米国株式投資が長期資産形成に向いている理由

 米国株式は長期的な資産形成に適した投資対象であることが知られています。図表1で過去30年の長期パフォーマンス(1995年初=100)を検証してみると、米国株動向を象徴するS&P500種指数はドルベースで約12.5倍、円ベースで約19.7倍に成長してきました(配当収益を除く)。

 為替のドル高・円安(為替差益)も寄与し、円ベースのS&P500のリターンは過去30年の年率平均で+12.4%と、円ベースの世界株(同+9.4%)や日本株(同+4.6%)をしのいできました。

 米国株式投資のリターンが長期で優勢であった要因としては、(1)先進国でありながら総人口が伸び続け、景気循環を交えつつ個人消費を中心に内需が拡大してきた、(2)新興国を含む世界経済の成長を業績拡大に取り込めるグローバル企業が多い、(3)S&P500(時価総額加重平均指数)における時価総額ウエートが大きい大手テック企業群がイノベーション(技術革新)をけん引。

 ROE(株主資本利益率)や利益成長期待の高い企業が多い、(4)アニマルスピリッツ(起業意欲)を支える資本市場が整備されており、株主還元を重視する経営姿勢が根強い、(5)軍事・外交を含めた相対的な「国力」が世界で秀でているなどが挙げられます。

(1)について、米国の総人口は2025年予想の約3.3億人から2050年には3.8億人に増加し続けると見込まれています(国連の世界人口推計)。今後はAIによるデジタル革命の進展が各産業の生産性向上に寄与すると期待されています。幾多の調整場面を乗り越えて米国株式投資のリターンは長期視点で世界株式投資をリードしていくと予想しています。

<図表1>米国株式投資のパフォーマンス堅調が世界株をリードしてきた

米国株式、世界株式、日本株式の株価指数推移(過去30年/月末値)
(出所)市場実績よりマリン・ストラテジーズ作成(1995年初~2024年末)