2025年もインフレ期待は上昇するが、それは日本にとって最も重要!

 BCA ResearchのチーフエコノミストであるDhaval Joshiが日本経済に言及し、大変示唆に富む「インフレ期待は2025年に引き続き上昇する!それは日本にとって最も重要だ」というレポートを書いていた。今週のレポートではそれを抜粋して以下に紹介したい。

 パンデミック後の目立ったインフレ時代は、パンデミック前の注目されていないインフレの時代と比べ、集団的経験の中でより大きな部分を占めるようになるため、インフレ期待は高まる傾向にある。

 より正確には、インフレ期待が再び低下するようなデフレ・ショック(または外生的なデフレ・ショック)が発生しない限り、インフレ期待は上昇する傾向にある。そのようなショックは日本からやってくるかもしれない。

日本10年国債金利(月足)

日本10年国債金利(月足)
(赤:金利上昇トレンド・黄:金利低下トレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 日本のインフレ期待は達成されつつあり、ミッションは達成される。

 日本を除く先進国では、インフレ期待の高まりにより、インフレ率は目標の2%をさらに上回るだろう。これは二つの理由から、さらなる利下げの余地を制限することになる。

 第一に、それはインフレ期待をさらに固定化しないリスクがあるためだ。

 第二に、経済にとって重要なのは実質債券利回りだ。インフレ期待が高まれば、金融政策の実質スタンスを一定にするためには名目債券利回りも上昇する。つまり、債券利回りは、それを引き下げるようなショックが訪れるまで、上昇傾向にあるということだ。しかし日本では、インフレ期待が高まれば、債券利回りは日本銀行の目標である2%まで上昇する。

日本のインフレ期待の高まりは、物価上昇率目標を2%に引き上げるだろう

日本のインフレ期待の高まりは、物価上昇率目標を2%に引き上げるだろう
BCA Research

世界の中央銀行の政策金利と実質金利

世界の中央銀行の政策金利と実質金利
出所:クリエーティブプランニング

 ミッションが遂行されれば、特に実質国債利回りが現在、大幅なマイナスとなっていることから、日銀が何十年も続けてきたゼロ金利政策(ZIRP)を正当化する理由がなくなる。

 低インフレが長年続いた後では逆説的に聞こえるかもしれないが、インフレ率が目標値に近づくと、実質国債利回りが大幅にマイナスになることは、日本のインフレ率が高くなりすぎるリスクをはらんでいる。