3月31日の東京株式市場で、日経平均株価が大幅下落している。前週末比と比べた下げ幅は一時1,500円を超え、3万5,500円台をつけた。前週末の米国株式市場で、トランプ米政権の「相互関税」政策の不安や米景気後退の懸念が広がり、大幅安となったことが影響した。今後のマーケットの注目点について、楽天証券経済研究所の土信田雅之に聞いた。
日経平均3万5,500円台 トランプ関税、米景気後退の懸念
3月31日の東京株式市場で、日経平均株価が大幅下落している。前週末比と比べた下げ幅は一時1,500円を超え、3万5,500円台をつけた。前週末の米国株式市場で、トランプ米政権の「相互関税」政策の不安や米景気後退の懸念が広がり、大幅安となった流れを引き継いだ格好だ。
米国の金利低下でドル/円相場が1ドル=148円台まで円高方向に振れたことも日本株市場の重荷になった。今後、日経平均はどこまで下がるのか。相場の動きや注目点について、楽天証券経済研究所の土信田雅之に聞いた。
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__株式市場が大幅下落している理由は
トランプ政権が4月2日に公表する「相互関税」について不透明感が高まっている。加えて、米景気の悪化懸念も高まっており、投資家の間でリスク回避の売りが広がったためだ。
__前週末(28日)の米株式市場で、S&P500種指数は1.97%安、ダウ工業株30種平均は1.69%安、ナスダック総合指数は2.70%安と急落した
景気が悪くなると通常はFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げして景気を支えるが、それを邪魔しているのが関税を中心としたトランプ政権の運営だ。
トランプ政権の動き次第では、景気が悪化してもFRBが適切に利下げを実施できず、インフレや金利が高止まりする、いわゆる「スタグフレーション」の状態になるかもしれないという警戒感が高まった。特にハイテク株など成長株の比率が高いナスダックは売られやすく、大きな下げにつながった。
__3月31日の日経平均も大幅下落している
日本株は景気敏感株で、景気に対する不安が高まると積極的に売られやすいという性質がある。それが相場下落に大きく表れた格好だ。
__節目となる3万6,000円台を割り込んだ。今後の動きのイメージは
まずは3万6,000円台がベースになる。トレンド面でとらえると、今日3月31日の市場でどこまで買い戻しが入りローソク足を短くしていくかがポイントになる。株価が下振れした場合、いったんの下値メドとして3万5,000円くらいで下げ止まれるかがポイントになるだろう。
今後マーケットは上向くか?トランプ関税の注目点
__今後、マーケットが上向くきっかけとして注目すべき点は
米国の動き、特に関税政策と景況感の組み合わせだ。
関税政策にはいくつか種類があり、最も注意が必要なのは、自動車関税のように米国への輸入部品などに関税をかけることで外国企業に米国内での生産を促す目的のものだ。米国ファーストの面が強く、交渉や妥協の余地が少ないため、半導体など製薬などに対象分野が広がり過ぎると貿易戦争化するリスクが高い。
一方、今回話題となっている相互関税は株式市場への影響がややマイルドだ。関税比率の違いや為替政策など相手国との貿易不均衡を是正するためのもので、相手国との交渉の余地があり、緩和や撤廃の可能性もある。トランプ氏から理不尽な要求がない限り過剰に悲観しなくてもよいだろう。
4月2日に発表される内容が予想以上に悪くなければ、安心感で株価が反発しやすい。まずは2日の株価の動きが今後の相場展開のポイントになるだろう。
__トランプ政権の動きは、株式市場にどのように影響する
マーケットがここまで荒れる最も大きな要因は、トランプ氏が何をしてくるか分からないという不確実性だ。このような状況下では、企業や相手国は1、2年後を見据えた中長期の計画を立てにくい。
大統領の任期は4年。中間選挙で共和党が破れれば、早くて2年でトランプ氏の求心力が低下する可能性もある。この期間は様子見でいようと考える投資家や企業が増えれば、経済の規模が縮小してしまう。三期目という話が出てくると、さらに見通しがきかず企業も動きにくくなるため、マーケットもリスク回避をせざるを得なくなる。
__米国経済の動きをどうみている
ミシガン大学消費者態度指数やPCE(個人消費支出)など、将来の見通しを反映する先行系の経済指標で景気減速を示すものが出ているため、将来のスタグフレーションの不安が高まっていることは間違いない。
一方、景気後退懸念が現実化してくるかどうかは、今週から順次発表のある雇用統計やISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数、小売売上高などの指数をみて、時間をかけて確認していく流れになる。
__日経平均が3万8,000円台のレンジに戻るのには時間がかかるか
少なくとも今日の下げは不安を先取りし過ぎている印象だ。短期的には3万7,000~3万8,000円の戻りを期待できるが、反発や下げが続くのかは時間をかけながら答え合わせが必要だ。景気経済指標や企業決算を通じて方向感を探っていく流れになる。中長期的に見通しにくい展開はしばらく続くだろう。
【速報】日経平均急落、何が起きてる?下値メドは?
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