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著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「2025年、日銀は政策金利を0.75%へ~そのとき長期金利と日銀財務はどうなるか~」
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。今年最初のレポートは、日本銀行の政策見通しとそれを受けた長期金利の先行き、利上げに伴って話題に上りがちな日銀の財務リスクについて考えてみました。
「新たな段階に入った」FRB、追加利下げと米長期金利は読み難く
まず、日銀の金融政策にも大きな影響を及ぼす米国の金融政策と長期金利からみておきましょう。
FRB(米連邦準備制度理事会)は昨年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、0.25%の利下げを行いましたが、パウエル議長はその後の記者会見で「我々は新しい段階に入った」と述べ、利下げペースを遅くすることを明言しました。
この「新しい段階」とは、政策金利が中立金利(景気に引き締め的でも緩和的でもない金利水準)に相当近づき、かつトランプ新政権の経済政策による物価などへ影響が不確実なもとで、データを確認しながら慎重に判断することを意味しています。つまり、政策の先行きが読み難くなることを示唆しています。
12月FOMCで公表された政策金利のドットチャートでは、0.25%の利下げが2025年中2回想定されているわけですが、そのタイミングについては不透明で、金利先物市場では、少なくとも5月FOMCまで利下げを織り込めていない状況です(図表1)。
図表1 金利先物が織り込む利下げ確率
トランプ新政権による財政政策、通商政策、移民政策はいずれもインフレを高める政策であり、中でも立法の必要のない関税引き上げについては、大統領就任(1月20日)にかけて、あるいはその直後から思惑を呼びやすく、今年前半は米長期金利が上昇、ドル高・円安になりやすい状況になることが予想されます(図表2)。