2025年1-3月期決算の予想下振れも複数の好材料、米中関税戦争はプラスに
現地コード | 銘柄名 |
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01347 |
華虹半導体 (フアホン・セミコンダクター) |
株価 | 情報種類 |
35.25HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の半導体ファウンドリー大手、華虹半導体の2025年1-3月期決算は市場予想を下回り、失望感を招く内容となった。売上高は予想通りだったが、価格圧力の持続と減価償却費の増大を反映し、粗利益率が前四半期比で2.1ポイント悪化した。続く4-6月期の粗利益率について、経営陣は7-9%との見通しを示したが、この中央値は市場予想を4ポイント下回る水準。自社の新工場である「無錫Fab9」の量産化を一因とする競争環境の厳しさを改めて示唆した。ただ、BOCIは同社に対して楽観的な見方を維持している。AI関連需要の拡大や関税問題を受けた国産半導体への切り替えの加速、さらに上海華力微電子(HLMC)との統合の可能性といった複数の好材料が背景。また、現在株価のバリュエーションが株価純資産倍率(PBR)で1.2倍にとどまり、ヒストリカル平均の1.4倍を下回ると指摘。PBR1.5倍(1.1倍から上方修正)を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
1-3月期の売上高は前年同期比18%増、前四半期比では横ばいの5億4,100万米ドル。経営陣が事前に示したガイダンスの中央値だった。競争圧力を受けた平均販売価格の軟化がウエハー出荷量の増加分を打ち消した形。粗利益率は無錫Fab9(第9工場)の減価償却費の増大と価格圧力を受け、前四半期から2.1ポイント減の9.2%と、ガイダンス(9-11%)のほぼ下限となった。エンジニアリングウエハー・コストの増大と新工場の初期コストの発生、為替損失により、純利益は400万米ドル(前年同期比88%減)と、市場予想、BOCIの予想を各86%、46%下回る数字。品目別では国内外顧客によるAIサーバー需要の急増を受け、アナログおよびパワーマネジメントIC(PMIC)が好調だった。
経営陣のガイダンスでは、4-6月期の売上高は5億5,000万-5億7,000万米ドル(中央値で前四半期比4%増、市場予想を4%下押し)、粗利益率は7-9%(中央値で同1ポイント低下、同4ポイント下押し)。BOCIは同社の無錫Fab9を含む新規供給力の拡大を理由に、年内、利益率の下押し圧力が続くとみている。
経営陣は関税問題による供給サイドへの影響を対処可能としている。需要面では関税戦争は国産半導体への切り替えを促す点でプラス。BOCIは特にパワー半導体分野で長期的なメリットを見込む。また、先端プロセスを手掛ける同系列のHLMCを2026年8月までに統合する計画が再確認されたことも、華虹半導体の再評価につながる要因となる。
BOCIは旺盛な代替需要とAI関連需要があるにもかかわらず、市場が新規生産能力を消化するには1-2年かかるとみて、2025-27年の予想1株当たり利益(EPS)を27%、19%、23%減額修正した。半面、関税戦争の激化とHLMCの注入が国内2位のファウンドリーとしての再評価につながると予想。目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続した。新たな目標株価は2025-27年の予想株価収益率(PER)で、84倍、54倍、43倍の水準となる。