トランプ大統領の就任演説は選挙公約とほぼ同じだった
いよいよトランプ2.0がスタートしました。ドル/円は、トランプ大統領の就任に向けてドル高で動きましたが、就任前に米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が就任初日の20日に「新たな関税を発動することはないとみられている」と報じたことからドル売りとなり、1ドル=156円台前半から155円台半ばへ円高となりました。
就任演説初日に、具体的な関税引き上げに触れなかったことから、インフレ懸念が後退し金利が低下したため、21日の東京市場では、154円台後半までさらに円高が進みました。その後、ホワイトハウスでの記者の質問に対して、カナダ、メキシコに対して2月1日から最大25%の関税を課す可能性があると述べると、米長期金利は下げ止まり、ドル/円も156円台に戻りました。
「黄金の時代がいま始まる」との言葉で始まった就任演説では、選挙公約とほぼ同じ内容であったため、為替相場はその後も大きな動きとはなりませんでした。
トランプ政策による金利高、ドル高、いわゆるトランプ・トレードは、すでに何回も相場に織り込まれていることや、市場は第2次政権発足に身構えていたことから、初日を無難に乗り越えた後は、今週(23~24日)の日本銀行会合、来週(28~29日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)が相場の主要材料になりそうです。
日銀の1月利上げ観測が先週14日の氷見野良三副総裁の発言以降、一気に高まりました。15日には、植田和男総裁も「(1月の決定会合で)利上げを行うかどうか議論し、判断する」と同様の発言をしたことから、ドル/円は158円台から155円台半ばの円高になりました。
その後、日銀の利上げ観測報道が出ましたが、ほとんど円高に振れなかったのは意外でした。米大統領就任を控えていたこともあり、ポジション調整で156円台に戻した動きから、すでに副総裁や総裁の発言で利上げは織り込まれたとの見方もあります。
日銀の利下げ要因は、まだ消化不良?
しかし、発言によって動いた円高の値幅でみると、日銀の利上げ要因はまだ消化不良かもしれません。1月利上げ後も、さらに春闘を見極めた後、追加利上げの話も出てくるかもしれません。従って、1月以降の追加利上げや展望レポートの物価見通しについても注目する必要があります。
日銀は、トランプ氏の就任直後の市場動向を見極め、追加利上げを最終判断するとのことですが、連休明けの21日、米株は上昇したことから現在の市場の動きを見ていると、1月利上げの見方はかなり高まったようです。
来週のFOMCは、利下げ見送りとの見方が大勢です。また、年内2回の利上げ見通しも、そのペースが遅くなるとの見方が大勢となっています。
しかし、15日に発表された12月CPI(消費者物価指数)のコア指数が前月比で6カ月ぶりに鈍化したことから、1月利下げは見送られても3月利下げが意識され始めています。FRB(米連邦準備制度理事会)のウォーラー理事は、16日、12月CPIは非常に良好な内容だったことから、3月利下げの可能性を排除しないと述べています。
さらに今後のCPIも12月同様明るい内容であれば、FOMCによる年内の利下げは現在の予想より多く、また時期も早くなり得ると指摘しています。
現在の日米金融姿勢に対する見方では、日銀は1月に利上げをしてもその後は当分動かず、また、FRBも利上げは急がないとの見方が多いようですが、植田総裁が3月の利上げ意欲も示し、パウエル議長が利下げを急がないとの姿勢を緩めた場合は、予想以上のドル安・円高になるかもしれないというシナリオにも留意しておく必要はありそうです。
トランプ2.0発足による警戒に目が向いていますが、今週後半から来週は日米金融当局の材料で大きく動くかもしれません。
先週のレポートでは、ユーラシア・グループの世界十大リスクの番外として「リスクもどき」が3点挙げられているというお話しをしました。
トランプ2.0は、いよいよ動き出した
3点とは、「トランプの失敗」「欧州の分裂」「エネルギー移行の世界的停滞」ですが、その中の「トランプの失敗」については、トランプ2.0は外交政策の混乱を招くとの一般的な見方に対して、トランプ氏は失敗せずに、今年予測されている以上に外交政策で多くの勝利を収めるという分析です。
そして、この分析が早速現実となりました。
失敗しない理由の4番目に、『トランプ政権1期目よりも世界は危険になっているとして、トランプ氏の逆鱗に触れることのリスクと代償は、前回よりもはるかに大きくなっていると指摘しています。トランプ氏に逆らうことは自らの危険につながることを理解しているため、トランプ氏は他の国々から譲歩を引き出し、早い段階で成果を上げる点において、1期目よりも高い能力を発揮するだろう』という点を挙げています。
15日のガザ停戦合意は、まさに失敗しない理由の4番目をほうふつさせる出来事でした。トランプ氏が軍事行動も辞さないと威嚇し、圧力をかけたため、イスラエル、ハマス双方がトランプ氏への恐れを警戒し事態を動かしたといわれています。
合意事項が今後スムーズに達成され、中東に平和が来るまでにまだまだ時間がかかりそうですが、トランプ2.0の政権は、前政権よりも威力がある政権だということを世界に見せつけた出来事でした。
このような動きを見ていると、中国への60%関税引き上げや全貿易相手国への10~20%の関税引き上げは、就任初日には発動されませんでしたが、前回と違ってトランプ2.0はかなり用意周到にそのタイミングを狙ってくるのだろうなと想像できます。いつ発動されるか分かりませんが、世界が身構えるトランプ2.0は、いよいよ動き出したということだけは確かです。
トランプ大統領の脅し(ブラフ)や発言によって相場は短期的に上下に振られそうですが、トレンドを見極めるまでは思い込まず、半身で臨む必要がありそうです。
23日、スイスのダボス会議にトランプ大統領はオンラインで参加する予定です。世界に向けてどのような内容を発信するのか注目です。






















































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