2025年1-3月期も中国本土市場で苦戦、市場シェアの拡大戦略を維持へ
現地コード | 銘柄名 |
---|---|
01876 |
百威亜太控股 (バドワイザーAPAC) |
株価 | 情報種類 |
8.46HKD |
株価 企業情報 チャート |
アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2025年1-3月期決算(現地通貨建て、以下同じ)は、売上高が前年同期比7.5%減、調整後EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が同11.2%減だった。中国市場での消費者信頼感の低下と業界サイクルが引き続きビール消費に影響したものの、韓国とインドでは堅調を維持した。BOCIは2025年予想株価収益率(PER)20.0倍を当てはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
1-3月期には販売量が前年同期比6.1%減少した上に、平均販売価格が1.5%低下し、ビール総売上高は7.5%減少。調整後EBITDAは、韓国を主力市場とする「APAC(アジア太平洋)東」部門で24.4%増、主に中国とインドで構成される「APAC西」では17.6%減と、大きく明暗を分けた。粗利益率は0.5ポイント低下の51.0%。1ヘクトリットル当たりコストは3.9%低下したものの、平均販売価格の4.9%の低下が響いた。
同社の事業戦略は一貫しており、特に中国本土の主要地域においては市場シェアの拡大が最優先課題となる。経営陣は連休効果が4-6月期の売上高の改善に寄与する可能性を指摘する半面、中国のビール消費、特に業務需要は依然弱いとの認識。それでも長期視点ではプレミアム化の流れが進む見通しを示した。採算面では引き続き、製品構成のプレミアム化に加え、柔軟な価格調整とコスト管理の強化に焦点を当てる。
中国での1-3月期の売上高とノーマライズドEBITDA(一過性損益や非経常要因を除外)は12.7%減、17.1%減と、引き続き苦戦した。経営陣は「バド」というメガブランドとメガプラットフォームの活用(大型プロモーション活動、イベント開催、ブランド刷新など)や効率の向上(デジタル化、販路の最適化など)を業績回復につなげる方針。
一方、韓国市場での販売量は1-3月期に前年同期比2桁増に加速した。4月に発表した値上げに先立つ分散出荷が寄与。小売販売部門は家庭用、業務用の双方で存在感を高めた。「APAC東」全体の売上高は1-3月期に11.7%増。ノーマライズドEBITDAは24.4%の伸びを達成している。
BOCIは中国市場に対する経営陣の短期的な慎重見通しを反映し、2025-27年の予想売上高を3-5%減額修正。半面、1-3月期の単位粗利益が予想を上回ったとの理由で、ノーマライズドEBITDAマージンに関する予想を小幅に上方修正した。また、四半期ごとに下げ止まりつつある中国での売上高が向こう数四半期以内に底入れする見通しや、中国の消費セクターに対する投資心理の段階的な改善傾向を指摘。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。
レーティング面の潜在リスク要因としては、中国の消費者信頼度の回復遅延や市場競争の一段の激化、悪天候、コスト増、為替相場の変動などの可能性を挙げている。