これまで数多くの勝ちと負けを経験してきた岐阜暴威さん。投資は収支によって感情が大きく揺れ動くこともありますが、岐阜暴威さんが勝ったとき、負けたとき、いったいどのような精神状態にあるのでしょうか。後編の今回は、岐阜暴威さんの収支への向き合い方や、将来の夢などについて伺いました。

大勝ちしたときは豪遊モードに!?

トウシル:岐阜暴威さんは負けていることが注目されがちですが、大きく勝つこともありますよね。勝ったときはどのような心境なのでしょうか。

岐阜暴威さん:勝っているときは「億が見えた!」という気持ちですね。

トウシル:それはまた極端ですね(笑)。

岐阜暴威さん:はい。それくらい強気で行かないと続けていられませんよ(笑)。そして、高値更新が見えると気が緩んで積極的に売買を繰り返していきます。「そんなに熱くなって大丈夫?」と思われるかもしれませんが、ある程度の油断は良いことだと思っています。勢いに乗って、そのまま億トレーダーに駆け上がれる可能性もありますし。

 しかし、私がよくないのは負け始めた際に、なかなかブレーキをかけられないことです。「ここまで勝っているから、また持ち直せるはず!」という思いで損切りをしても、次の投資、また次の投資…と続けてしまいます。

トウシル:勝っているときの勢いに乗る一方、冷静さも必要だということですね。

岐阜暴威さん:そうですね。勝っているときはある意味「バカになる」のも大事ですが、流れが変わったときにちゃんと対応できるように、冷静な面と熱くなる面の両方を持っておく必要があります。心を「熱さ」と「冷静さ」の真ん中に置いておかないと、どちらかに傾きすぎたときに戻れなくなります。

トウシル:ちなみに、岐阜暴威さんは勝ったときに派手にお金を使ったりするのでしょうか? 

岐阜暴威さん:思いっきり使いますね! 2023年は5月ごろまで1,000万円ほど負けていたのですが、後半で見事に取り返したので、12月は豪遊しました。私は池袋のコンセプトカフェが大好きで、1カ月で40万円ほど使いましたね。

 西新宿のマンスリーマンションを借りちゃって、毎晩のように池袋まで歩いて通い、お酒を飲んではフラフラになりながらまた歩いて帰るというめちゃくちゃな生活でした。

トウシル:豪快ですね! 使いっぷりも派手で、人生が楽しそうです(笑)。

岐阜暴威さん:「なんてダメな人だ」と思うかもしれませんが、お金を使うことは大切だと考えています。あるとき、勝っているトレーダーさんから「勝ち始めたのにずっとケチな生活をしていると、金銭感覚が大きくならない」とアドバイスをもらいました。

 今のような資産2,000万円では20万円の増減で一喜一憂していますが、資産額が増えると100万円以上の変動が当たり前になります。その変動に慣れるためにも、どんどんお金を使って大きな金銭感覚を養わないといけません。

 ただ、「お金は天下の回り物だから、使えば返ってくる」とも言われたのですが、実際には翌年めちゃくちゃ負けて「聞いていた話と違うじゃないか!」とも思いました(笑)。

岐阜暴威さんYouTubeの画像
含み損も包み隠さずYouTubeで日々、公開。何度も言うが、勝っているときもあるし、現在、資産も2,000万円程度確保している、現役の攻撃型トレーダー。生涯収益をプラスに持っていけるかは、岐阜暴威さんが投資を辞める時に初めて分かるはず。

負けから立ち直るにはぜいたくすること!?

トウシル:勝ったときは豪遊するとのことですが、退職を決めた直後の大負け時は、どんな心境だったのでしょうか。

岐阜暴威さん:正直、来世のことが頭をよぎりましたね(笑)。当時は37歳で、再就職も厳しい年齢でしたし、「また朝の通勤電車に乗るのか…」と考えると本当に追い込まれた精神状態でした。

トウシル:そこまで追い込まれて、どのように立ち直ったのですか?

岐阜暴威さん:負けている状態でもとにかく踏ん張り続けていたら、勝ち始めたんです。2カ月で1,000万円ほど損失を出した状況でしたが、翌月に少しプラス、さらにその翌月には300万円ほど勝てました。「まだ生き延びられるかもしれない!」という希望が見えてきて、メンタルが回復していきましたね。

 相場で戦っている人間にとっては、収支が全てです。たとえ誰かがサポートしてくれても、勝たなければ意味がありません。優待や企業を応援する気持ちを持つ株主投資家を除いて、多くの人は「相場で利益を出したい」と考えているはずです。つまり、勝つことが全てであって、勝てなければゴミです(断言)。

トウシル:負けたときは、とにかく勝つまでやるしかないのですね。その中でも岐阜暴威さんが気持ちを切り替えるために実践していることはありますか?

岐阜暴威さん:負け始めているときは負のループに陥っている可能性が高いので、強制的に出金することがあります。例えば、証券口座に1,000万円あれば800万円を出金して200万円だけ残し、高いレバレッジをかけられない状態にします。他には、よく豪遊もします。

トウシル:負けたのに、また派手に使っちゃうんですか!?

岐阜暴威さん:負けた時の豪遊は、身近な食事で豪遊します。例えば、ラーメン屋でチャーシューメン大盛に餃子とご飯をつけても2,500円程度ですよね。

 100万円や200万円という非現実的な損失を出した後なので、「3,000円もあれば、人はおいしいものを食べて満腹になり、幸せなほどぐっすり眠れるんだ」と感じられます。私にとってラーメン屋で豪遊することは、現実に戻ってくるための大切な手段です。

トウシル:ちなみに、相場を見るのを一時的に控えるということはしないのですか?

岐阜暴威さん:しません。常に見ています。そして「損切りしなければ良かった」「あの時のポジションを持っていれば利益になったのに…」という「たられば」を考えてしまいます。私は失敗を引きずるタイプで、今でも「あの時7ドルで買った原油を持っていれば…」と考えてしまいます。よくないと分かっているのですが…。

負けを公開し続けた結果、新たな境地を切り開いた

トウシル:投資で成績が悪くなると急に発信が途絶える人もいますが、岐阜暴威さんはどんな状況でも公開し続けていますよね。

岐阜暴威さん:私の場合は特殊で、負けをXやYouTubeでさらし続けることで、一種の「芸」として消化できるようになりました。

トウシル:確かに、コメントを追ってみていると、岐阜暴威さんが負けている状況を見たい、というフォロワーさんや視聴者さんがファン層のようですね。

岐阜暴威さん:そうなりますね(笑)。ただし、一つ言っておきたいのは、私は決して負けたくて負けているわけではありません。確かに月に500万円の損失を出すと、YouTubeライブの視聴者が普段の2〜3倍に増えます。

 その結果、YouTubeの月の収益が50万円を超えることもありますが、結局500万円負けているので収支はマイナスです。もう、ただの赤字企業です…。悲しいです、勝ちたいです…(笑)。

トウシル:それだけYouTubeが盛り上がると、他の投資家さんや視聴者さんからアドバイスをもらうことはないのですか?

岐阜暴威さん:アドバイスをもらっても、損したときは「アドバイスしたやつのせい」で、もうかったときは「俺の実力」といった「ジャイアン理論」が働いてしまいます(笑)。なので、人からのアドバイスは聞きません!

 確かに、視聴者さんなどからDMでアドバイスをもらうこともあります。しかし、損失を出したときは、その人が補填(ほてん)してくれるわけではありませんよね。50万円損しても40万円キャッシュバックしてくれるならいいですが(笑)。

トウシル:逆に岐阜暴威さんがアドバイスすることはありますか?

岐阜暴威さん:実は同居している親も投資をしていて、前にドル建ての投資信託の売却を勧めたら、ちょうどその日を境に円安が加速して100万円ほどの利益を逃した経験があります。僕のアドバイスは本当に「逆神」になることが多くて、苦い思い出です(笑)。

こんなに負けていても幸せな人生を歩んでいる

トウシル:本日、お話を聞きながら、内心「ひぇぇ~」と思っていたんですが、岐阜暴威さんは今の生活をどのように感じているのですか? 

岐阜暴威さん:40代無職のおじさんが相場で負けている悲しい人生だと思うかもしれませんが、実は私はとても幸せです。タワーマンションに住んだり高級車に乗ったりする経験はしてみたいですが、それよりも毎日好きな時間に起きて、食事して、運動して、お昼寝して、夜は散歩するような自由な生活の方が理想的です。まさに、今はそれができている状態ですね。

 もし、これから資産を4,000万円から6,000万円くらいまで増やせたら原付のスーパーカブ50で日本全国を旅したいです。

岐阜暴威さんYouTubeのサムネイル
日常のライブ配信も人気コンテンツの一つ。取材した2月6日にも「上野駅から鶯谷駅まで歩く」というライブを配信。治安のよろしくない地帯を歩いていて、トウシル編集部も電車の中でドキドキしながら拝見した。折々入る、フォロワーさんの道案内が親切で、愛されてるなぁと実感。

トウシル:「FIREするぞ!」とか「1億円稼ぐんだ!」ではなく、自分の好きなことをするのが理想なのですね。 

岐阜暴威さん:何回かお金を派手に使って豪遊した経験はありますが、それよりも「岐阜から東京まで原付で来た」といった、お金を使わなくても得られた「思い出」の方がしっかり心に残っているんです。信号待ちのタイミングでは相場をチェックし、チャンスだと思ったら道路わきのコンビニの駐車場に駆け込んで売買もしますが(笑)。このような「旅トレーダー」になるのが目標ですね。

トウシル:たとえ、一生お金に困らないくらいの資産ができても、相場は続けますか?

岐阜暴威さん:絶対に続けます! 負けているときは「もう投資なんかやめたい」と思いますが、相場ほど楽しいものはありません。

 簡単に言えば相場の上げ下げを当てるだけですが、上がるか下がるか、その2分の1が当たったときの自己肯定感は何にも代え難いものがあります。なので、相場とは一生付き合っていきます。もし私が死んだら含み損のポジションを誰かが相続することになるかもしれませんが(笑)。

 また、実はもう一つ私には夢があります。相場で勝って、いろいろなところに寄付することです。

 昔、家族が入院したときに面会ができず困っていたところ、知り合いの投資家さんがその病院に多額の寄付をしていたことから、コネを使って面会できることになりました。寄付のように、誰かのためになることをしていれば、こういう恩恵も受けられます。だから、次は私が誰かに何かを還元できる立場になりたいですね。

トウシル:すてきな夢もお聞かせいただいてありがとうございます! 最後に、投資で負けて悩む人たちへメッセージをお願いします。

岐阜暴威さん:私が言うのもおかしな話ですが「投資をやめる」というのも一つの選択肢だと思います(笑)。私は20年近く投資をしていますが「もっと早く引いていれば」と思うこともあります。私の「諦めない」ところはまねしてもいいかもしれませんが、「熱くなりすぎる」ところは絶対にまねしない方がいいです。

 自分にセンスがないと感じたら、コツコツと投資信託を積み立てる、積立投資に切り替えるのも手だと思います。長期的な視点で考え、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の活用などもおすすめです。

トウシル:とはいえ、岐阜暴威さん、新NISAって、まったく興味ないでしょ(笑)。

岐阜暴威さん:まったくないです(笑)。

トウシル:だと思いました(笑)。全力で走り抜けていく岐阜暴威さんの足跡を、これからも追わせていただきます。岐阜暴威さんを応援する人たちを「岐阜暴威軍」と呼ぶそうですが、トウシルもぜひ、その生きざまを応援する「岐阜暴威軍」の一人としてウオッチさせていただき、いつかは大成功のインタビューをさせてください! 本日はありがとうございました!

「負けてもゾンビのように這い上がる。投資界の「逆神」・岐阜暴威さんインタビュー[前編]」はこちら>>