トランプ大統領の政策への不安も相まって、世界の株式市場が急変動しています。中には含み損に転じてもニコニコと笑える人がいますが、なぜそのようにできるのでしょうか。含み損で笑っていられるステージに立つには何が必要なのでしょうか。
株式市場、しばらくは大騒ぎ?
株式市場は上がったり下がったりと大忙しです。為替相場も、円安に行ったかと思えば円高に行ってと、こちらもまた大忙しです。
年度末に当たる3月31日も株価は朝から急落し、2024年度は下落でのフィニッシュとなりました。
短期トレードを志向する投資家にとっては楽しい時期でしょうが、投資初心者、特にNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を通じて長期投資を考えていた人たちにとっては落ち着かない日々でしょう。
特に、円高に振れたり、株価が下落したりしている時期が続くと、それまで順調に増えていた含み益が減少したり、場合によっては時価評価がマイナスになる含み損の状態になってしまったりしている可能性があります。
ネットを見ると、値下がりにパニックになっている個人投資家の投稿を見かけることもありますが、ここでアドバイスしたいのは「投資を止めるな」です。
下がったときに落ち着けるかどうかは「経験」が一番ものをいう
投資初心者、特にNISAをきっかけに投資を始めた人たちの多くが、値下がり局面で心が落ち着かないのは当然です。
これはもう経験の差としかいいようがないのですが、投資初心者は1%の値上がりを喜びますし、反対に1%の値下がりに嘆息します。
まさに一喜一憂とはこのことで、私も初めて投資信託を買ったときや、初めて個別銘柄で投資をしたときは、何度も価格をチェックしたものです。別に売るわけではないのでチェックすることに意味はないのですが、日中はとにかく気になって、ひたすらリロードしたことを覚えています。
最初は落ち着かない日々を過ごしていた投資初心者も、投資経験を重ねるごとに(値上がり時期と値下がり時期を経験するほどに)、慣れていきます。
ベテランの長期投資家になると数%の値動きはほとんど気にしなくなりますし、場合によってはそもそも残高チェックすらしなくなります。
重要なのは、株価が何度か戻る経験をすることです。理屈として「経済は短期的には上下動するものの長期的には右肩上がりする」と分かっているものを本当に腹落ちさせていくためには、実際にお金を投資するという体験が必要なのです。
新NISAで投資を始めた皆さんは、まさにそうした経験ができるタイミングであると思います。
あなたのゴールを見て「戻る」と思えるなら待てばいい
経験を積め、というのはちょっと乱暴な感じですから、もう少し「売却をガマンするべき理屈」を紹介してみましょう。
値下がりしたときはまず、自分の「ゴール」を考えましょう。投資におけるあなたの人生のゴール、つまり投資資金を崩して消費に回すタイミングが「今すぐ」あるいは「もうすぐ(数カ月から1年以内くらい)」なのか考えてみてください。
ゴールが近くて「今より値下がりしているかもしれない」と思えるなら、それは売却をする理由になり得ます。資金ニーズが目の前なら、購入時価格より値下がりしていても気にせず売ってください(本来、その資金は投資するべきではなかったかもしれませんが、これはもう仕方がありません)。
しかし、まだ投資資金を必要とする時間が先にあるなら、「待つ時間があれば市場の回復がありえるのでは」と待ってみましょう。リーマンショックでさえ、5年もせずに株価は回復しましたし、そのあと「史上最高値」は何度も更新されています。
この場合、あなたの投資資金が回復する「時間を与える」ことで、含み損を自然に消し去ることができます。何度も売買をして含み損以上の利益を出す苦労は必要ないのです。
私は投資することで楽をしたい(合理的に負担を軽減したい)といつも考えていますが、短期的な下落局面で慌てて狼狽(ろうばい)売りしないことは、負担を軽くして投資を続ける方法の一つだと思います。
長期積立投資家にとっては、下げ局面はむしろニコニコできる
長期投資を志向する人たちにとって、実は値下がり局面はニコニコできる時期です。それは「毎月の積立額で『安く買える』チャンス」ともいえるからです。
これも経験が必要なのですが、「今もっている投資資金が値下がりしている」タイミングは「次の定期購入を行う投資資金は値下がり時期に購入している」タイミングでもあります。これを理解すると、売らない理由と投資を続ける理由が見えてきます。
長い目で見て、株価の回復や経済の発展が考えられるのであれば、投資を中断させないことです。特に積立投資を続けていきましょう。
私自身、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の資産を2倍(Webサイトで確認したところ、年率換算8.88%でした!)以上に増やせている理由は、「下がっても焦って売らなかった」ことと「下がっても積立投資を止めなかった」ことに尽きます。
白状すれば、私は2001年ごろのITバブル崩壊のときに投資信託を売ってしまい、積立を続けませんでした。この「失敗経験」があったからこそ、iDeCoでは積立投資を続けることができたのです。
できれば読者の皆さんには、2025年の市場を「失敗経験」とせず、値下がりしても投資を続けた「最初の成功体験」としてほしいと思います。
一度値下がり局面を乗り越えることができれば、あなたは個人投資家として経験を積み、次の下げ相場ではニコニコしながら投資を続けているはずです。
「株価は戻る」成功体験のために。株価下落そのものは、NISA長期投資家の失敗じゃない!
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