トランプ関税に緩和の兆しがみえています。トランプ関税が米国を傷つける現実に大統領が気づき、政策修正に動き始めたようです。まだ、不安と混乱は続きそうですが、日本株を少しずつ買い増しして良いと考えています。
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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「「日本株「買い」継続!トランプ不況回避できる?」 」
トランプ関税に五つの「緩和の兆し」
先週(営業日4月21~25日)の日経平均株価は、1週間で975円上昇して、3万5,705円で終えました。トランプ関税に緩和の兆しがみえたことから世界不況の不安が低下し、世界的に株の買い戻しが進みました。
日経平均週足:2024年1月4日~2025年4月25日

トランプ関税に五つの「緩和の兆し」

トランプ関税が、米国内のトランプ支持者にも重大なダメージを及ぼすことが分かり、支持者からの陳情を受けて、政策修正に動かざるを得なくなっていると考えています。
トランプ関税が大統領支持者にもダメージ

強すぎる米国の大統領権限に対して、疑義が向けられるようになったことも影響しています。
4月23日には、ニューヨーク州を含む12州が、トランプ大統領の関税政策が違法だとし、これを中断するよう求める訴訟を起こしました。また、「敵性外国人法」に基づく移民の強制送還、エルサルバドルへの強制送還についても、トランプ政権と司法の対立が表面化しています。
米国から「円安修正」への要求なし
米国が関税率の低い日本に「相互関税」を課す根拠として、非関税障壁に加えて、通貨安操作(円安誘導)を挙げています。米国から「第2プラザ合意」のような形で、さらなる円高を進める要求が出るとの思惑が広がり、4月21日には一時1ドル=140円割れまで円高が進みました。4月21日の日経平均は、円高を嫌気して450円安と売り込まれました。
ところが、ベッセント米財務長官は23日、「日本に通貨目標を求めることはない」と発言、さらに24日、加藤勝信財務大臣と会談した際も、通貨に関しての要求はなかったことから、1ドル=140円台に戻りました。これが、先週の日経平均が続伸する原動力ともなりました。
ドル/円為替レートの週次推移:2020年末~2025年4月25日

私は、もとより、米政府がここから円安修正を強く求めてくることはないと予想していました。トランプ政権が、対日交渉で勝ち取ろうとしているのは、【1】米国製自動車の輸出拡大、【2】コメなど農産品の輸出拡大、【3】防衛費協力拡大などでしょう。つまり米国民にとって分かりやすい成果を求めるでしょう。
「通貨安誘導」の疑いを、関税率の低い日本に「相互関税」を課す根拠の一つとして挙げていますが、その修正に重点が置かれているとは考えられません。
すでにドル全面安が進んでいて、それが米国のインフレ再燃につながる懸念があります。さらなる円高(ドル安)を要求しても米国にとってメリットはありません。ここでもし日本が円買い介入するとどうなるでしょう?それは日本が保有する米国債を売ることを意味します。米金利上昇につながり米国にとって悪夢です。
恐怖が低下
投資家の心理の変化は、恐怖指数といわれる指数の動きに表れています。「日本版恐怖指数」といわれる「日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)」は低下し、トランプ関税に対する恐怖が低下したことが分かります。
日経平均と日経平均VI:2024年4月30日~2025年4月25日

日本株「買い場」の判断継続
日本株は、割安で、長期的な上昇余地は大きいと考えています。従って、今は良い買い場と判断しています。
ただ、短期的なショック安は終わっていないかもしれません。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
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