先週の日経平均は、3万6,000円台割れまで急落するという値動きが荒い一面もありましたが、「幻のSQ」となったこともあり、最終的には3万7,000円台に回復したので総じて「悪くはなかった」印象です。今回は、こうした株価の底打ち感を受けて、今後上昇基調を描いていくのかどうかをチャートから読み取っていきます。また、今週18~19日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催される、「不安を先取りしている」米国の主要株価指数についても解説します。
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著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【テクニカル分析】今週の株式市場 株価の底打ち感と微妙な反発力~「不安の先取り」はいったん終了か ~」
先週末3月14日(金)の日経平均株価は3万7,053円で取引を終えました。
前週末の終値(3万6,887円)からは166円高であり、単純な週末の終値比較だけで見ると、小幅な上昇にとどまった格好ですが、11日(火)の取引時間中に3万6,000円台割れのところまで急落する場面を見せるなど値動きは意外と荒く、週間の値幅(高値と安値の差)は1,300円を超えています。
しかしながら、3万7,000円台に回復して週の取引を締めくくったこと、そして、軟調な展開が目立っていた米国株市場に対し、少なからず影響を受けながらも相対的には底堅さを見せていたことなどから、先週の日本株は総じて「悪くはなかった」と言えます。
こうした中で迎える今週も、基本的には先週の株価下落からの底打ち感の確認と、株価の反発力が試されることになりそうですが、今回のレポートでは、チャートから読み取れる情報をベースに日米の株式市場の状況や今後の展開などを考察していきたいと思います。
日経平均は下げ止まり意識も、反発力はまだ微妙
まずは先週の日経平均の動きから確認して行きます。
図1 日経平均(日足)の動き その1(2025年3月14日時点)

上の図1で先週の日経平均の値動きを振り返ると、11日(火)のローソク足が長い下ヒゲをつけるなど株価が下振れする場面がありましたが、それ以外は概ね「3万7,000円台の維持」を意識した展開だったことが分かります。
また、週末14日(金)の取引では大きな陽線(終値が始値よりも高い線)が出現しています。この日は、国内株価指数先物取引のメジャーSQ(特別清算指数)だったのですが、計算されたSQ値(3万6,483円)がこの日の日経平均の始値よりも低い、いわゆる「幻のSQ」となったことで、先物取引を中心に徐々に買いが優勢になって行ったことが読み取れます。
また、このSQ値が、日経平均の直近高値(昨年12月27日)から10%安の株価(3万6,358円)とあまり変わらない水準だったことも意識された可能性があります。一般的に、株価が高値から10%安のところまで下げると「調整局面入り」とされています。
さらに、図1のチャートを過去に遡ると、9月にもこの3万6,000円台の水準でもみ合いながら底打ちしていたことも支援材料になったと思われます。
このように、日経平均の日足チャートからは、3万6,000円台前半の株価水準を軸に株価の底打ち感が出てきた印象になっています。
となると、次は「株価の反発力は強いのか?」へと市場の視点が移っていくことになりますが、その場合株価上昇の目安として、図1にもあるように、25日・200日・75日の3本移動平均線が注目されることになります。先週末14日(金)時点では、それぞれ、3万8,107円、3万8,600円、3万8,786円です。
今後の株価がこれらの移動平均線を上抜けて、さらなる上昇基調を描いて行くのか、それとも移動平均線が「抵抗」となって、再び下落していく「リターン・ムーブ」となるのかが今後の焦点になってきますが、いずれにしてもなるべく早い段階で3万8,000円台を回復させる必要があります。
では、「チャートから上値を目指す強いサインが出現しているか?」というと、現時点では微妙です。
図2 日経平均(日足)の動き その2(2025年3月14日時点)

上の図2は日経平均の日足チャートをトレンドの観点から捉えたものです。
移動平均線のほか、昨年7月と10月の高値どうしを結んだ「上値ライン」、そして、昨年8月安値と10月高値の上昇幅に対する「ギャン・アングル」を描いています。
日経平均は上値ラインの攻防が続いているほか、ギャン・アングルの「4×1」ラインからも距離が出始めています。そのため、トレンド的には下方向への意識がまだ残っており、積極的に上方向を目指していくような状況に転じることができるかは今週の株価の反発力次第ということになります。
[今週の株式市場]株価の底打ち感と微妙な反発力~「不安の先取り」はいったん終了~
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