個人投資家が株式投資をする際にネックとなる「資金の限界」

 個人投資家が株式投資をするとき、どうしてもネックとなる点がいくつかあります。

 例えば、

  • プロ投資家に比べて個人投資家が得られる情報量が圧倒的に少ないこと
  • 企業分析にかけることのできる時間も労力も知識も乏しいこと

などが挙げられます。

 そして非常に大きなネックとして考えられるのが「投資に回せる資金の量に限りがある」という点です。

 この点をよく意識して私たち個人投資家は株式投資をしないと、なかなか資産を増やすことができなくなってしまいます。

 そこで今回は、投資資金に限りがある個人投資家が、資金効率を考慮して成功につなげるためにどのような点を意識しておくべきか、お伝えしたいと思います。

投資戦略(1):塩漬け株をつくらないようにする

 筆者は、個人投資家が資金効率を考慮して株式投資をするのであれば最も重視すべき点が「塩漬け株をつくらないようにする」ことだと考えています。

 例えば投資可能資金が500万円あり、1銘柄につき100万円ずつ、計5銘柄に投資したとします。

 その後マーケットが軟調に推移し、5銘柄のうち3銘柄はトントンで売却できたものの、2銘柄の株価が大きく下落、買値の半分にまで値下がりしてしまいました。

 塩漬け株をつくってしまった後の個人投資家の心理としては、「せめて買値まで戻ったら売ろう」というものが圧倒的に多いはずです。そのため上記の例であれば2銘柄はそのまま保有を続けることになります。

 その後マーケットが堅調になってきたため、改めて株式に投資しようとした際、投資に回せる資金はいくらになっているでしょうか? 当初の500万円のうち200万円分は塩漬け株に資金が回っていて動かせませんので、300万円のみしか使うことができません。

 マーケットが堅調に推移し、塩漬け株の含み損が解消すればよいですが、得てして塩漬け株の株価はなかなか戻らないことが多いため、塩漬け株に投資した分の資金はいわば「死に金」になってしまいます。

 もし株価が下がったとき、例えば買値から10%下がったら損切り、というように決めておけば、2銘柄に対して投資した資金合計200万円は、180万円に目減りしてしまいますが、逆に言えば180万円の資金を確保できます。

 そのため、マーケットが堅調になったときに480万円の資金を投下できるため、上の「300万円+塩漬け株」の状況より、大きな利益を目指すことができるのです。

投資戦略(2):株価が高すぎるものはできるだけ買わない

 投資資金に限りがあると、あまり複数の銘柄に分散して投資ができないのが悩みです。

 しかし、少数の銘柄に集中して投資をした場合、業績悪化や不祥事などにより株価が大きく下落することで大きなダメージを受けてしまいます。

 そこで、限りある投資資金とはいえ、ある程度は銘柄を分散させたいものです。

 例えば投資資金が500万円の場合、「株価3万円の銘柄100株」と「株価2万円の銘柄100株」に投資すると、2銘柄にしか投資できなくなってしまい、かなりリスクが高いです。

 でも、「株価5,000円の10銘柄に100株」ずつ投資すれば、かなり銘柄分散によるリスク軽減効果が期待できます。

 また、株式投資をしていると、買った方が良いのか売った方が良いのか、判断に迷うケースも多々生じます。

 そんな時、500株保有していたら200株だけ売却して300株はそのまま保有、という判断をすることもできます。

 あるいは、500株買おうと思っているがとりあえず300株だけ買っておき、残り200株を買うかどうかはマーケットの状況により後日判断する、ということも可能です。

 もし株価が高い銘柄であれば、200株以上保有することができなくなるので、売買の判断が微妙なときであっても、「100株全部買うか」「100株全部売るか」の選択肢しかありません。

 こうした点を考慮して、200株以上保有することができるような株価水準の銘柄を選択するのがよいと思います。

投資戦略(3):レバレッジを上手に活用する

 例えば個別株ではなく日経平均株価そのものに投資したい、という場合は日経平均株価に連動するタイプのETF(上場投資信託)を投資対象とすることが多いと思います。

 しかし、日経平均株価の値動きは個別銘柄に比べれば小さいため、日経平均株価連動型ETFに投資するとどうしても資金効率が落ちてしまいます。

 そこで筆者が行っているのが、日経平均先物に投資する方法です。日経平均先物は20倍ほどのレバレッジをかけることができるので、少ない資金で大きなポジションを構築することが可能です。

 これにより、拘束される資金を小さくすることができますから、その分個別株への投資資金として活用させることが可能です。

 また、先物の活用に抵抗があるのであれば、信用取引を用いて日経平均連動型ETFに投資する、という手もあります。信用取引であれば約3倍のレバレッジをかけることができます。

 無論、レバレッジをかけた投資はリスクも高まりますから、損切りのルールを構築し、それを必ず守ることができる人でなければお勧めはしません。

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