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日本に相互関税24%。自動車関税の影響:楽観論と悲観論(窪田真之)

2025/4/3

トランプ関税の詳細発表。日本に相互関税24%適用、日経平均はさらに下落へ。自動車関税も発動へ。日本の自動車産業に短期的ダメージは避けられないが、長期的にトヨタ自動車はこの難関を克服する可能性も。楽観シナリオと悲観シナリオを併記。日本の自動車産業の未来を考える。

目次
  1. 日本も相互関税の対象に、日本24%、中国34%、EU20%
  2. 自動車関税発動へ
  3. ものすごい楽観論
  4. トヨタよりGMの受けるダメージの方が大きい可能性も
  5. 悲観論
  6. 日本株は長期投資で「良い買い場」の判断変わらず

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【速報】4/3 相互関税・自動車関税が日本直撃。日本の自動車産業の未来はどうなる?

日本も相互関税の対象に、日本24%、中国34%、EU20%

 4月2日(日本時間3日早朝)、トランプ大統領は、相互関税の詳細を発表しました。全ての国、地域に対して5日から10%の基本関税をかけるとした上で、さらに約60カ国に対して相互関税を9日から発動するとしました。

 日本に24%、中国34%、韓国25%、台湾32%、EU(欧州連合)20%、インド26%などです。この発表を受けて、今日(3日)の日経平均株価はさらに大きく下落する見込みです。

 日本は関税率が低い国ですが、相互関税の対象国に加えられ、24%の税率が適用されます。非関税障壁によって実質46%の関税をかけているのと同等とみなしたため、24%の相互関税をかけると説明されています。日本が輸入する米(コメ)に700%の関税をかけていること(ミニマムアクセス米を除くベース)にも、言及されました。

 それとは別に、3日には、自動車関税の発動も予定されています。今日は、自動車関税の影響について、現時点で分かる範囲内のことで、私が考えることを書きます。

自動車関税発動へ

 トランプ政権は、相互関税に加えて、自動車関税【注】も発動します。今日のレポートでは、4月3日に発動が予定されている自動車関税が日本の自動車産業に及ぼす影響について、私の考えを書きます。

【注】4月3日に発動が予告されている自動車関税
 米国に輸入される自動車全てに、追加で25%の関税をかける。エンジンやトランスミッション・パワートレインなどの基幹部品にも25%の追加関税をかける。自動車部品の関税対象は今後、拡大していく方針。

 現在、日本から米国へ輸出される乗用車には2.5%、トラック(ライトトラック・ミニバン・ピックアップトラックなど家庭で使う自動車を含む)には25%の関税がかかっているが、それぞれ27.5%、50%に引き上げられる。

 メキシコ・カナダから輸入される自動車・自動車部品で、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠したものには、米国での現地生産比率に基づいた軽減税率が適用される。米国以外で作られた部品価格相当に対して追加関税が課せられる。

 例えば、メキシコから輸入される自動車で、米国製部品の割合が40%ならば、残り60%部分にだけ25%関税がかけられる。この計算は複雑で、計算が確定するまで関税が延期される可能性がある。

ものすごい楽観論

 自動車関税によって、トヨタ自動車・ホンダなど日本の自動車メーカーが、短期的に重大なダメージを受けることは避けられません。ただし、長期的な影響については、違った見方も可能です。あえて「ものすごい楽観論」と注釈しますが、日本のトヨタ自動車はダメージを克服していくとの見方もできます。その理由は、以下の五つです。

1:トヨタのコストカット力への期待

 トヨタ自動車は毎年、継続的にコストカットしてきています。すぐには不可能でも、数年かけて関税に対応したコストカットを実現していく可能性もあります。車台や部品の共有化はもちろん、モデル数もかなり踏み込んで削減せざるを得なくなるかもしれませんが、それでもなんとかコストカットで対応していくと期待しています。

 米自動車関税の負担を吸収するのは、以下四つの主体です。

◆米国消費者(値上げ)
◆米国の自動車ディーラー(販売マージン縮小)
◆日本の自動車メーカー(関税引き上げに対応した輸出価格の引き下げ)
◆自動車メーカーのサプライヤー(部品価格などの引き下げ)

 トヨタ自動車の対応はまだ分かりませんが、「値上げはしない」と表明していることから、トヨタ自動車が中核となって負担を吸収する方針と考えられます。

 ただし、米国サイドにも一定の負担はかかると思われます。米国販売では、数千ドルのインセンティブを支払うのが慣例です。販売価格は変わらないでも、インセンティブが低下することで実質値上げとなる可能性があります。

2:米国生産を早くから立ち上げてきた、米国で増産対応も

 1980年代に日米貿易戦争が激化してから、トヨタ自動車は継続的に米国での現地生産比率を高めてきました。北米自由貿易協定を使い、メキシコ・カナダでの生産も使い、北米生産比率を高めてきました。2000年代には、米国で人気の大型SUVの生産も立ち上げました。それが、近年のトヨタ自動車の業績押し上げに貢献してきました。

 日本からの輸出比率も高いのでダメージは大きいものの、世界各国で現地生産を立ち上げてきたノウハウを生かして、米国生産を増やしていくことは可能と思われます。

3:性能・燃費への信頼が高いこと

 米国で日本の自動車人気が高いのは、燃費が良く故障が少ないことが理由です。関税だけで日本車が売れなくなり、米国車が売れるようになることはないと考えられます。

 トヨタ自動車がもし値上げしないで対応すれば、相対的にトヨタ車の人気が高まる可能性もあります。

4:オールラウンド・プレイヤーである強み

 米国で自動車価格が一斉に上昇すると、米国消費者は、自動車にかけるコストをなるべく抑えようとする可能性があります。米国では過去10年以上、大型SUVが人気で自動車の平均販売価格は700万円を超えていますが、関税導入後は、価格が相対的に低い小型乗用車(2,000CCのセダンは米国では小型車扱いです)に一部需要がシフトするかもしれません。

 トヨタ自動車は、大型SUVから、小型乗用車までオールラウンドで展開しているので、そのような需要シフトがあっても、競争優位を保てると考えられます。

 近年、米国でBEV(電気自動車)の人気が低下して、代わって、ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車の人気が高まっていますが、ハイブリッド車の人気ラインアップを有することもトヨタ自動車の強みとなっています。

5:中古車価格の上昇

 米国で高関税が導入され、新車価格が上昇すると、中古車人気が高まると考えらえます。年数を経ても性能低下が少ない、トヨタ自動車の中古車が人気になる可能性もあります。

 米国の自動車販売の2割強はリース販売なので、リースバックされる中古車価格が上昇することは、短期的にトヨタ自動車の業績にとってプラス要因となります。

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