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米中対立緩和でドル/円は148円台まで上昇、遠い150円の壁

2025/5/14

 米中貿易協議が進展し、ドル/円は一時148円台半ばまで上昇しました。しかし、関税引き下げは暫定措置で、今後の協議次第では再び対立が激化する可能性も。日本や他国との協議はこれからであり、為替や日銀の利上げ要請の可能性など、市場の警戒が予想されます。

目次
  1. 米中貿易協議は進展するも油断禁物?FRB利下げ期待は高まるか
  2. 日銀は利上げ維持か?ドル/円、150円の壁

米中貿易協議は進展するも油断禁物?FRB利下げ期待は高まるか

 ドル/円は、日本のGWが明けるとトランプ関税を巡る協議が進展したことを受けて、145円台を抜けて148円台半ばに乗せました。

 5月1日の日本銀行金融政策決定会合では予想通り据え置きとなりましたが、展望レポートの成長・物価見通しが下方修正されたことや、植田和男総裁の会見での利上げ慎重姿勢が示され、「ハト派的な据え置き」となりました。

 また、5月7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文で「経済見通しの不確実性がさらに高まった」として、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「利下げを急ぐ必要はない」と改めて強調する「タカ派的な据え置き」となりました。

 そして8日の米英貿易協定の締結合意や米中貿易協議進展の期待を受けてドル買い戻しが優勢となり、先週のドル/円は145円台を回復しました。

 さらに10~11日の米中閣僚級協議では、米国側代表のベッセント財務長官は「非常に重要な貿易協議において『著しい進展』があった」と述べ、中国側代表の何立峰(ホー・リーフォン)副首相は「『著しい進展』があり、今後の協議に向けた枠組みを設けることで両国が一致した」と述べ、共同声明の発表を約束しました。

 週末の協議進展を受けて、週明けオセアニア市場では146円台に乗せて始まりました。

 そして12日に発表された米中の共同声明では、追加関税を相互に115%引き下げる内容でした(115%のうちの24%は撤廃ではなく90日間停止措置)。この結果、米国の対中関税は145%から30%に、中国の対米関税は125%から10%となる内容でした。

 市場はこの共同声明を好感し、ダウ工業株30種平均は1,000ドルを超える上昇となり、ドル/円は148円台半ばまで円安となりました。

 このように米中貿易対立の緩和期待で株やドルは上昇しましたが、今回の関税引き下げは暫定措置で、今後5月14日から協議が継続されるとのことです。もし、最終合意しなかった場合は、再び関税の応酬が繰り返される恐れもある点には留意する必要がありそうです。

 また、欧州連合(EU)や日本、その他の国々との協議はこれからであり、対EUとの交渉は手こずることも予想されます。日本との交渉では、為替が議題に上がるのではないか、あるいは日銀の利上げ要請があるのではないかと常に市場は警戒することが予想されます。

 これらのことを勘案すれば、米中対立緩和で株は一気に4月2日の相互関税発表前の水準に戻りましたが、ここから先は楽観論だけで上昇するのは慎重になるかもしれません。ドル/円は2日の相互関税発表によって150円台半ばの円安となりましたが、その水準には届いていません。

 他国との追加関税協議が進展すれば、日米金融政策の変更期待も高まるかもしれません。トランプ関税の世界経済に及ぼす「不確実性」が日米中央銀行の据え置き理由になっていることから、関税協議進展によってこの「不確実性」が薄らいでいけば、日銀の利上げ、FRBの利下げが市場のテーマとして復活することが予想されます。

 対中関税協議の進展によって、景気や物価への楽観的見通しからFRBの追加利下げは後ずれするとの見方もありますが、関税交渉が緩和の方向で進展しても、現実的にはトランプ大統領就任前と比べると関税率は上がっていることから、企業や個人の大幅コスト負担になることに変わりはありません。

 企業が関税によるコスト増を価格競争で優位に立つために商品に転嫁しなければ、企業の業績圧迫要因となります。また、企業の投資行動も慎重になることが予想されます。企業がコスト負担を商品に転嫁すれば、個人消費は抑制的になることが予想されます。

 それらの影響が実体経済に反映されてくると、FRBへの利下げ期待は高まることが予想されます。13日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)は、トランプ関税の影響が懸念されていましたが、前年比2.3%と予想を下回り、4年ぶりの低い伸びとなりました。

 原油価格の低下もあって、物価の伸びが鈍いのであれば、FRBの政策は物価から雇用に軸足が移る可能性があります。FRBの利下げ期待の高まりが、ここから先のドル/円の上値を重くすることも予想されます。

日銀は利上げ維持か?ドル/円、150円の壁

 日銀はどうでしょうか。日本の場合は、追加関税は企業業績の方により影響が及び、賃金と物価の循環が抑制的な動きになるかもしれません。そうなれば、日銀の政策変更はFRBよりも慎重な動きになるかもしれません。

 ただ、展望レポートでは、成長も物価も下方修正されましたが(2025年度国内総生産(GDP)1.1%→0.5%、CPI2.4%→2.2%)、その見通し通りであれば、利上げ姿勢は維持するとのことです。日本に対する追加関税の影響も経済指標をみながらの判断となりそうです。

 16日には、日本の1-3月期GDPが発表されます。予想は実質年率でマイナス0.1%とのことですが、この結果を受けて先行きのGDPをどのように予測するのか注目です。

 日米の経済環境をみると、日米の金融政策に動きが出てきた場合、FRBの方がよりドルの動きに影響を与えそうです。

 また、13日には、加藤勝信財務相は閣議後の記者会見で20日から開催予定のG7財務相・中央銀行総裁会議に合わせてベッセント米財務長官との為替協議を検討していることを明らかにしました。

 円安是正を要求してくるのか、どのような協議になるか分かりませんが、米4月CPI(2.3%)は日本の3月CPI(3.2%)と逆転している物価状況から、ベッセント米財務長官は日銀の利上げ余地を指摘してくる可能性もあるかもしれません。市場の警戒心は20日が近づくにつれて高まることが予想されます。

 ドル/円は140~145円のレンジから、145~150円のレンジに移りましたが、貿易協議の進展や経済実態に及ぶ追加関税の影響、日米為替協議への警戒から150円は届かず、145円を挟んだ展開になるかもしれません。

 一方で、15日のトルコでのロシア・ウクライナ会談にも注目です。両国の首脳会談になるのかどうか、トランプ大統領は参加するのかどうか注目です。

 4月26日のバチカンでのトランプ・ゼレンスキー会談が伏線になって、三者による首脳会談によって停戦合意となれば、ユーロ上昇→ユーロ/円上昇となり、ドル/円の円売りをサポートするシナリオにも留意しておいた方がよさそうです。

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