2025年1-3月期の販売統計は市場予想通り、米中貿易戦争の影響は限定的か

現地コード 銘柄名
01368

特歩国際

(エックステップ・インターナショナル)

株価 情報種類

4.71HKD
(4/17現在)

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 中国のスポーツ用品メーカー、特歩国際の2025年1-3月期の小売販売額は前年同期比1桁台半ばの伸びとなり、市場コンセンサス予想と合致した。中でも米国発のプレミアムブランド「Saucony(サッカニー)」は大都市部でのブランド戦略が奏功したことで好調を維持し、40%を超える伸びを示した。BOCIは米中貿易戦争を受けた消費意欲の後退がスポーツウエア全体の売れ行きに影響する可能性に言及しながらも、「Saucony」の中国ビジネスは基本的に米国法人と切り離されていると指摘。特歩国際のビジネスモデルへのマイナス影響は限定的となる見通しを示した。同業銘柄と比べて低バリュエーションの同社株は相対的に安全な選択肢であるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期の業務統計を見ると、旗艦ブランド「特歩(Xtep)」の小売販売額が前年同期比1桁台半ば、「Saucony」が40%超と、いずれも市場の予想通り。また、「特歩」の小売価格の値引き率は25-30%、販路の在庫回転日数は約4カ月と、前四半期比、前年同月比でいずれも安定的に推移した。製品戦略が効力を発揮したためで、ランニングシューズの小売販売額は10%を超えて増加。このセグメントで市場シェアの拡大が続いたことを示唆した。

「Saucony」は米国のブランドだが、特歩国際の経営陣によれば、中国ビジネスは基本的に、米国のブランドオーナー、ウルヴァリン・ワールド・ワイド社とは切り離されている。サプライチェーンは中国と東南アジアに集中しており、現時点では対米販売は手掛けていない。BOCIは米中関税合戦の激化で中国マクロ経済の不確実性が高まり、消費者心理にマイナス影響を及ぼすとしながらも、特歩国際の下期決算への影響はあくまで、間接的なものにとどまるとみている。

 同社はフランチャイズ店のうち400-500店舗を直営店に転換する計画を進めており、2025年下期には約100店舗の転換を完了する予定。BOCIは対象店舗が全体の2%未満にとどまることを理由に、この計画による財務への影響は限定的としている。

 BOCIは米中摩擦の影響を反映させる形で、2025-27年の予想EPS(1株当たり利益)を6-12%減額修正。2025年予想PER(株価収益率)12.5倍をベースに目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いた。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、マルチブランド戦略の不成功、DTC(顧客に直接販売)を中心とする旗艦ブランドの売れ行き悪化、予想外の広告支出の増大、新規のブランド展開に伴うコスト増などの可能性を挙げている。