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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日本株、さらに下がれば良い買い場。相互関税、日鉄ディールどうなる?

日経平均は円高を嫌気して下落、トランプ「相互関税」への不安続く

 先週(営業日:2月3~7日)の日経平均株価は1週間で785円下落して、3万8,787円となりました。1ドル=151円台への円高進行が嫌気されました。トランプ関税への不安も上値を抑える要因となっています。日経平均は、依然として3万8,000~4万円の狭いレンジ内で膠着(こうちゃく)が続いています。

日経平均週足:2024年1月4日~2025年2月7日

日経平均週足:2024年1月4日~2025年2月7日
出所:楽天証券MSIIより作成

 日本銀行筋から利上げに前向きの発言が増え、「5月にも追加利上げがある」という思惑が広がったことを受け、7日の東京市場で一時1ドル=150円台まで円高が進んだことが(その後151円台へ戻る)、日経平均が売られる要因となりました。

 また、トランプ関税への不安が、引き続き、日本株の上値を抑える要因となっています。

ドル/円為替レートと日米2年金利差の推移:2020年1月~2025年2月(7日)

ドル円為替レートと日米2年金利差の推移:2020年1月~2025年2月(7日)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 ドル/円を動かす最大の要因は日米金利差です。金利差が拡大すると円安が進み、金利差が縮小すると円高が進む傾向があります。

 2024年は、上のチャートを見ると分かる通り、金利差が縮小する中で円安が進みました。金利差が縮小したとは言っても、まだ3~4%の金利差があることから、ドル買い需要が高い状態は変わりませんでした。

 2025年、日銀はあと1回か2回利上げを続ける見込みで、FRB(米連邦準備制度理事会)は1回か2回、利下げをするとみられています。日米金利差がさらに縮小することを見込んで、足元で円高が進んだと言えます。

 ただし、米景気は堅調で、トランプ関税によってインフレが再燃する懸念もあります。米利下げが遠のく可能性があります。日米金利差がどの程度縮小するか、慎重に見る必要があります。

 トランプ関税については、2月1日に予定されていたメキシコ、カナダへの25%関税が延期されたことで安堵(あんど)が広がったものの、中国への10%追加関税は2月4日に発動されました。中国は報復関税を発表しています。

 トランプ大統領は、世界各国に対するさらなる関税引き上げに意欲を示しています。先週は、米国より高い輸入関税をかけている国全てに対して、その国と同じ関税をかける「相互関税」を発動する考えを示しており、世界経済・株式にとって不安材料となっています。