お金と上手に向き合い、経済的に良好な状態にある「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を実現していくためには、どのように取り組んでいけばよいのでしょうか。今回は、ファイナンシャル・ウェルビーイング実現に向けてどのように意識し、どのように行動していけばよいのか、体系的にご説明します。
ファイナンシャル・ウェルビーイングとは?
「ファイナンシャル・ウェルビーイング」は、米国の消費者金融保護局によると、次のように定義されています。
日常的に、家賃・住宅ローン、水道光熱費、クレジットカードなどの支払いが問題なく行えており、今後の人生に必要なお金についてもめどが立っている。最低限必要な生活費に加えて、記念日ディナーや旅行に行くなど、たまにはぜいたくすることもできる、つまり「幅広い選択肢を持っている状態」そんなイメージかと思います。
前回の「資産が多くても幸せとは限らない?「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を実現している人の特徴」では、ファイナンシャル・ウェルビーイングが高い人の特徴について、調査結果を基にご説明しましたが、今回は体系的にどのように整理されているのかご説明します。
ファイナンシャル・ウェルビーイングは2×2のマトリクスで整理する
このファイナンシャル・ウェルビーイングは、「現在」と「将来」、「安心感」と「選択の自由度」という、次のような2×2のマトリクスの形で整理されています。
四つの部分に分けることができ、表の赤字部分にあるように、それぞれ一言で表すと、「(1)支出管理、(2)ショック対応、(3)選択肢、(4)将来見通し」となります。以下、一つずつご説明します。
1. 支出管理(現在の安心感)
一つ目は現在の安心感ということで「支出管理」です。家賃や住宅ローン、水道光熱費、保険料、クレジットカードの引き落とし、各種サブスクなど、日々の支払いをきちんと管理できているかどうかです。
日常生活費の決済を行っている金融機関の口座残高を把握し、適切に維持、管理することが重要ですが、最近であればインターネットバンキングや、家計簿アプリなどを活用することで手間をかけずに管理できますね。
2. ショック対応(将来の安心感)
二つ目は将来の安心感ということで「ショック対応」です。「一寸先は闇」という言葉もありますが、病気やケガで会社を長期にわたり休まなければならなくなった、交通事故に遭った、配偶者が死亡してしまった、など人生はいつどんなことが起きるか予測できません。そういった事態が発生したとしても、経済的に困らないように準備ができているかどうかということです。
手元に十分な金融資産があったり、いざとなったらいつでも頼ることができる親族がいたりといった場合は別ですが、一般的には公的保険や職場の保障、そして足りない分は民間の保険で手当てします。
何かあった場合に備えて、金融資産やさまざまな保障をきちんと確保できていれば、将来のリスクに対して不安を抱えることなく生活していけますね。
3. 選択肢(現在の選択の自由度)
三つ目は現在の選択の自由度ということで「選択肢」です。生活していくために必要なニーズ(Needs)に加えて、経済的な余裕があれば手に入れたいウォンツ(Wants)もあります。
例えば、食事については、生きていくために一定のカロリーを摂取していくことは必要(ニーズ)です。一方、記念日などに豪華なディナーに行ったり、友人たちとの飲み会に行ったりと、人生をより充実させるためのウォンツもあるでしょう。
ケチケチと節約第一で過ごしていくのではなく、適度にウォンツを手に入れる選択肢を持っている、経済的に良好な状態がファイナンシャル・ウェルビーイングの一要素と言えます。
4. 将来見通し(将来の選択の自由度)
最後、四つ目は将来の選択の自由度ということで、「将来見通し」です。3年後にこのくらいの予算でマイホームを買いたい、クルマは何年おきに乗り換えていきたい、老後はこのくらいの生活水準で過ごしていきたいなど、将来のライフプランをイメージしながら、その実現に向けて経済的に準備が進んでいるかどうか、その見通しを持てているかどうかです。
もちろん上を見ればキリがありませんので、途方もない目標を掲げることは現実的ではないでしょう。しかし、身の丈にあった、ライフプラン、ファイナンシャルプランを立て、その実現に向けて着実に前進できていることを日々実感できることがファイナンシャル・ウェルビーイングにつながるのです。
目指すはお金持ちより、ファイナンシャル・ウェルビーイング
お金持ちになりたい、収入を増やしていきたい、と考えている人も多いのではないかと思います。もちろんそういった気持ちを持ち、向上心を持ち続けていくことは大切です。
しかし、お金それ自体が目的化してしまうのはあまり適切とは言えません。
お金という数字だけにこだわってしまうと、常に「上には上がいる」という現実に向き合わなければなりません。お金を得て、その先で何を実現していきたいのか、どんな人生を送っていきたいのか、そういったことの方がより重要ではないでしょうか。
足るを知り、自分なりのライフプラン、ファイナンシャルプランを作成し、それを実現していく、つまり、ウェルビーイングの実現を目指していくのです。
日々忙しい生活を送っている人も多いと思いますが、一度、立ち止まって、ご自身にとってのファイナンシャル・ウェルビーイングとはどのようなものか、ぜひ考えてみていただければと思います。
【関連リンク】
著者・横田健一が監修した「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」が始まりました!
経済的に良好な状態とは?「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を実現する四つのポイント
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