今週のドル/円はトランプ大統領が相互関税の延期を発表したことを受けて148円まで急激に円安に戻しました。ベッセント米財務長官は停止措置が当初からの計画だったと説明していますが、トランプ大統領はディールができなかったことがご不満なようで、今度は日米安保が米国不利の取引だと噛みついています。次のトランプショックを警戒して、ドル/円は144円台に下落しました。さて今日の円高はどこまでいくでしょうか?
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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【楽天証券】4/11「来週のドル/円は130円台突入か!?「円高」加速中」FXマーケットライブ
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは147.60円
↓下値メドは142.90円
トランプ政策:SWIFT以外の決済システムを使う国に制裁を検討
貿易:新興国からの報復関税で米国のインフレ上昇。米国はクロム鉱石の98%、マンガン鉱石の29%を南アフリカから輸入
人民元:元安は限定的か。トランプ政権になって中国企業のレパトリ増加
フランス:有権の63%が「マクロン大統領は辞任するべき」
前日の市況
4月10日(木曜)のドル/円相場の終値は144.60円。前日終値比3.14円の「円高」だった。
2025年72営業日目は147.79円からスタート。トランプ大統領が相互関税の発動を90日間停止したことで、9日のドル/円は急激に円安に戻した。しかし、関税は撤回ではなく、延期しただけ。3カ月後の7月にまた同じことが繰り返されることを考えると、先行き不透明感は逆に強まったといえる。

この日の高値は東京時間朝につけた147.82円。関税延期の円安は続かず、東京時間未明には前日の安値(144.00円)に並ぶ144.02円まで円高に動いた。24時間のレンジ幅は3.80円。
ドル安の背景は2パターンある。一つはセーフヘブンとして円やスイス、ゴールドがドルに対して買われている動きだ。スイスフランは10年ぶりの高値(スイス高/ドル安)をつけた。
もう一つは、ドル資産に投資することに不安を覚えて米国からのキャピタルフライトが徐々に始まっていることだ。ユーロ/ドルは1年9カ月ぶりの高値をつけた。トランプ政策に反発を覚えて、米国資産の利回りを犠牲にしても自国に投資しようとする外人投資家の「新経済ナショナリズム」が強まっている。

3月米CPI速報解説
2025年3月の米国のCPI(消費者物価指数)は前年同月比で上昇率が2.4%となり、2カ月連続で伸びが鈍化した。市場予想の2.6%も下回った。前月比ではCPIがマイナス0.1%まで低下した。また、食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年比3.0%、前月比0.1%の上昇にとどまった。

内訳で注目すべきは、パソコンや携帯電話の価格が上昇していることである。これは対中トランプ関税の初期的影響と捉えることができる。来月(4月CPI)はその影響がさらに大きくなると予想されるが、本格的な影響が出るのは7月以降になるとみられている。
現在は米国の消費者が支出を大きく増やす状況ではなく、3月CPIの伸びが減速したのもうなずける。しかし、トランプ関税の影響が本格化するのは来月以降だ。FRB(米連邦準備制度理事会)からはCPI低下に対する楽観的な意見はきかれない。むしろ追加利下げに対して、後ろ向きと言うくらいに慎重である。

2025年 主要指標 終値

来週のドル/円は130円台突入か!?「円高」加速中
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