音響部品メーカーから「万能型製造ハブ」に進化、2025年も好業績持続へ
現地コード | 銘柄名 |
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02018 |
瑞声科技控股 (AACテクノロジーズ) |
株価 | 情報種類 |
52.05HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国のスマホ部品メーカー、瑞声科技の2024年下期決算は、売上高が前年同期比44%増加し、粗利益率が3.3ポイント上向くという力強い内容だった。経営陣は自動車の電動化や先進型マイクロフォン、AIスマートフォン向けハイエンドVC(ベイパーチャンバー)冷却装置、光学部品などの利益率の回復を背景に、2025年も前年比2桁増収を確保する見通しを示している。BOCIは国家補助金やAIの応用、家電製品のプレミアム化、XR(クロスリアリティー)化、ロボット開発といった業界全体の追い風を受け、同社が取り組んできた様々なプロジェクトが、2025年に実を結ぶと予想。2027年予想PER(株価収益率)で27倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続した。
2024年下期の売上高は前年同期比44%増の160億元と、BOCIの予想と市場予想を17%、6%上回った。粗利益率は3.3ポイント上昇して22.5%。純利益は114%増の12億6,000万元に達し、BOCIと市場の予想を22%、8%上振れた。買収したプレミアム・サウンド・ソリューション(PSS)社の連結化に伴う車載音響部門の粗利益率の改善や、アンドロイド機の売れ行き回復と仕様のアップグレード、光学部品の収益性向上が寄与した。
経営陣は続く2025年の業績に対して強気。光学部品とEMD&PM(電磁駆動・精密機械)で2桁台半ばから後半、音響部品に関しては1桁台前半の増収を予想し、同社全体で2桁増収を見込む。規模の拡大やプレミアム化で、粗利益率はさらに上向くと予想。営業費用の対売上高比率や設備投資(20億-23億元)は安定的に推移する見通しを示した。
部門別では、既存の車載用ビジネスの売上高が2024年に35億2,000万元と、前年比600%を超えて急増した。世界の車載用マイク市場における同社のシェアはすでに15-20%の水準にあるが、遠からずこれを30%に引き上げる目標を掲げる。
ロボティクス事業では、米主要取引先のヒト型ロボットプロジェクト向けに最先端ロボットハンドやジョイントモーター、アクチュエーターを開発中。ただ、実用までには時間がかかる可能性があり、短期的には小型協働ロボット向け部品が収益の柱となる。
家電・電子製品向け事業では、有力顧客向けのハイエンドVCに強みを持ち、2025-28年に前年比2桁の増収を維持する見込み。BOCIはほかに高感度マイクやモーター、その他部品ビジネスについて、AIの活用による大きなプラス効果を見込む。
光学部品では、同社が長年開発してきたWLG(ウェハレベルガラス)の歩留まり率が大きく改善(70-80%超)。経営陣は国内主要メーカーによる新規の採用で、2025年の出荷個数が1,000万個を超える見通しを示した。BOCIはWLGがすでにGMOガラス(ガラスモールドレンズ用ガラス)と肩を並べるレベルに達したとみている。
BOCIはスマホ市場の回復やプレミアム化などを理由に20-26年の予想EPS(1株当たり利益)を20%、30%増額修正。新たな予測に基づくEPS成長率は2024-27年の年率平均で30%となる。