2024年下期の業績低調もAI普及が追い風、インフラ設備の有力サプライヤーに

現地コード 銘柄名
00763

中興通訊

(ZTEコーポレーション)

株価 情報種類

26.30HKD
(3/4現在)

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 中国の通信設備大手、中興通訊の2024年下期決算は、収益構成の悪化が響いてBOCIの予想を下回った。ただ、BOCIは2025年以降、通信キャリア向けビジネスの業績回復を予想。AIアプリケーションの垂直的な広がりを受けたクラウド・インフラ需要の拡大が同社の受注増につながるとみている。特に収益成長の強力なけん引役として期待されるのは、国産のチップセットを搭載した自前のAIサーバー。通信キャリア向けネットワーク設備事業と、政府機関・企業向け製品販売事業という両面から、収益貢献が期待できるとした。2025年予想PER(株価収益率)15.19倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中興通訊はAIモデル「DeepSeek-R1」と、鉄鋼産業向けにカスタマイズしたLLM(大規模言語モデル)「河鋼数字(Hegang Digital)」を搭載した訓練・推論一体型のAIデバイス「AICube」を発売した。産業レベルでのAI応用の拡大で、2025年以降はルーターおよびサーバー製品の販売が加速し、従来型の通信設備販売の減速を補うとみられる。

 2024年通期の売上高は前年比2.4%減の1,213億元。下期の売上高は前年同期比7.5%減、10-12月期には10.3%減となり、BOCIの予想を下回った。通信キャリア各社による国内の設備投資の縮小が原因であり、これを政府機関・企業向け、消費者向け事業の堅調が一部補った。2024年末現在、通信キャリア、政府・企業、消費者向けの売り上げ比率は58%、15.3%、26.7%となっている。

 2024年通期の純利益は前年比9.7%減の84億2,500万元で、下期に限ると前年同期比30%の減益、10-12月期は65%の大幅減益。粗利益率の低下が響き、BOCIの予想を下回った。下期の粗利益率は前年同期比で4.7ポイント、上期比では5.3ポイント縮小したが、これは政府・企業向けビジネスの低利益率が響いたため。これを通信キャリア向けビジネスの粗利益率改善で一部をカバーした。

 BOCIは2024-25年の予想売上高を8.6%、11.3%減額修正。予想純利益については15.7%、14.7%引き下げた。設備投資の縮小を受けた従来型の通信設備販売事業の縮小見通しを反映させた。

 目標株価の算出に当たっては2025年予想PER15.19倍をベースとしたが、これはA株の同業銘柄平均(同26.2倍)に対して58%のディスカウント水準。過去5年間のA株・H株価格差を当てはめた。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、サプライチェーンの混乱や、主要部品、半導体などの供給不足の可能性を指摘。これが同社利益の最大の不確定要素になるとした。また、中国国内の売上構成比が70%を超える事情から、中国経済に変動が起きた場合、同社収益に影響する可能性を指摘している。