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著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「有事製造機が金(ゴールド)高値更新を後押し」
金(ゴールド)相場、歴史的高値更新
国内外の金(ゴールド)相場が、歴史的高値圏で推移しています。足元、およそ3カ月ぶりに高値を更新したことについて、トランプ氏が関税引き上げを実施して、世界中に不安を振りまいているためだ、という趣旨の解説を目にします。
この50年間、金(ゴールド)相場は以下のように推移してきました。1970年代後半は「有事の金買い」だけで、1980年代から1990年代は「株と金の逆相関」だけで、ほとんど、値動きを説明することができました。
図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1974年~)

では、2010年ごろ以降の、現在に至る長期視点の急騰劇は、どのように説明することができるのでしょうか。有事だけ、株との逆相関だけで説明できる規模の急騰劇ではないことが容易に想像できます。たった一つのテーマで、このような数十年単位の長期の、そして10倍前後に達する急騰劇は起き得ないでしょう。
筆者が提唱する七つのテーマに当てはめると、以下のようになります。有事ムード(短中期:不安拡大時の資金の逃避先需要増)と代替通貨(同:ドルの代わり)は、どちらかといえば上昇、代替資産(同:株の代わり)は上昇と下落両方、中央銀行(中長期)と見えないジレンマ(超長期)は上昇、となります。
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年2月時点)

三つの時間軸に複数のテーマがあり、各テーマの中に複数の具体的な材料があります。それらの材料は、「同時に」金(ゴールド)相場に上下の圧力をかけています。こう考えることで無理なく、数十年単位で続いている急騰劇の背景を説明できます。トランプ氏の存在が金(ゴールド)相場にとって、いかについ最近の材料であるかも、分かります。
高値更新という短期的な上昇劇にトランプ氏は深く関わっているものの、長期視点では同氏以外の材料も、考慮する必要があります。とりもなおさず、関税引き上げだけに気を取られてはいけません。(DeepSeekの件も、同様です。目立つ材料を起点に分析を始めてはいけません)