「クイズでわかる!資産形成」第74回をお届けします。日経平均急落…。日本株の買い増しを検討しているけど、どの銘柄を選べばいいか迷っていませんか? 今回は、セグメント情報に着目し、プロの視点から「買い」の銘柄を見極めるクイズを出題します。
今日のクイズ
今日は、日本株アナリストの上級者向けクイズです。アナリスト経験のない方も野性のカンで答えてください。
それではクイズです。
2025年4月、日経平均株価が急落したところで、日本株を買い増ししようと思っています。
株価下落率の大きいA社とB社のどちらかを買うとしたら、どっちが良いでしょう? 以下、セグメント情報を見た上で、どちらか選んでください。
A社B社とも、2025年3月期の売上高は1,000億円ですが、営業利益はどちらも10億円減の赤字です。両社とも2024年3月期に続き、2期連続の赤字となりました。株価は、過去1年で大きく下落しており、足元の日経平均急落を受けて、さらに下がっています。
しかし、両社とも財務は良好なので、ここでどちらか買ってみようと思います。今後の利益回復が見込める方を選んでください。
A社とB社の売上高、営業利益、セグメント別営業利益:2025年3月期

セグメント情報には重要メッセージがたっぷりつまっている
私は、決算書(損益計算書)は後ろから開くことが多いのですが、その理由は、損益計算書の一番後ろの方(注記事項の最後)に出ているセグメント情報を最初に確認するからです。
セグメント情報を見ると、企業がどのように利益を稼いでいるか、よく分かります。多くの人がイメージしているのと、全く違う姿が見えることもあります。
いくつか、実例を見てみましょう。以下は、トヨタ自動車(7203)とホンダ(7267)の2025年3月期第3四半期まで(2024年4~12月の9カ月決算)のセグメント情報です。
トヨタ・ホンダの2024年4~12月事業別セグメント利益

トヨタ自動車のセグメント利益をご覧ください。自動車で利益の大半を稼いでいますが、金融(販売金融)でもしっかり稼いでいます。これは、ほぼ多くの人のイメージに合っていると思います。
ホンダのセグメント別利益は、多くの人にとって意外かもしれません。アジアを中心に展開している二輪(オートバイ)の利益が、四輪(乗用車)の利益を上回っています。二輪で意外な高収益を得る強みがある一方、四輪の収益力の低さが課題であることが分かります。なお、ホンダも金融(販売金融)ではしっかり稼いでいます。トヨタ・ホンダとも金融は重要な安定収益源です。
このように、セグメント情報からは、企業が有する強みや弱みがよく見えます。事業別セグメント情報は、開示が義務づけられているので、必ず見るようにしましょう。
また、開示が義務づけられているわけではありませんが、事業別セグメントとは別に、所在地別セグメント利益を開示している企業も日本には多数あり、トヨタもそのうちの一つです。
トヨタの2024年4~12月所在地別セグメント利益

トヨタの所在地別利益を見ると、ほとんど日本で稼いでいるように見えます。北米の利益は低く、日本の利益がとても高いように見えます。
ただし、日本の利益には、日本から北米への輸出で稼いでいる利益が含まれており、日本の所在地セグメント売上高の約半分は、北米などへの輸出から得られています。つまり、米国の顧客から得られる利益が、日本セグメントに入っているということです。
トランプ政権の自動車関税によって、日本から米国への輸出に高関税がかかるとトヨタの日本セグメントの収益にもダメージが及びます。
日経平均急落、ここで買うのは、どんな銘柄が良い?決算書を見て判断する
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