2025年以降に成長路線回復へ、海運や鉄鋼の低・脱炭素化が追い風

現地コード 銘柄名
03899

中集安瑞科

(シーアイエムシー・エンリック・ホールディングス)

株価 情報種類

6.84HKD
(1/23現在)

株価
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 中国国際コンテナ(02039)傘下の気体・液体輸送用設備メーカー中集安瑞科について、BOCIは、2025年には再び本格的な利益成長軌道に乗るとみている。船舶燃料のグリーンエネルギー転換関連事業が力強い増収を確保し、利益率も改善するとの見方。コークス炉ガスからLNG(液化天然ガス)や水素への切り替えを進める鉄鋼メーカーとの共同出資事業も、収益成長に大きく寄与する見通しを示した。さらに、政府補助金制度を利用した旧式船舶の更新も追い風。2024年-26年の予想純利益を3-9%減額修正し、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 世界の海上輸送の低・脱炭素化により、LNG燃料船と関連設備に対する需要が急増した結果、同社では2023年以降、関連製品の新規受注が大きく増加。洋上クリーンエネルギー製品の新規受注は2024年1-9月期に前年同期比58%増の74億4,000万元に上り、9月末時点の受注残高は91%増の143億元を記録した。売上高の伸びだけでなく、値上げ後の納品による利益率の向上が見込まれている。

 コークス炉ガスからLMG、水素に転換するアンガン・スチール(00347)との共同出資事業は2024年10-12月期に稼働を始めた。これは建設段階で設備需要が発生する優良ビジネス。パートナー側が原材料と製品市場を提供するために、中集安瑞科としては安定的に経常利益を確保することが可能となる。さらに2025年後半と2026年に、同種の事業2件を立ち上げる計画。BOCIによれば、こうした鉄鋼メーカーとの共同出資事業の純利益は2024年の500万元から、2026年には2億8,000万元に急拡大する見通しという。

 中国政府は企業の設備更新向けの補助金制度を通じ、旧式船舶の置き換えを奨励しており、同社は最近、50隻分のメタノール発電システムを受注した。この設備更新プログラムは2028年末まで続くため、この先一段の受注増が期待できる。

 広東省湛江市では2025年下期に、バイオマスからグリーンメタノールを生産する共同出資事業(年産能力5万トン)が操業を開始する予定。複数の国際海事会社との間で、グリーンメタノールの販売契約を締結済みとなっている。

 一方、親会社の中国国際コンテナは2024年9月下旬から、株式市場で中集安瑞科株の買い増しを開始した。これは同社の長期価値に対する信頼感の表れ。2025年1月7日までに1株平均6.81HKドルで計5,000万株を取得。出資比率を67.6%から70.06%に引き上げた。

 BOCIは利益見通しの減額修正に伴い、目標株価を引き下げた。新たな目標株価は2024-26年の予想PEGレシオ(利益成長率を加味した株価指標:PER÷1株当たり利益成長率)で0.7倍。2024年の予想PER(株価収益率)ではコア利益ベースで13.7倍に当たる。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、化学・環境用設備部門の回復局面が続かない可能性、液体食品用設備の新規受注が回復しない可能性を挙げている。