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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
2025年の米国ハイテク株投資を展望する_PART1(半導体とAI半導体、生成AIとIT)

毎週月曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄エヌビディア(NVDA、NASDAQ)ブロードコム(AVGO、NASDAQ)アマゾン・ドット・コム(AMZN、NASDAQ)マイクロソフト(MSFT、NASDAQ)セールスフォース(CRM、NYSE)パランティア・テクノロジーズ(PLTR、NASDAQ)

1.2024年米国大統領選挙の結果を振り返る

 明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 2025年の米国株投資はトランプ新大統領と向き合うことから始まります。特に米国のハイテク成長株投資にはトランプ氏の政策、経済政策だけでなく、外交・通商政策、社会政策などトランプ新政権の政策全体と課題を理解することが重要になります。

 まず、2024年11月5日に行われた米国大統領選挙と同時に行われた上下両院選挙の結果を振り返ってみたいと思います。

2024年米国大統領選挙の結果

  • ドナルド・トランプ氏勝利
  • 選挙人獲得数は、トランプ氏312、ハリス氏226
  • 得票数はトランプ氏7,730万3,573票(49.9%)、ハリス氏7,501万9,257票(48.4%)(2025年1月3日現在、出所:AP通信社)
  • 州ごとに見ると、トランプ氏勝利30州、ハリス氏勝利20州
  • 激戦州である、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ノースカロライナ、ジョージア、アリゾナ、ネバダの7州は全てトランプ氏が勝利

大統領選挙と同時に行われた上下両院選挙の結果

  • 上院は共和党53、民主党47(改選前は共和党49、民主党51)
  • 下院は共和党220、民主党215(改選前は共和党220、民主党212)

 トランプ氏は米国大統領選挙で「大勝」と言ってよい勝利にはなりました。ただし、「圧勝」とまでは行かなかったと思われます。州ごとに見ると、激戦7州ではトランプ氏が勝利したものの、全米50州のうち、勝利したのは30州で20州はカマラ・ハリス氏が勝利しました。全体の得票数を見ても、トランプ氏7,730万3,573票(49.9%)、ハリス氏7,501万9,257票(48.4%)とかなりの接戦になっていたことがわかります。トランプ氏が「大勝」したのは、全米50州のうち48州で導入されている、その州の勝利者が選挙人の全てを獲得する「Winner take all」(勝者総取り)のルールがあるからと考えたほうが良いと思われます。

 今後重要なのが下院の議会運営です。下院における共和党と民主党の議席差は5議席で、バイデン政権において共和党が民主党を8議席上回っていた時よりも厳しい状況になります。しかも、トランプ氏は大統領補佐官(国家安全保障担当)にマイク・ウォルツ下院議員(フロリダ州)を指名しました。同氏は1月20日に議員辞職する意向です。トランプ氏が司法長官に指名し、その後過去の不祥事を指摘された後に指名を辞退したマット・ゲーツ元下院議員(フロリダ州)は、そのまま議員辞職しました。また、トランプ氏はエリス・ステファニク下院議員(ニューヨーク州)を国連大使に指名しました。米国の補欠選挙は州ごとに違い、フロリダ州の補欠選挙は4月1日、ニューヨーク州では、ステファニク氏が議員を辞してから90日以内に実施されます。

 この3氏が議員辞職すれば、下院での共和党と民主党の議席差は2議席になるため、造反者が1名出ると、法案が成立しなくなります。従って、補欠選挙では共和党が圧勝するだけでなく、「トランプ派」が圧勝する必要があります。

2.トランプ新政権の主要政策と課題

1)トランプ氏の政策

 選挙前にトランプ氏が掲げた公約、政治的主張を列挙します。

  • 対中国輸入関税を60%へ引き上げる。全輸入品に対して10~20%の一律関税をかける。中国を最恵国待遇から除外する。ドル安政策。
  • 富裕層向け減税(トランプ減税)の延長(2025年末に期限を迎える)。法人税率を21%から15%または20%へ引き下げる。チップ収入の非課税化。
  • パリ協定離脱。化石燃料生産を巡る規制撤廃。太陽光発電の普及拡大。EV税控除の廃止。
  • 不法入国者への取り締まり強化。合法的な移民ビザの発給制限→不法移民の大量強制送還?
  • 利下げや規制緩和を通じた住宅取得費用の軽減。
  • AI開発や仮想通貨に対する規制緩和。
  • 人工妊娠中絶の規制は各州が判断すべき。

 トランプ氏の経済政策、通商政策は、主に関税を使うものです。トランプ氏は、中国への60%の関税、それ以外の国への一律10~20%(とりあえず10%か)の関税を課すことを公約しています。高率関税を使うほうが、海外からの安い製品の輸入を効率的に防ぐことができるという考え方です。

 基本的にトランプ氏の考え方は共和党の「小さい政府」の考え方ですから、経済、社会全体で規制緩和を推し進め、歳出を削減する、税金の無駄使いは許さんという立場です。

2)2022年インフレ抑制法とCHIPS・科学法を廃止にしたい

 バイデン政権時代に成立した法律でトランプ氏が潰したがっていると思われる法律が二つあります。

 1つは2022年インフレ抑制法(IRA)で、この中に10年間で3,910億ドルの気候変動対策予算を設定しています。太陽光発電や風力発電などの代替エネルギーやEV(電気自動車)に対する補助金(購入補助金等)がこの予算の中に含まれています。

 次がCHIPS・科学法です。米国国内で半導体工場を建てようとする半導体メーカーに一定の条件のもとに建設補助金を支給するものです。インフレ抑制法と並んでバイデン政権の目玉政策です。

 この二つの法律を廃止するには困難もあります。インフレ抑制法の廃止には共和党下院議員数名が反対していると言われています。CHIPS・科学法の廃止には20名以上の共和党下院議員が反対していると言われています。共和党にとって下院の議会運営は相当な困難が予想されるため、大統領令で対処できるものはそうすると思われますが、そういかない場合もあると思われます。特にインフレ抑制法が決めている気候変動対策予算の10年間3,910億ドルの予算は、これを自由に使えるようになれば、歳出削減効果、新たな経済政策の効果等大きな効果が期待できると思われます。この二つの法律にトランプ氏がどう対処するか注目されます。

3.なぜトランプ氏なのか。物価高、住宅価格が高い、犯罪が多い、LGBTQが行きすぎた、ESGは何の役にも立たない。

 トランプ氏の政策には、リスクもあります。

  • 賃金上昇、物価上昇によるインフレ。トランプ氏の問題で最も指摘されるのがインフレの問題である。安い海外品の輸入が高い関税で値上げされるか、米国国内に入ってこなくなると、輸入物価、国内物価が上昇し、企業の生産意欲が刺激されて雇用が増加すると予想されるが、一方で不法移民を大量に強制送還すると賃金が上昇してインフレが起こるリスクがある。
  • 利下げまたは今の政策金利を維持する場合、インフレ高進、長期金利のさらなる上昇が有り得る。
  • トランプ氏は何事も交渉、取引(ディール)。友好国、同盟国にとって、地政学的リスクが増大する可能性がある。
  • 個々の業界に対してどのような政策を行うか(例えば半導体)は、今のところ見えない。というよりも個々の企業の自由な経済活動を重視する立場と思われる。
  • ただし、大統領になった後に現実路線を採るかもしれないので、大統領になってからの政策、言動に注意したい。

 ここで根本的な問題を考えてみたいと思います。なぜトランプ氏が米国の大統領になったのか。ここには、今の米国国民の多くが抱えている深刻な問題があります。

  • 物価があまりにも高すぎる。昨年11~12月に私が聞いた話ですが、ニューヨークで卵4個入りのパックが円換算で約1,000円(1個当たりの値段は東京の6~8倍)。ロサンゼルスで卵12個入りパックが約2,000円。大戸屋で普通の定食を食べて20%のチップを払うと約1万円。マクドナルドでハンバーガーのセットを頼むと2,000円強。
  • 米国と日本の一人当たり平均年収の差は約2.1倍(2022年)だが、マクドナルドをベースに考えると平均物価の差は3倍以上ではないか。これでは暮らしていけないと考える国民が多くなっている模様。
  • 家賃も高く、今も上がり続けているため、ホームレスが増加中。住宅価格も新築、中古ともに高く、住宅ローン金利も高いため、家が買えない。
  • 民主党の犯罪者に対する姿勢が甘いため、犯罪が多い。特に違法薬物、性的人身売買など。
  • 移民、不法移民が多い。不法移民は国や州の援助で良いところに住んでいる。不法移民が賃金が下がる要因になっているという不満も多い。
  • LGBTQの行きすぎ。この間まで男だった人が突然自分は女だと言い出して女子更衣室を使わせろと言い出す。民主党と民主党側のアクティビストはこれを全て受け入れろと言う。これでは、親は子供を安心して学校に通わせられない。
  • ESGについては、電力のことを調べた人ならわかることだが、風力発電、太陽光発電などの代替エネルギーではまとまった電力が獲得できず、電力供給網が混乱し経済成長に支障をきたすだけで、何の役にも立たない。

 物価高について考えると、米国の1億3,220万家計のうち、年間世帯所得が10万ドル未満の家計が59.1%、12万ドル未満が67.3%を占めます(2023年)。ニューヨークでは年収10万ドル(約1,500万円)では生活できないため、大雑把に言えば、米国の家計の60~70%は生活に困難を感じていると思われます。トランプ氏に与えられた課題は実に重いのですが、これは、民主党の経済政策とFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策が失敗だったことによります。

 トランプ氏も完全無欠というわけではありません。今の民主国家の選挙はどこもそうですが、2024年米国大統領選挙も、どちらがよりましか、という選挙であったと思われます。SNSによって過去の言動、行状が全て暴露される時代ではそうなります。要するに、多くの米国国民からすると、民主党の政治が続くよりもトランプ氏のほうが「まし」ということでしょう。現在の民主国家では、「偉大な指導者」などありえないのです。「偉大な指導者」が輩出するのは、国民の知る権利が著しく制限されている専制主義国家だけでしょう。

グラフ1 米国の消費者物価指数:前年比

米国の消費者物価指数:前年比
単位:%、出所:U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICSより楽天証券作成

グラフ2 米国の政策金利

米国の政策金利
単位:%、出所:FRBより楽天証券作成

グラフ3 米国10年国債利回り

米国10年国債利回り
単位:%、日次、終値、出所:Bloomberg

グラフ4 米国の住宅ローン金利(モーゲージ金利)

米国の住宅ローン金利(モーゲージ金利)
単位:%、出所:Freddie Mac資料より楽天証券作成

グラフ5 米国:新築住宅販売価格

米国:新築住宅販売価格
単位:ドル、出所:U.S. Census Bureau and U.S. Department of Housing and Urban Development, Survey of Constructionより楽天証券作成

グラフ6 米国中古住宅販売価格:中央値

米国中古住宅販売価格:中央値
単位:ドル、月次、出所:全米不動産協会(NATIONAL ASSOCIATION OF REALTORS)資料より楽天証券作成

4.トランプ氏の政策はインフレ要因だけではない

 実はトランプ氏の政策は、インフレになる要因だけではありません。インフレ抑制法が廃止されると、気候変動対策をしなくてもよくなるので、民主党特有の様々な規制がなくなり、規制を使って利権を得てきた企業とその社員、コンサルタント、弁護士、アクティビストなどでリストラされる人たちが多くなると思われます。失業したり、転職できたとしても給料が下がるケースが出てくると思われるのです。大統領選挙でトランプ氏とハリス氏の得票数が接近していたのは、トランプ氏の政策によって民主党側に立つ人たち、民主党の政策によって様々な利権を得ている人たちの大リストラが始まることを危惧してのことと思われます。抗う側も必死なのでしょう。

 これについては、イーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)が重要な仕事を行うと期待されています。政府効率化省の成果次第で、米国全体でリストラによるデフレ要因が大きくなる可能性があります。

 加えて生成AIによるオフィスワーカーのリストラが始まっている模様です。これはセールスフォースが2024年に行ったリストラの中に、生成AIでサポート業務を効率化したことによるリストラが含まれていた模様であり、様々な業種や企業でこのタイプのリストラが始まる可能性があります。

 このように見ると、トランプ氏の政策にインフレ要因とともにデフレ要因もあるため、その政策がどのような効果があるのか、とりあえず慎重に見極める必要があります。

 トランプ氏には民主党を追い詰める「切り札」もあります。一つはジェフリー・エプスタインの顧客リストです。ジェフリー・エプスタインは悪質な性的人身売買を行った犯罪者で2019年に拘置所で死亡していますが、トランプ氏はこのジェフリー・エプスタインの顧客リストを公表すると2024年9月上旬に公約しています。この顧客リストの中に民主党支持者で大口献金者の資産家がいる可能性があります。実際に、この公約を行った後、エンタメ系の大物で性的人身売買や違法薬物取引を行った疑いのある人たちが逮捕あるいは告発されています。皆さん民主党の支持者で大口献金者と言われています。また、トランプ氏当選とともに、身に覚えのあるハリウッドの関係者や違法薬物取引を行ってきた中国人が大量出国したという情報もあります。トランプ氏は死刑を否定していないので、トランプ氏当選は犯罪者にとって極めて厳しいニュースであり、逆に一般市民からは大歓迎されているのです。

 もう一つは、バイデン政権時代の新型コロナワクチン政策の是非です。CDC(米国疾病管理予防センター)の「The Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS)」によれば、新型コロナワクチンを接種した後で何らかの症状が出た人が約100万人いて、そのうち死亡した人が約2.1万人います(因果関係が特定されていない人を含む)。VAERSは公開されているデータベースなので誰でも見ることができますが、YouTubeやツイッター(現在のX)でこの問題を取り上げるとアカウントごと削除されていました。また、ワクチン批判あるいはワクチン反対の記事もグーグル等の検索でヒットしませんでした。バイデン政権の厳しい情報統制によってこうなったと言われています。トランプ氏はワクチン懐疑派として知られるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を保健福祉省のトップに指名しており、新しい保健衛生政策とともに新型コロナワクチンの実態解明を行うと思われます。

 トランプ氏の政策は、

  • その国の国民から徴収した税金はその国の国民のために使う。
  • 低賃金労働者だけでなく、犯罪者、薬物の流入を阻止するため、移民は大幅に制限し不法移民は送還する。国境は封鎖する。
  • 規制緩和、歳出削減で自由な経済活動を進める。選択の自由を重視する。

という、規制緩和、選択の自由と、徹底的な自国中心主義、自国民最優先の政治です。これが成功して雇用が増え国民の生活水準が向上すれば、自由貿易が保護主義よりも優れているというこれまでの多くの経済学者の主張は全て覆ることになります。ちなみに、私が見るところEU(欧州連合)もトランプ氏と概ね同じ意見になっていると思われます。これは過去10年以上行ってきた寛容な移民・難民政策と、ESG、LGBTQがほぼ完全に失敗だったからです。移民・難民として流入してきた人たちの少なからぬ数の人たちが犯罪者や犯罪者の予備軍、福祉を当てにして働かない人たちだったのです。また、前述したように、ESGは何の役にもたたず、LGBTQは社会が混乱しただけでした。

5.半導体とAI半導体-AI半導体の需給ひっ迫は2025年も続こう-

 ここからは、個別セクターを見ていきます。トランプ氏の個々の業種に対する政策は不透明な部分が多く、もっと言えば、規制緩和が主と思われるため、ここではハイテクの重要セクターの現状を見ていきます。今週と来週の2回に分けます。

 AI半導体は2025年も好調で、需給ひっ迫が続くと予想されます。2024年よりは需給ひっ迫の度合いは多少和らぐと思われますが、依然として需要が供給を上回る状態が続くと予想されます。

 この理由は、生成AIを企業の情報システムに組み込む動きが2024年から始まっていますが、これが2025年に本格的に幅広い範囲の企業で始まると思われるからです。また、新しい生成AIや生成AIを組み込んだ業務用アプリケーションソフトの開発も進んでいます。

 また、セールスフォースについて前述したように、米国では生成AI由来のリストラが始まっている模様です。このような話が株式市場で出回ると米国の企業経営者は生成AIに関して後へは引けなくなります。

 トランプ新政権が進めるであろうエネルギーの規制緩和は、AI半導体と生成AIにとって、電力制約が軽くなることを意味します。朗報です。石油、天然ガスの増産に期待したいですが、まず、火力発電所の新設、増設の規制緩和が期待されるところです。

 この分野の注目銘柄は、半導体デバイスでは、エヌビディア、ブロードコム、AMD、マイクロン・テクノロジーです。

 まず、エヌビディアの注目点は「Blackwell」を中心とした業績の拡大そのものです。

 ブロードコムは推定ですがクラウドサービス大手3社(アマゾン、マイクロソフト、アルファベット)に特注型AI半導体を供給していると思われます。エヌビディアのAI半導体の需給ひっ迫が続く中、大手クラウドサービス会社の内製AI半導体が人気となっており、システムの増強が続いています。また、新たに2つの新規顧客が加わりましたが、そのうち1社がアップルである可能性があります。

 AMDのAI半導体も注目できますが、パソコン用CPUの伸びが鈍っているため、全体の業績がどうなっているのか、2024年10-12月期業績を確認したいと思います。

 マイクロン・テクノロジーはHBMで注目できますが、HBMのトップ企業ではありません。韓国企業に投資できるのであれば、HBMでトップのSKハイニックスに投資したほうがよいと思われます。

 半導体製造装置については、AI半導体向け以外のスマートフォン向け、パソコン向け、中国向けに不安があること、インテルが最先端半導体の設備投資競争から脱落したと思われることから、現在のところは投資妙味に乏しいと考えています。敢えて選択するならば、AI半導体向け比率が高いと思われるアドバンテストです。

グラフ7 世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)

世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)
単位:1,000ドル、出所:WSTSより楽天証券作成

グラフ8 TSMCの月次売上高

TSMCの月次売上高
単位:100万台湾ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ9 日本製半導体製造装置販売高(3カ月移動平均)

日本製半導体製造装置販売高(3カ月移動平均)
出所:日本半導体製造装置協会、単位:100万円、%

グラフ10 エヌビディアの四半期業績

エヌビディアの四半期業績
単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成。注:2025年1月期4Q会社予想は予想レンジの平均値

表1 エヌビディアの業績

エヌビディアの業績
株価 144.47ドル(2025年1月3日)
時価総額 3,544,283百万ドル(2025年1月3日)
発行済株数 24,774百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 24,533百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。

表2 ブロードコムの業績

ブロードコムの業績
株価(NASDAQ) 232.55ドル(2025年1月3日)
時価総額 1,088,101百万ドル(2025年1月3日)
発行済株数 4,828百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 4,679百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。

表3 ブロードコムのセグメント別売上高内訳:通期ベース

セミコンダクター・ソリューションズの売上高内訳:通期ベース

ブロードコム(セミコンダクター・ソリューションズ)の売上高内訳:通期ベース
単位:100万ドル
出所:決算電話会議より楽天証券作成

インフラストラクチャー・ソフトウェアの売上高内訳:通期ベース

ブロードコム(インフラストラクチャー・ソフトウェア)の売上高内訳:通期ベース
単位:100万ドル
出所:決算電話会議より楽天証券作成

グラフ11 DRAM大手3社の営業利益

DRAM大手3社の営業利益
単位:SKハイニックス、サムスン電子は10億ウォン、マイクロン・テクノロジーは100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成、注:マイクロンの2024年10-12月期は2024年9-11月期、以下言い換える

6.生成AIとIT-生成AIも成長途上。幅広くIT企業に注目したい-

 生成AI市場はまさに成長途上です。理由はAI半導体の項で述べた通り、2024年から生成AIを企業の情報システムに組み込む動きが始まっており、この動きが2025年には横に広がり、より一層大きな動きになると思われるからです。

 AI半導体の需要も増えると予想されるため、大手クラウドサービスの設備投資も当面は増強が続くと思われます。エネルギーの規制緩和によって電力供給が増えると、大手、準大手のクラウドサービス会社の設備投資がさらに増える要因ができると思われます。

 注目企業としては、大手クラウドサービス3社、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、クラウドサービスの準大手クラス(いわゆるティア2)であるオラクル、セールスフォース、サービスナウ、IBMなど、AIによるビッグデータ分析を使った意思決定支援システムを米軍などに供給しているパランティア・テクノロジーズなどがあります。このうち、クラウドサービス事業の高収益化が進んでいる、アマゾン、マイクロソフト、CRM(クライアント・マネジメント・システム、顧客管理システム)へのAIと生成AIへの応用を早期に進めたセールスフォース、米軍が大口顧客になりつつあるパランティア・テクノロジーズが注目されます。

 特にITはクラウドサービス、各分野のアプリケーションソフト、セキュリティなど幅が広いため、新しいヒット銘柄が出てきやすい素地があると思われます。

グラフ12 クラウドサービス大手3社のクラウドサービス売上高

クラウドサービス大手3社のクラウドサービス売上高
単位:100万ドル、出所:各社資料より楽天証券作成、注:マイクロソフトは2022年7-9月期より開示区分を変更したため、それ以前と接続しない

グラフ13 米国の大手IT設備投資動向:四半期

米国の大手IT設備投資動向:四半期
単位:100万ドル、出所:各社資料より楽天証券作成

表4 生成AI関連企業(主なもの)

生成AI関連企業(主なもの)
出所:楽天証券作成

表5 セールスフォースの業績

セールスフォースの業績
株価 332.90ドル(2025年1月3日)
時価総額 318,252百万ドル(2025年1月3日)
発行済株数 965百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 956百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
注3:会社予想は予想レンジのレンジ平均値。

表6 パランティア・テクノロジーズの業績

パランティア・テクノロジーズの業績
株価 79.89ドル(2025年1月3日)
時価総額 179,755百万ドル(2025年1月3日)
発行済株数 2,459.589百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 2,250.032百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
注3:会社予想は予想レンジの平均値。

グラフ14 パランティア・テクノロジーズの顧客属性別売上高

パランティア・テクノロジーズの顧客属性別売上高
単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ15 パランティア・テクノロジーズ:累計顧客数

パランティア・テクノロジーズ:累計顧客数
単位:件、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ16 パランティア・テクノロジーズ:顧客当たり売上高

パランティア・テクノロジーズ:顧客当たり売上高
単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

本レポートに掲載した銘柄エヌビディア(NVDA、NASDAQ)ブロードコム(AVGO、NASDAQ)アマゾン・ドット・コム(AMZN、NASDAQ)マイクロソフト(MSFT、NASDAQ)セールスフォース(CRM、NYSE)パランティア・テクノロジーズ(PLTR、NASDAQ)