決算内容が良いのに株価が上昇しないことは多々ある
「業績が良い会社の株価は上がる」。
これは株式投資をしている人ならもはや常識といえるでしょう。
しかしながら、時には決算の内容が良いのに株価が上昇しないこと、そして上昇しないどころか急落することもあります。
特に投資初心者の方は、なぜ決算内容が良いのに株価は上昇しないのか?と首をかしげてしまうことが多いと思います。
そして決算内容が良いのに株価が上昇しないことを「安く買える絶好の機会」ととらえようとします。
でもその結果、株価が全然上がらない、さらには下落してしまって塩漬け株をつくってしまう…というケースを本当によく耳にします。
決算内容は良いがプロの予測と比較すると…
では、なぜ決算内容が良いのに株価が上昇しないことがあるのでしょうか? この理由を知れば、投資初心者の方も「そういうことだったのか!」とスッキリすると思います。
理由としては大きく二つあります。
一つ目は、「確かに決算内容は良いが、プロ投資家の予測よりは良くなかった」ということです。
私たち個人投資家が決算内容を事前に予測する情報源としては、例えば会社四季報であったり、企業が発表する業績予想だったりします。
ところが、これらの情報をプロ投資家は基本的に見ていません。彼らは独自の分析力、用法網などを活用し、彼ら自身で企業の決算内容を予測しています。
特にプロ投資家の売買の中心となっている銘柄であればあるほど、株価はプロ投資家の予測に沿って動くことになります。プロ投資家が企業発表の業績予想を大きく上回ると分析すれば、彼らはその銘柄を買い上がっていくため、株価も大きく上昇していくのです。
そして決算発表が行われ、確かに企業発表の業績予想より良い数値が出た、それでも株価は上がらなかった…ということも起こり得ます。
これは「企業発表の業績予想よりは良かったが、プロ投資家の予想よりは良くなかった」という可能性が考えられるのです。
プロ投資家の行動・判断基準はあくまでプロ投資家自身の予測と実際に出された決算内容との相違であって、それにより決算後の株価が変動します。
決して個人投資家が知り得る情報と実際の決算内容との相違ではないことに十分注意してください。
株価は終わった過去ではなく将来を見越して形成される
もう1点の大きな理由は、「株価は将来を見越して形成されている」という点です。
「株価は6カ月~9カ月ほど先を織り込んで動いている」とよく言われています。
実際に、業績がピークをつける6カ月前から9カ月前あたりに先んじて株価が天井を付けていることはよく見かけます。
一方、決算発表というのは、「すでに終わった過去の出来事」に対しての結果発表ですから、そもそも株価形成要因としては弱いものです。
ここから想定されるのは、たとえ足元の決算内容が良くても、今後の見通しが厳しそうであったり、不透明感が強いと投資家が判断すれば、株価は上がらなかったり下がってしまうということなのです。
事実、ある半導体関連株が先日かなり良い内容の決算発表を行いましたが、株価は数日程度上方向に反応したものの、その後は横ばいとなり、直近では底割れして昨年来安値を更新しています。
これはやはり、先行きの懸念、もしくは不透明感の増大が直近の好決算に勝った形での株価形成がなされているというべきでしょう。
個人投資家としての対処法は?
このように、決算内容が良好でも株価が上がらない、もしくは下がるケースがよくある点は個人投資家として必ず知っておきたいことです。
では、私たち個人投資家はどのように対処していけばよいのでしょうか?
残念ながら、実際の決算内容がプロ投資家の予測より良かったのか悪かったのか、そしてプロ投資家が決算内容よりも将来の業績の見通しに懸念をどれくらい強く持っているのかを、私たち個人投資家が正確に知ることができません。
だからこそ、決算発表後に株価が乱高下することが多いのです。
であれば、余計なリスクを取らないことが個人投資家にとっては重要であり、例えば決算発表の直前に「好決算間違いなし!」と買い仕込んだりすることはリスクが高い行為といえるでしょう。
また、決算内容にかかわらず決算発表後に株価が急落した場合は、投資家が先行きの懸念を強く持っていることになりますから、安易に買い向かうことはせず、少なくとも株価が下げ止まって上昇に転じたことを確認してから買った方がよいと思います。
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