米国高配当株とS&P500、パフォーマンスを見ると?

 SCHDが設定された2011年11月以来の運用実績を比較(図2)すると、中長期の実績ではSCHD、VYMともにS&P500を下回っています。この期間は、業績が好調だった情報技術セクターが米国株式市場をけん引したため、同セクターの投資比率が低いSCHDとVYMがS&P500を下回るのは必然です。

 過去3年間の運用実績を比較(図3)しても、S&P500が優位だったことに変わりはありませんが、注目したい局面があります。2022年から2023年にかけて、一時的にSCHDとVYMがS&P500を上回っていたのです。

 この期間はFRB(米連邦準備制度理事会)が米国の政策金利を引き上げた利上げ局面です。高成長銘柄である情報技術セクターにとっては、逆風の市場環境。また、2022年から2023年にかけては市場の変動が高まったことから、相対的に価格変動率が低くディフェンシブな特性を持つ高配当株が優位となりました。

 冒頭でお話しした、安定的に運用したいなら高配当株。でも、株価成長力ではS&P500では負ける可能性がある、というのはここでも分かります。

 さらに、SCHDとVYMでパフォーマンスを比べると、中長期(図2)ではSCHDが上回り、過去3年(図3)ではVYMが上回っています。これは金融セクターへの投資比率の違いが一因になっていると考えられます(VYMの方が金融が多い)。

 2020年のコロナショックから2021年にかけての金利低下局面では金融セクターが出遅れ、2022年以降の金利上昇局面では同セクターが大きく上昇しました。

 このように運用実績は、どの期間で見るか、その期間の市場がどのような環境だったかで結果が変わります。つまり、普遍的な優劣はつけるのは簡単ではありません。できることは、過去の実績を参考にどのような特徴があるかをつかむこと。

 ざっくりですが、低金利・ハイテク株優位な環境であればS&P500、高金利・ハイテク株低迷の環境であれば高配当株が有利になりやすいイメージです。

図2:SCHD運用開始来の実績比較(2011/11~2025/01)

図2:SCHD運用開始来の実績比較(2011/11~2025/01)

図3:過去3年間の実績比較(2022/01~2025/01)

図3:過去3年間の実績比較(2022/01~2025/01)
※出所:図2、図3ともMONO Investment社、WealthForceにて作成

分配金を受け取るか?受け取らないか?

 最後に高配当株のファンドを選ぶポイントとして、押させておきたいのが「分配方法」。高い利回りを「すぐ受け取りたいか」「資産の成長に充てるか」のどちらを重視するかです。

 運用の成果である分配金を定期的に受け取って、生活費に充てる、取り崩すつもりで使う、あるいは運用の成果を実感したいというのであれば、四半期ごとなどの「分配型」を選ぶ。

 そうではなく、複利効果を生かしながら長期での資産の成長を目指すなら、分配金を受け取らず、「再投資」を選びましょう。

 注意したいのは、四半期決算型などの分配型で分配金を再投資するケースです。例えば、特定口座で分配金を再投資する場合、利益から払い出される普通分配金はおよそ20%課税されてしまいます。

 また、NISA口座で払い出された分配金を再投資する場合は、その分だけNISA枠を消費します。例えば、NISAで限度額ピッタリに毎月の積立額を設定している場合、12カ月目に(分配金の再投資で枠を消費したため)積立できないケースがあることに注意が必要です。

 高配当株ファンドは、「安定的に運用したい、定期的な収入が欲しい、S&P500とは少し異なる値動きのファンドに投資したい」という人に向いているファンドです。特徴をよく理解した上で、自分のニーズ合ったものに投資できるといいですね。

「楽天・高配当株式」シリーズの概要

楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)
米国に上場するETF「シュワブ・米国配当株式ETF(SCHD)」に投資して、配当収益の確保と中長期的な値上がり益の獲得を目指す。決算は2月、5月、8月、11月の年4回。

楽天・高配当株式・米国VYMファンド(四半期決算型)
米国に上場するETF「バンガード®米国高配当株式ETF(以下、VYMと略称)」に投資して、配当収益の確保と中長期的な値上がり益の獲得を目指す。決算は1月、4月、7月、10月の年4回。
※2025年3月3日まで当初募集を行い、2025年3月5日に設定

楽天・高配当株式・日本ファンド(四半期決算型)
ダウ・ジョーンズ日本配当100インデックス(S&P)を参照し、安定した配当実績を持つ高配当企業の中から銘柄を選定。決算は3月、6月、9月、12月の年4回。