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バフェットの引退と個人投資家が学ぶべき投資哲学

2025/5/8

 バフェットは暴落する前に株を売り、暴落すると株を買うという逆張り投資家だ。これは、なかなかできることではない。人間の心理に素直に従って投資行動をすると、暴落する前に株を買い、暴落すると株を売らざるを得ないというバフェットと逆の行動になってしまう。大量の現金を保有しているため、市場が総悲観になっている時に買い向かうことが出来る唯一の投資家がバフェットだった。

目次
  1. バークシャー株が最高値を更新、株価は60年で6万7,000倍に
  2. 現金は困難な時代を乗り切るための戦略的な資産
  3. 5月7日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

バークシャー株が最高値を更新、株価は60年で6万7,000倍に

 米著名投資家ウォーレン・バフェット率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が3日、2025年1-3月期の決算を発表した。それによると、バークシャーが保有する3月末時点の現金残高は過去最高の3,477億ドルを記録した。1ドル=144円で円に換算すると50兆円に達する水準だ。

バフェットの現金残高とNYダウの推移

バフェットの現金残高とNYダウの推移
(現金の山はグレッグ・アベルに引き継がれる)
出所:各種データより石原順作成

 日本の時価総額トップであるトヨタ自動車(7203:時価総額約40兆円)の市場評価額を上回る額だ。あるいは、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306:時価総額約20兆円)ファーストリテイリング(9983:時価総額約15兆円)NTT(9432:時価総額約13兆円)という日本を代表する企業3社を合わせて丸ごと買い取ったとしてもお釣りがくる。

 バークシャーは2022年第4四半期以降、10四半期連続で株式を売り越している。2025年1-3月期の売越額は約15億ドルだった。この期間、具体的にどのような銘柄を売り買いしていたかについては今月中旬に公開されるフォーム13Fを待ちたいが、一部報道ではバンク・オブ・アメリカ(BAC)の持ち高をさらに減らしているということも伝えられている。

バークシャーの株式売買動向 10四半期連続で売り越し

バークシャーの株式売買動向 10四半期連続で売り越し
出所:決算資料より石原順作成

 注目すべきはその積み上がった現金ポジションの内訳だ。約88%に相当する3,055億ドルが米短期債、残りの約12%(421億ドル)は現金で保有されている。バフェットは以前、米国債の購入について唯一の問題は、「3カ月物の財務省短期証券で買うか6カ月物で買うかだ」と語っていた。将来起こりうる市場の混乱に備え、可能な限り短期国債で運用する方針なのだろう。

 直近の米短期債の利回りは4%台の前半だ。バークシャーが保有している短期債が3カ月物なのか6カ月物なのか詳細は不明であるが、単純に4%の利回りと仮定すると、保有する短期債から年間、約122億ドルの金利収入が入ることになる。144円で換算すると1兆7,568億円である。

バークシャーが保有する現金残高の内訳

バークシャーが保有する現金残高の内訳
出所:決算資料より石原順作成

 バフェットは、「バリュー投資の父」と呼ばれる経済学者のベンジャミン・グレアムからコロンビア大学で教えを受けた。このためバフェットは師に倣い、一般的には割安株を長期に保有する「バリュー投資家」であると考えられている。投資に関するバフェットの名言は数多く伝えられているが、二つのシンプルなゴールデンルールがある。

 それは「第1ルール、損しないこと。第2ルール、第1ルールを忘れるな」である。

 バークシャーの年次株主総会が開催される前日(5月2日)、バークシャー・ハサウェイ株(BRK.B)は過去最高値を更新した。株価は今年20%近く上昇し、S&P500種指数のパフォーマンスを大きく回っている。

 1965年に繊維会社であったバークシャーの経営権をバフェットが取得してから60年が経過した。その間に株価は約6万7,000倍に拡大した。政策の不透明感が高まる中、資産の安全な隠れ場所を探している投資家の中には50兆円に達するバークシャーのバランスシートは魅力的に映っているようだ。

バークシャー・ハサウェイB株(日足)

バークシャー・ハサウェイB株(日足)
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

バークシャー・ハサウェイB株(週足)

バークシャー・ハサウェイB株(週足)
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

バークシャー・ハサウェイB株(月足)

バークシャー・ハサウェイB株(月足)
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 個人投資家がバフェットの運用で学ぶべきなのは、「運用が決して破綻しないビジネスモデル」と「大暴落した時に株を買える現金の温存」であり、銘柄選択などあまり関係ないのである。

 多くの投資家がバフェットの買っている銘柄のまねをするか、あるいは彼の買っている銘柄にばかりに注目している。しかし、そんなところにバフェットの運用の秘密はない。もちろん、バフェットの銘柄選択は一流である。彼の持っている銘柄は倒産リスクがなく相場急落時に下げにくい優良銘柄が多い。キャッシュフロー的にビクともしない銘柄ばかりが並んでいる。

 バフェットのすごいところは、保険会社で徴収したゼロコストの長期資金を投資に回す「調達コスト・ゼロ」のビジネスモデルを展開していることだ。保険によるゼロコストの長期資金調達というビジネスモデルのおかげで、バークシャーのパフォーマンスが下がっても、バフェットの運用は破綻することがない。

 バフェットは暴落する前に株を売り、暴落すると株を買うという逆張り投資家だ。これは、なかなかできることではない。人間の心理に素直に従って投資行動をすると、暴落する前に株を買い、暴落すると株を売らざるを得ないというバフェットと逆の行動になってしまう。

 大量の現金を保有しているため、市場が総悲観になっている時に買い向かうことができる唯一の投資家がバフェットだった。

 バフェットの投資の神髄が分かるのは、金利上昇期や相場が大暴落したときである。相場はストップ・ロス、すなわち、防御だ。お金がなくなる前に、それに気づかないといけない。

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