「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第64回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

 読者の方から、「複利(ふくり)効果ってどういう意味でしょう?」と質問をいただきました。今回は、「複利効果」について学ぶクイズを出します。

今日のクイズ

<クイズ>

 山田さんは、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で投資信託A(基準価額1万円)を1口購入しました。

 田中さんは、NISA口座で投資信託B(基準価額1万円)を1口購入しました。

 投信Aも投信Bも、今後5年間、年率10%の利益が出ると仮定してください。

 ただし、分配方針は異なります。

 投資信託Aは、期末に利益を全て分配金として投資家に支払います。

 投資信託Bは、無分配です。

 山田さんと田中さんが投資した1万円は、それぞれどのように増えていくでしょうか?

 以下の【1】【2】から選んでください。

  投資開始 1年後 2年後 3年後 4年後 5年後
【1】 1万円 1万1,000円 1万2,000円 1万3,000円 1万4,000円 1万5,000円
【2】 1万円 1万1,000円 1万2,100円 1万3,310円 1万4,641円 1万6,105円

 また、【1】と【2】のうち、複利効果が出ているのはどちらでしょう?

現実には毎年一定のリターンが出る投資はない

 クイズを作っていて気になったのですが、現実にはこのように、毎年10%の利益が出続けるような投資はありません。

 銀行預金など、元本保証型の運用ならば毎年一定の利率でリターンが出ます。ただし、そういう低リスク運用では高いリターンは出ません。

 高いリターンを得るためには、高いリスクを負う必要があります。「10~20%の利益が出ることもあれば、リターンがマイナス10~マイナス20%になることもある」、そういうリスクの高い投資で、長期的に高いリターンを得る可能性はあります。

 例えば、2013年以降の日経平均株価の推移をご覧ください。

乱高下を繰り返しながら上昇する日経平均株価:2012年末を100として指数化、2025年1月20日まで

乱高下を繰り返しながら上昇する日経平均株価:2012年末を100として指数化、2025年1月20日まで
出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成

 日経平均は2013年以降の12年で3.6倍くらいに上昇しており、とても高いリターンです。ただし、さまざまなショックで10~30%くらい急落することがよくあります。2024年7~8月にも、高値から安値までで26%の急落がありました。

 私は、2028年までに日経平均は5万円まで上昇すると予想しています。ただし、これから何度も急落・急騰を繰り返しながら、上昇していくと思います。リスクを適切に管理しながら日本株に投資していくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。