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著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日銀の次の利上げはいつか ~標準シナリオ9月か10月、物価・為替動向次第で6月~」
日銀は予想通り1月に利上げ~決定のポイント解説~
日本銀行は1月23~24日に開催したMPM(金融政策決定会合)で、予想通り政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標)を0.25%引き上げ、0.5%にしました(図表1)。同時に、超過準備に対する付利(補完当座預金制度の適用利率)も0.25%から0.5%に引き上げました。
<図表1 政策金利引き上げとともに付利金利も引き上げ>

なお、補完貸付制度を利用する際の金利である基準貸付利率も0.75%に引き上げられました(図表1の2.(2))。この基準貸付利率とは、かつて「公定歩合」と呼んでいたもので、オペ先はいざという時にこの補完貸付制度が利用できるため、その利率である基準貸付利率は、無担保コールレート(オーバーナイト物)の上限を画する役割を担っています。
一方、超過準備に課された付利は、資金の出し手にとって、コール市場でそれより低いレートで資金を出すくらいなら超過準備に置いておいた方が良いと考える金利水準なので、無担保コールレート(オーバーナイト物)の下限を画することになります(実際には、日銀に当座預金を持たない金融機関も市場に存在するため、下限にならないこともあります)。
こうした上限と下限を設けて金融政策の対象金利をコントロールするやり方を、コリドー・システムと呼びます。
また、「貸出増加支援資金供給」についても、予定通り6月末をもって終了するとアナウンスされました(図表2)。
<図表2 声明文にある貸出増加支援資金供給に関する文言と日銀のバランスシート>

この貸出増加支援資金供給(「貸出増加を支援するための資金供給」)は2012年12月に導入された、金融機関の一層の貸出を促すためのオペレーションで、日銀のバランスシートの資産サイドにある「貸付金」108.5兆円のうち、77兆円程度を占めています。
この貸出増加支援資金供給の残高が、580兆円に上る「国債」と合わせ、負債サイドの当座預金にひもづいているため、国債買い入れの縮小とともにこのオペの残高を減らさなければ、日銀のバランスシートの縮小は進まないことになります。
言い方を換えれば、貸出増加支援資金供給の終了は、国債買い入れの縮小とともに、着々とバランスシート圧縮を進めようとしている日銀の姿勢の表れと見ることができます。