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東京エレクトロン:楽天証券は目標株価を引き上げる。中国に再注目

2025/5/12

 東京エレクトロンの2025年3月期4Qは、19.8%増収、26.6%営業増益。会社側は今期を上期は減収減益、下期から回復と予想。楽天証券では、中国のAI半導体増産を見て、中国向けに再度注目している。目標株価を引き上げる。株価の戻りに期待したい。

目次
  1. 1.東京エレクトロンの2025年3月期4Qは、19.8%増収、26.6%営業増益。
  2. 2.会社予想では今上期は減収減益、下期から回復へ
  3. 3.東京エレクトロンの今後6~12カ月間の目標株価を前回の2万3,000円から2万6,000円に引き上げる

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
決算レポート:東京エレクトロン(2026年3月期会社予想は一桁増収増益)

毎週月曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄東京エレクトロン(8035、東証プライム)

1.東京エレクトロンの2025年3月期4Qは、19.8%増収、26.6%営業増益。

 東京エレクトロンの2025年3月期4Q(2025年1-3月期、以下前4Q)は、売上高6,554.02億円(前年比19.8%増)、営業利益1,837.98億円(同26.6%増)となりました。2025年3月期3Q決算発表時の会社予想、売上高6,238.34億円(同14.0%増)、営業利益1,664.79億円(同14.6%増)を上回りました。前3Q比では売上高0.1%増、営業利益7.9%減となりました。

 半導体製造装置の新規装置売上高の中身を見ると、DRAM向けは前3Q1,787億円から前4Q1,864億円へ増加しました(会社側開示の売上構成比より楽天証券計算)。HBM向けの大型投資が続いている模様です。不揮発性メモリ(主にNAND)は同408億円から605億円へ低水準ながら回復しました。一方で、ロジック・ファウンドリ・その他向けは同2,910億円から2,570億円へ減少しました。2025年後半から量産開始予定の2ナノの初期投資が一服したと思われます。

 地域別売上高を見ると、台湾向けは前3Q1,193億円から前4Q1,358億円へ増加しました。AI半導体向け、先端ロジックが増加したと思われます。韓国向けは同1,145億円から1,470億円へ増加しました。HBM向けの増加が寄与したと思われます。一方で、中国向けは同2,794億円から2,246億円へ減少しました。成熟ロジック中心に減少した模様です。

 これによって、2025年3月期通期は売上高2兆4,315.68億円(前年比32.8%増)、営業利益6,973.19億円(同52.8%増)と好調でした。年度ベースで装置別売上高(表4)を見ると、コータ/デベロッパ、エッチング装置、成膜装置、洗浄装置が大幅増となりました。特にエッチング装置では、DRAMで最も難しいキャパシタエッチング工程において、大手顧客の量産POR(Process of Record。顧客生産ラインでの承認)を独占できたこと、ロジックやHBM向け先端パッケージの配線工程でエッチング装置の需要が拡大したこと等の成果がありました。また、その他の中のウェハボンダー(HBMを生産するときにウェハ同士を仮接合する工程で使う。東京エレクトロンが市場シェアの大半を占めている)は2024年3月期100億円以上だったものが2025年3月期は約300億円になりました。

表1 東京エレクトロンの業績

東京エレクトロンの業績
株価 22,555円(2025/5/9)
発行済み株数 458,110千株
時価総額 10,332,671百万円(2025/5/9)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

グラフ1 東京エレクトロンの売上高と営業利益

東京エレクトロンの売上高と営業利益
単位:100万円、四半期ベース、出所:会社資料より楽天証券作成

表2 半導体製造装置のアプリケーション別売上構成比と売上高(新規装置のみ)

半導体製造装置のアプリケーション別売上構成比と売上高(新規装置のみ)
単位:%、億円
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:売上高は会社公表の売上構成比から楽天証券計算。
注2:2021年4-6月期からは新収益認識基準。

表3 東京エレクトロン:半導体製造装置の地域別売上高

東京エレクトロン:半導体製造装置の地域別売上高
単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:端数処理の関係で合計が合わない場合がある。
注2:2021年4-6月期からは新収益認識基準。
注3:2023年4-6月期よりFPD売上高を含む。

表4 東京エレクトロン:半導体製造装置(新規装置)の製品別売上高

東京エレクトロン:半導体製造装置(新規装置)の製品別売上高
単位:億円、%
出所:各期決算説明会資料記載の売上構成比より楽天証券試算。

2.会社予想では今上期は減収減益、下期から回復へ

 2025年3月期業績は好調でしたが、会社側では2026年3月期通期業績を売上高2兆6,000億円(前年比6.9%増)、営業利益7,270億円(同4.3%増)と一桁増収増益と予想しています。

 会社予想では今上期を売上高1兆1,500億円(同2.5%増)、営業利益2,880億円(同8.3%減)、今下期を売上高1兆4,500億円(同10.7%増)、営業利益4,390億円(同14.5%増)としています。会社側によれば、前下期にAIサーバー向け先端投資の前倒しや中国向けの前倒しがあったため、今上期は一服感があると予想されますが、今下期には回復すると思われます。

 会社側では今後の回復時の牽引役を、AI半導体、HBM、最先端ロジックと予想しています。AI半導体は、2026年に微細化が現在の4ナノから3ナノに転換すると会社側は予想しています。HBMも現在の8層から、12層、16層へと技術進歩することによって、製造装置需要が刺激されると思われます。最先端ロジックでは2025年後半に量産開始予定の2ナノの増産投資が2026年に予想されます。

 楽天証券では、2026年3月期を会社予想と同じ売上高2兆6,000億円(前年比6.9%増)、営業利益7,270億円(同4.3%増)、2027年3月期を売上高2兆9,000億円(同11.5%増)、営業利益8,300億円(同14.2%増)と予想します。

 私はそう遠くない時期に生成AIブームが一服する可能性があると考えています。そのため、中国を除く自由世界のAI半導体の成長率は2025年暦年はまだ高いものの、2026年暦年には鈍化する、または減少する可能性があると予想しています。一方で、中国ではDeepSeekの登場がきっかけとなってAI産業が勃興し始めているため、AI半導体の生産が盛んになっています。そのため、東京エレクトロンの中国向け製造装置は2026年3月期にこれまで予想されていたほどは減少せず、2027年3月期には回復する可能性があると予想しています。

 ただし、これは米国の対中国半導体製造装置輸出規制が今以上に厳しくならないことが前提となります。

 また、トランプ関税の影響については、現状では米国向け売上構成比が低いため業績への大きな影響はないと思われます。ただし、今後米国内での半導体工場建設が活発になったときに米国が半導体製造装置の輸入に対して高率関税をかけた場合は、東京エレクトロンの業績と市場シェアに影響が出る可能性があります。その場合に備えて、会社側は研究開発費を増やし、競合他社に対する競争力を強化する方針です。

表5 中国向け売上高

中国向け売上高
単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成。予想は楽天証券。

表6 半導体製造装置のアプリケーション別売上構成比と売上高(新規装置のみ)(年度ベース)

半導体製造装置のアプリケーション別売上構成比と売上高(新規装置のみ)(年度ベース)
単位:%、億円
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:売上高は会社公表の売上構成比から楽天証券計算。
注2:2021年4-6月期からは新収益認識基準。
注3:端数処理のため合計が合わない場合がある。

表7 半導体製造装置のアプリケーション別売上構成比と売上高(新規装置のみ)(半期ベース会社予想)

半導体製造装置のアプリケーション別売上構成比と売上高(新規装置のみ)(半期ベース会社予想)
単位:%、億円
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:売上高は会社公表の売上構成比から楽天証券計算。
注2:2021年4-6月期からは新収益認識基準。
注3:端数処理のため合計が合わない場合がある。

3.東京エレクトロンの今後6~12カ月間の目標株価を前回の2万3,000円から2万6,000円に引き上げる

 東京エレクトロンの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の2万3,000円から2万6,000円に引き上げます。

 楽天証券の2027年3月期予想1株当たり利益(EPS)1,410.1円に、想定株価収益率(PER)15~20倍を当てはめました。

 楽天証券では2025年3月31日付け楽天証券投資WEEKLYにおいて、東京エレクトロンの目標株価を2万6,000円から2万3,000円に引き下げました。短期間で再び目標株価を引き上げることになりますが、これは中国向けが中国半導体メーカーのAI用GPU等の増産によって楽天証券が前回予想したほど減少せず、2027年3月期になると回復する可能性を考慮したためです。

 一方で、遠くない時期に生成AIブームが一段落する可能性があることから、AI半導体の成長率は2025年暦年は高い状態が続くものの、2026年には鈍化する可能性があると私は考えています。そのため、株価に一定の戻りが期待できると思われますが、中長期で投資できるかは今のところ不透明と思われます。

本レポートに掲載した銘柄:東京エレクトロン(8035、東証プライム)

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