※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【日本株】トランプ関税の即時発動なし 円安なら株高、円高なら株安?為替から日本株を見る」
トランプ大統領は就任直後の輸入関税引き上げは実施しない見込みとなり、これを受けて、20日の英国・ドイツの株式市場が最高値を更新しており、とりあえず就任直後のショック安は回避できる見込みです。今後の政策を慎重にウォッチする必要があります。リスク管理しながら、割安な日本株に投資していくことが、長期の資産形成に寄与すると私は考えています。
さて、今日は昨日の続編をお届けします。昨日のレポートは以下からお読みいただけます。
2024年1月20日「円安なら株高、円高なら株安?ドル/円為替レートから日本株を考える(窪田真之)」
ドル/円を動かす3大要素、一番重要なのは「日米金利差」
為替を動かす要因は無数にありますが、重要度の高いものに絞れば、三つです。
【1】日米金利差
ドル金利が上昇し、日米金利差が拡大すると、円安(ドル高)になります。
ドル金利が低下し、日米金利差が縮小すると、円高(ドル安)になります。
【2】世界的な株高・株安
世界経済に不安が広がり、世界的な株安が起こると、「円」が買われる傾向があります。不安が緩和し、世界的な株高が起こると、金利の低い「円」は売られます。
【3】政治圧力
米国政府筋から、円安を非難する発言が増えると、円高(ドル安)が進みやすくなります。
米国政府が、円安を容認している間は、円安(ドル高)が進みやすくなります。
かつて貿易収支が、為替に影響を与えた時代もありましたが、今はほとんど影響しません。貿易収支よりもはるかに規模の大きい資本収支によって為替が動くようになったからです。
中でも一番重要なのが、【1】日米金利差です。日米金利差が大きく開いているので、円を売ってドルを買う「円キャリートレード」の影響が大きくなっています。
次に重要な役割を果たしているのが、【2】世界的な株高・株安です。政治・経済さまざまな要因で世界的に不安が高まり、株が売られる時は、円が買われる傾向があります。
世界景気が悪化すると、世界的に金利が下がる傾向があり、低金利通貨の円やスイスフランが買われ、高金利通貨(ブラジルレアル、トルコリラ、南アフリカランドなど)が売られます。米ドルも金利低下によって、売られる可能性があります。
世界的な株安が起こると、まだ金利は低下していなくても、「先行きドル金利は低下するだろう」という思惑を生じて、円高が起こると考えられます。
ただ、近年、米ドルの国際通貨としての力が一段と強くなった結果、あらゆる通貨に対して安全通貨として動くことが多くなりました。その結果、世界的に不安が広がる時でも、米ドルが買われることもあります。
3番目に重要なのが、【3】政治圧力です。特に、米政府の意向が重要です。トランプ米大統領が、為替についてどういう発言をするか注目されます。