軍用・民用ヘリの最大手、地政学的緊張と「低空経済」の代表的な恩恵銘柄

現地コード 銘柄名
02357

中国航空科技工業

(アビチャイナ)

株価 情報種類

3.51HKD
(4/17現在)

株価
企業情報
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 中国最大の航空機・関連製品メーカー、アビチャイナは親会社の中国航空工業集団(AVIC)とともに、軍用、民間航空機の旺盛な需要を追い風とする代表的な銘柄。BOCIは地政学的緊張による世界的な防衛予算の増大が、アビチャイナのビジネスチャンスにつながるとみている。さらに航空機と周辺システムの全バリューチェーンをカバーする有力メーカーとして、中国政府が目指す「低空経済」(ドローンなどを使った低空域での経済活動)の持続的な発展から恩恵を得ると予想。「C919」航空機(中国初の国産旅客機)の今後の販売拡大も同社のさらなる成長をけん引する見通しを示した。2025-27年に前年比10%、11.2%、16.2%の利益成長を見込み、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 アビチャイナは軍用、民用の両分野で、中国最大のヘリコプター・メーカー。同社製造のヘリは国家防衛やテロ対策、災害支援、緊急救援、農業・林業、地質探査、観光、飛行訓練などさまざまな用途で幅広く活用されている。

 2017-23年の6年間に、同社は年率平均12.3%の利益成長を遂げた。2024年は予想外の製品価格の変動が響き、前年比10.6%の減益決算となったが、これは一過性要因によるものであり、BOCIは2025年に再現される可能性は低いとの見方。2025年には再び増益に転じるとみている。

 同社は世界的な地政学リスクの高まりに加え、C919の発展、低空経済の発展を目指す国内政策の代表的な恩恵銘柄。このうち地政学的リスクは中国の軍備拡張と軍用航空力に対する需要の拡大につながり、中でもヘリと訓練機の需要増を後押しする見込み。米国に対抗するための中国の軍備近代化が同社にとっては長期の成長機会につながる。

 また、政府が提唱する「低空経済」の発展は、民用航空機需要の拡大につながる要因(同社は空飛ぶクルマことeVTOLなど新型ドローンの製造も手掛ける)。また、同社は国産航空機C919の部品サプライヤー。BOCIによれば、2027年にC919の引き渡し機体数が100機に達した場合、関連部品の売上高が15億米ドル(110億元)に上る見込み。これが同社の売り上げ成長をけん引する見通しという。

 同社は中国本土のA株市場に子会社4社を上場させているため、BOCIはその保有分の時価総額とPER(株価収益率)の組み合わせ方式で同社株を評価し、目標株価を引き上げた。新たな目標値は2025年予想PERで22.1倍、予想PBR(株価純資産倍率)で1.6倍相当。中国航空市場の明るい先行き見通しと、AVICの唯一の旗艦子会社であるという独自の立場を反映させた。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、「低空経済」に関する中国当局の支援策の実施が遅れる可能性を挙げている。