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トランプ関税と経済と株価の「答え合わせ」始まる。FRB議長解任なら相場大混乱?

2025/4/21

先週はトランプ大統領が赤沢経済再生担当相と直接、関税交渉に臨み、日本最優先の姿勢を示したことや新薬開発ニュースで医薬品株が急騰したことで日本株はほぼ全面高。一方、二転三転する半導体関税に振り回された米国株は下落。今週はパウエルFRB議長解任の動きや日米企業の決算発表で示される今期業績見通しの悪化に注意が必要です。

目次
  1. トランプ関税への警戒感は薄らいだが乱高下の可能性も。決算発表への影響に注目
  2. 先週:日本株は新薬開発ニュース連発で医薬品株が急騰!二転三転する半導体関税の行方は?
  3. 今週:トランプ大統領がFRB議長解任強行なら株価大暴落?相互関税の悪影響を受ける米国企業の決算動向に注意!

トランプ関税への警戒感は薄らいだが乱高下の可能性も。決算発表への影響に注目

 先週の日経平均株価(225種)はトランプ大統領の関税政策に対する過度な警戒感が薄らいだこともあり、前週末比1,144円(3.4%)高の3万4,730円まで上昇。

 週間の業種別騰落率は医薬品セクターが9.9%高、自動車向けタイヤメーカーが多いゴム製品が6.6%高、輸送用機器が5.2%高となるなど、33業種中32業種が上昇する、ほぼ全面高の展開でした。

 なんといってもサプライズだったのは、16日(水)(日本時間17日(木))の日米関税交渉にトランプ大統領自らが参加し、ホワイトハウスで日本の赤沢亮正経済再生担当相と約50分間にわたって会談を行ったことでした。

 トランプ大統領が並々ならぬ意気込みで日本との関税交渉を最優先する姿勢を示したことは、今後の交渉結果がどうであれ、日本株の上昇に貢献したといえるでしょう。

 実際、14日(月)には、カナダやメキシコで生産された自動車部品に対する関税を一時猶予する方針も発表。

 カナダ、メキシコの工場から自動車部品を輸入しているゼネラル・モーターズ(GM)など米国自動車メーカーに配慮した方針転換といえますが、トヨタ自動車(7203)が前週末比5.1%高、ブリヂストン(5108)が6.6%高となるなど、日本の自動車関連株も大きく反発しました。

 一方、米国株は対中国向け半導体輸出規制の強化や中国の報復措置を受けて下落しました。

 機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は前週末比1.50%安、貿易戦争の悪影響を受けやすい重厚長大産業の組み入れ比率が高いダウ工業株30種平均は2.26%安でした。

 トランプ政権が中国向け半導体輸出の規制を強化したことで55億ドル(約7,800億円)の関連費用発生を発表したAI(人工知能)関連の花形株・エヌビディア(NVDA)が前週比末8.51%も急落しました。

 ただ、米国売りを象徴するかのような米国長期国債の急落(金利は急上昇)は収束し、一時4.5%まで上昇した米国10年国債の利回りは4.3%台まで低下。

 為替市場でも急速なドル売りは収まり、ドル/円レートの18日(金)終値は1ドル=142円10銭台で、1週間、ほぼ横ばいで推移しました。

 今週もトランプ大統領が繰り出す政策次第で、米国株中心に株価の乱高下が続きそうです。

 今週は米国企業の2025年1-3月期決算発表も本格化。

 22日(火)にはトランプ政権の政府効率化省を共同創業者のイーロン・マスク氏が指揮していることで世界中に不買運動が広がっている電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)、23日(水)には中国政府が同社の航空機の国内納入停止を命じたボーイング(BA)が決算発表します。

 他にも、米国で販売する製品を高額な相互関税のかかる海外で生産・輸入していたり、125%の報復関税を発動した中国向け輸出の多い米国企業が、トランプ関税の悪影響で今期の業績見通しを大幅に引き上げたりと、株価が急落する恐れがありそうです。

 日本でも2025年3月期の決算発表がスタートします。

 23日(水)の工作機械のファナック(6954)、25日(金)のトヨタ系自動車部品メーカーのデンソー(6902)や半導体検査装置メーカーのアドバンテスト(6857)など、米国向け輸出比率の高い企業の決算発表に注目が集まりそうです。

 最大の注目ポイントは、トランプ関税の影響で各社が今期2026年3月期の業績予想をどれぐらい悪く見積もるか、です。

 21日(月)は3万4,556円と前営業日終値の174円安でスタートしましたが、一時500円超の下落、下げ進行で推移し終値は3万4,279円と先週末比450円安となりました。

先週:日本株は新薬開発ニュース連発で医薬品株が急騰!二転三転する半導体関税の行方は?

 先週もトランプ大統領の二転三転する関税政策の変更が市場を大混乱させました。

 先々週の11日(金)、トランプ政権は中国などで生産して米国に輸出されるアップル(AAPL)のiPhoneなどスマートフォンや半導体装置・機器を相互関税の適用除外することを発表しました。

 しかし、13日(日)にはトランプ大統領がその除外措置は一時的なものと表明。

 14日(月)には米国商務省が半導体や医薬品に対する安全保障上の調査を開始し、その結果次第では追加関税などの対応策を検討する意向を表明しました。

 16日(水)にはオランダの最先端半導体製造装置メーカーのASMLホールディングスが市場予想を4割も下回る2025年1-3月期の低調な受注高を発表して、株価が急落。

 日本でも半導体研磨装置メーカーのディスコ(6146)が16日に前日比8.0%も急落するなど、二転三転する半導体関税の方針変更もあってハイテク株が世界的に下落しました。

 しかし、17日(木)、世界最大の半導体受託製造会社・台湾積体電路製造(TSMC)が市場の予想平均を上回る2025年1-3月期の好決算を発表。

 トランプ関税の逆風の中、2025年の売上見通しを前年比20%増のまま維持したことが好感され、半導体株は世界的に反発しました。

 乱高下した半導体株と違い、新薬開発ニュースが相次いで株価が急騰したのは医薬品株でした。

 16日(水)には、京都大学が進めるiPS細胞を使ったパーキンソン病向け治療薬の有効性・安全性が確認されたことを受け、同治験に協力している住友ファーマ(4506)が前週末比37.2%も急騰。

 17日(木)には、米国のイーライ・リリー(LLY)が世界初の経口型肥満症治療薬の臨床治験で体重が8%減少するなど、明確な有効性が確認されたことを発表。

 イーライ・リリー(LLY)の株価は前週末比14.7%高。

 当初、この薬を開発し、新薬の売上高の一部を受け取る契約の中外製薬(4519)の株価も32.5%も上昇。

 再生医療関連のバイオ・ベンチャー株も含めて、医薬品株は日本の業種別上昇率ランキングで突出した1位になりました。

 16日(水)に物言う株主として知られる米国投資会社のダルトン・インベストメンツが取締役の総入れ替えを要求したと伝えられたフジ・メディア・ホールディングス(4676)はこれまで株価が急騰してきただけに、先週は材料出尽くしで2.4%安でした。

 しかし、同社の経営改革に対する期待が広がったことで、テレビ朝日ホールディングス(9409)が9.0%高となるなど、テレビ株が軒並み上昇。

 今後もテレビ株に対する投資家の注目度は高止まりしそうです。

 カナダ・メキシコからの自動車部品の関税猶予などで、ホンダ(7267)が6.0%高となるなど自動車株も上昇。

 トランプ大統領が高額な関税の税率を振りかざして「脅迫」する局面から、「ディール(取引)」による2国間の妥協や話し合いで落としどころを探る段階に移行しつつあることは、自動車株など外需株にとっては朗報といえるでしょう。

今週:トランプ大統領がFRB議長解任強行なら株価大暴落?相互関税の悪影響を受ける米国企業の決算動向に注意!

 今週は関税だけでなく、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)に対するトランプ大統領の露骨な政治介入が新たな不安材料になりそうです。

 先週16日(水)、パウエルFRB議長は民間講演で、景気後退と物価高が同時進行するスタグフレーションが起きた場合、物価の安定と雇用の最大化というFRBの「二つの責務」が相反する可能性があると発言。

 FRBとしてはトランプ関税による米国内の物価上昇の抑制を第一目標にしているため、利下げは急がないという方針を示しました。

 これに対しトランプ大統領は17日(木)、「(パウエルFRB議長は利下げの)対応が遅すぎる」「一刻も早く解任すべきだ」とSNSに投稿。

 18日(金)には米国のNEC(国家経済会議)のハセット委員長がトランプ大統領と関係者がパウエル議長解任を検討中であると発言しました。

 政府とは中立的・独立的立場であるべきFRB議長を任期途中に大統領が解任することは法律上認められていません。

 ただ、トランプ大統領が発動した過激な相互関税も「国際緊急経済権限法」という法律による緊急事態時の大統領権限に基づいたもの。

 トランプ大統領が超法規的措置をとってまでパウエルFRB議長解任に執着するようだと、米国の中央銀行の独立性が損なわれ、再び株価暴落など米国売りが加速する可能性が高いでしょう。

 今週注目の米国の経済指標には、23日(水)発表の4月の製造業およびサービス業のPMI(購買担当者景気指数)速報値や3月新築住宅販売件数などがあります。

 特にPMIはトランプ相互関税が発表された4月以降の景況感を調査した速報値なだけに、大きく悪化すると株価の下げ要因になりそうです。

 2025年1-3月期の米国企業の決算発表も本格化します。

 23日(水)には中国の報復関税で中国向け半導体製品の輸出が大打撃を受けそうなテキサス・インスツルメンツ(TXN)

 24日(木)には逆に世界各地で生産する自社製品がトランプ相互関税の課税対象になるプロクター・アンド・ギャンブル(PG)やグーグルの親会社アルファベット(GOOG)、半導体製造のインテル(INTC)などが決算発表します。

 関税、半導体規制、FRB議長解任などトランプ大統領が打ち出す政策の不確実性や度重なる方針転換で今週の株式市場にも暴風雨が吹き荒れそうです。

 ただ、トランプ大統領が関税交渉で日本最優先の姿勢を示したことで当面、日本株はトランプ関税の暴風雨を受けにくい場所にいることが唯一の救いといえるかもしれません。

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