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著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「トランプ氏がもたらす原油相場と日本への影響」
原油急落への願望はトランプ氏が打ち砕く
トランプ氏の米大統領就任後、トランプ氏がインフレを抑え込んでくれるのではないか、という趣旨の発言を耳にしたり、こうした趣旨の記事を目にしたりします。
確かに、トランプ氏は、化石燃料を掘りまくれ、ウクライナ戦争を終わらせる、OPEC(石油輸出国機構)に原油価格の引き下げを要請する、などと相次いで発言をし、原油安やインフレ抑制を実現してくれそうなムードを醸し出しています。
図:トランプ2.0始動後の全体観

とはいえ、以前の「トランプ2.0で退場を迫られそうな人の特徴」で書いた通り、トランプ氏は、両極端の事象を同時に繰り出してきています。つまり、原油安という片側の事象のみに注目してはいけないのです。上記のとおり、話題創出、機運向上、自国優先、交渉多用など、彼の得意分野が目立ちはじめると、明と暗、つまり正反対の事象が同時に出現します。
図:トランプ氏が振りまく思惑とOPECプラスの原油生産プランがもたらす原油相場への影響

トランプ氏が攻撃(口撃)するOPECが行っていることと並べてみても、やはり両面の事象があります。原油相場には上昇と下落、両方の圧力がかかっているのです。この点からも、原油安だけに注目したり、期待したりしてはいけないことが分かります。
現代の市場分析の常識とにもいえる、複数の材料を俯瞰(ふかん)すること(鳥のように空から地上をまんべんなく見渡すこと)を改めて、認識する必要があります。