※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「長期金利上昇で日経平均株価はクラッシュするか ~過去の金利ショックを振り返る~」
長期金利1.4%は単なる通過点
日本の長期金利が年明け以降、予想以上のペースで上昇しています(図表1)。昨年末の1.1%だった10年金利は、米国の10年金利が低下傾向をたどる中、ほぼ一本調子で上昇し、2月21日に一時1.455%と約15年ぶりの水準を付けました。
図表1 日米10年金利の推移

ただ、この1.4%超という水準、筆者は単なる通過点に過ぎないとみています。もちろん、ここ2カ月の上昇ペースは明らかに行き過ぎであり(このままのペースで上昇すると年末3%を超えることになります)、スピード調整はあるでしょう。
日本銀行の植田和男総裁も21日の衆院予算委員会で「長期金利が急激に上昇するような例外的な状況では、機動的に国債買い入れの増額を実施する」とけん制しており、市場も日銀が最近の長期金利上昇を警戒していることを知っています。
しかし、その日銀が来年前半に向けて国債買い入れを縮小し、政策金利を段階的に引き上げようとしているわけですから、それに合わせて長期金利が上昇するのは必然です。筆者の推計によれば、来年初には1.8~1.9%まで上昇する見込みです(図表2)。
図表2 日本の10年金利の推計

図表2の推計は、10年金利(1990年1月~2024年12月)を、政策金利であるコールレート・オーバーナイト物、景気動向指数(先行CI)、消費者物価指数、日銀の国債買入額、日銀の長期国債保有残高を説明変数として推計したものです。
図から分かる通り、2024年1月の推計値(1.2%程度)に比べると、足元の1.43%という水準は明らかにオーバーシュートしていますが、今年6月と来年1月に0.25%ずつ利上げすると想定すれば、2026年1~3月には1.8~1.9%に達すると計算できます。