日米株の株価調整+円高の進行でパフォーマンスが悪化

 筆者の下には個人投資家の方からの相談・質問が数多く寄せられますが、ここ最近増えてきたのが「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)のパフォーマンス(運用成績)が足元で急速に悪化してきた。ここからどうすればよいのか?」というものです。

 確かに足元では日本株、米国株ともに調整含みですし、さらには為替が円高に振れていることもあり、外国株の円建てでの評価額も下がりやすい状況です。

 ここで筆者が個人投資家の方にお伝えしたいのが、NISAを使ってどのような投資をしているのかにより、パフォーマンスが悪化した場合の対処方法も変わってくるということです。

長期分散積立投資であればそれ自体を信じるかどうかにかかっている

 もし、NISAのつみたて投資枠を使うなどして、インデックスファンドなどの長期分散積立投資を行っているのであれば、パフォーマンスの悪化は気にせず、淡々と積み立てを継続していくのが正解となります。

 なぜなら、長期分散積立投資というものは、マーケットが良かろうと悪かろうと、株価が上がろうと下がろうと関係なく、毎月(もしくは毎日)一定額を投資してそれを長期間続けることで、長期的な株価の値上がりを享受しよう、というものだからです。

 ちなみに、2008年のリーマン・ショック後、特に2020年のコロナ・ショック後は世界的に株価が上昇を続けていて、まさに長期分散積立投資が奏功しました。

 投資初心者の方は、この状況が今後も続くと期待しているようですが、過去のマーケットの歴史を振り返ってみると、10~20年程度、マーケットが横ばいの状態に陥り、長期分散積立投資をしてもほとんど増えない、という時期がありました。

 100年近く前には世界大恐慌により、ダウ工業株30種平均が10分の1近くまで下落したこともあります。

 過去はいずれも、そのような時期を乗り越え、長期的には株価が右肩上がりの上昇を続けていますが、10年程度の時間軸で考えれば、長期分散積立投資を継続していてもほとんど資産が増えない、という時期も大いにあり得ることを覚悟しておく必要があるでしょう。

 ですから、NISAを用いて長期分散積立投資を行っている方は、長期的なプラス効果を信じることができるかどうかにかかっています。

 もし信じられないのであれば、他の方法により投資をする必要があります。

個別銘柄であればNISA口座でも通常の口座でも考え方は同じ

 次に、NISAを用いて個別銘柄投資を行っている場合です。個別銘柄の場合はインデックスファンドと異なり、長期保有した結果が銘柄によりまちまちになります。

 この点、NISA口座で個別銘柄に投資するメリットは、将来利益が生じた場合に税金がかからないということです。逆に損失を被った場合は、その損失は切り捨てになってしまいますから通常の口座と比べた場合のデメリットになります。

 NISA口座で投資しようが、通常の口座で投資しようが上記のメリット・デメリット以外については、根本的に同じ考え方であることをまず理解しておいてください。

 そして個別銘柄をインデックスファンドと同じように長期保有した場合、大きく株価が上昇することも、大きく下落することもあります。

 また、その銘柄に投資をした時期によっても大きく影響を受けます。株価の天井付近で投資したのであれば、損失を被りやすくなりますし、コロナ・ショックによる急落時に買ったように、株価の底値付近で投資した場合は利益を得やすくなります。

 もし大きく株価が上昇したなら、長期保有は成功となりますが、大きく株価が下落した場合は多額の損失や、含み損を抱えた塩漬け株をつくってしまうことになります。

大きく負けないことを念頭においた行動を心がけよう!

 筆者は常々、株式投資では「大きく負けない」ことを念頭に置いた行動を心がけるようお伝えしています。

 その観点からすると、インデックスファンドの長期分散積立投資は、個別銘柄のように5分の1、10分の1となることがほとんどない点から、大きく負けにくいといえます。ただ、10年程度のスパンでは全く増えないということも今後十分あり得ますので、その覚悟を持って継続していく必要があります。

 個別銘柄の場合は、長期保有により株価が10倍以上になることも、10分の1以下になることもあります。

 そのため筆者であれば、株価の大きな下落により大きな損失を被ったり塩漬け株をつくったりしないよう、売却・損切りのルールを決めています。マーケット環境によっては頻繁に売却しなければならないこともあります。

 一方、NISA口座は長期保有を前提とした制度のため、頻繁に売買をするような投資手法は向いていません。

 逆にこのことが、個別銘柄であっても長期保有しなければならない、という固定観念につながり、結果的に塩漬け株を大量発生させることになってしまうのです。

 であればNISA口座は長期分散積立投資をメインに据え、個別銘柄については通常の口座を用いて行って、大きな損失を被らないように売却ルールを決めてそれを守っていくほうが無難と考えます。

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