) |
1株当たり 配当金 (円) |
---|---|---|---|---|---|---|
7203 | トヨタ | 2,621.5 | 3.6% | 11.0 | 1.0 | 95.0 |
7267 | ホンダ | 1,406.5 | 5.0% | 23.7 | 0.5 | 70.0 |
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成 |
トヨタ・ホンダは「買い」判断、トランプ関税直撃でも日本車の未来に強気な理由(窪田真之)
- 今回のレポートはいかがでしたか?
- コメント
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 詳細こちら >>