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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
年初トランプ・リスクに注意!2028年までに日経平均5万円と予想する理由

日経平均は2028年までに5万円を超えると予想

 日経平均株価は、トランプ次期政権の政策によっては、短期的に3万7,000円まで下落すると考えています。ただし、米景気がソフトランディングする中で、日本の景気・企業業績は緩やかな拡大が続くと考えていますので、日経平均は2025年末には4万4,000円まで上昇すると予想しています。

 以上は、短期的な予想です。今日は、短期的ではなく、長期的な予想について書きます。いつもお話ししているように、日本株は割安で長期的な上値余地が大きいと私は考えています。日経平均は2028年末までに5万円まで上昇すると予想しています。

 これまでそうだったように、これからも日経平均は、急落・急騰を繰り返しながら上昇していくと考えています。日経平均の急落・急騰を引き起こしているのが、景気循環です。世界景気は循環します。4年以内には、一度世界景気の後退(あるいは後退すれすれまでの悪化)があると考えるのが自然です。

 それがいつになるか、予想することは困難です。今年かもしれないし、来年かもしれません。もっと先かもしれません。いつになるか分からない世界景気悪化を乗り越えて、日経平均は4年以内に5万円を超えると予想しています。

日本の株価、地価、物価、賃金は国際比較で「割安」

 日経平均は現在、1989年末のバブルピーク水準とほぼ同水準にあります。ただし、日本株がバブル相場だった1989年と今では、日本企業の財務内容、収益力、ビジネスモデル、ガバナンスがまったく異なります。

 日本株のPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)は当時に比べて低く、配当利回りは高くなりました。日本株は当時と比べて、格段に割安になったと判断しています。

 34年前、日本の株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して極めて「高い」水準にありました。東京の生活費は世界一高く、日本人の賃金は国際比較で極めて高いと言われていました。株価も不動産も、PERやイールドで説明できない高値にありました。

 今は、その逆です。株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して「割安」になっていると思います。割安な株価と、経営改革が評価されて、日経平均は5万円に向けて上昇すると予想しています。

<日経平均(年次推移):1973~2025年(1月6日)>

日経平均(年次推移):1973~2025年(1月6日)
出所:QUICKより作成。グラフは日経平均株価、予想PERは東京証券取引所の平均。日経平均予想は楽天証券経済研究所

 1973年当時、日経平均は5,000円前後でした。東証1部のPERは約13倍でした。この時の日本株は「割安」でした。

 ところが、その後、日経平均はどんどん上がり続け、1989年(平成元年)末には3万8,915円の史上最高値をつけました。この時、東証1部のPERは約70倍まで上昇し、10~20倍が妥当と考える世界の常識をはるかに超えた「バブル」となりました。

 バブルは、平成に入ってから崩壊しました(1989年=平成元年)。ただし、「平成の構造改革」で復活した日本株は2013年以降、再び、上昇トレンドに戻りました。2025年1月6日時点で、東証プライム市場の予想PERは約16倍に低下し、再び割安と判断しています。

日経平均が2028年までに5万円を超えると予想する根拠

 私は、平成の構造改革で投資価値が高くなった日本株は令和時代にさらに飛躍すると予想しています。日経平均は、4年以内(2028年末まで)に5万円を超えると予想しています。

 EPS(1株当たり利益)の増加が、日経平均の上昇をけん引すると予想しています。バブルではなく、企業価値の増加によって株価が上がっていくと予想しています。その根拠をお話しします。

 楽天証券経済研究所では4年後までに東京証券取引所上場企業のEPS(加重平均)が27.7%増加すると予想しています。年率平均6.3%の上昇を予想しています。それが、TOPIX(東証株価指数)を4年複利ベースで27.7%上昇させる要因となります。

 日経平均はTOPIXに連動すると仮定しているので、単純計算だと5万200円くらいまで上昇することになります。景気変動の影響もあり、明確な時期は分かりませんが、4年以内に5万円を超えると予想しています。