2024年相場も残りわずかとなりました(本レポートは12月27日午前に執筆しています)。
例年の最終レポートでは、1年間の振り返りと翌年の大まかな見通しについて考察するというのが恒例となっています。そんなわけで今回も2024年の日経平均株価の値動きの振り返りから始めていきたいと思います。
2024年はどんな相場だった?
まずは、2024年相場のこれまでの振り返りからしていきます。
2024年12月26日(木)の日経平均終値は3万9,568円でした。前年末の終値(3万3,464円)からは6,100円ほどの上昇となっており、2024年の日経平均は大きく値を伸ばしたことになります。
ただし、それ以上に印象的なのは「値動きの荒さ」です。その様子は下の図1からも感じ取れます。
図1 日経平均(日足)の動き(2024年12月26日時点)
また、日経平均の値動きを局面ごとに区切ると、大きく4つに分けられます。
局面(1):急騰と調整
昨年から続く日本株の再評価(企業業績の伸長や構造改革の進展、脱デフレ)の動きに加え、生成AIをテーマにした銘柄への物色、そして、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)制度がスタートしたことなども追い風となり、日経平均は次々と節目の株価を上抜けしていく動きとなりました。3月に入ると初の4万円台乗せを達成し、4万1,000円台まで値を伸ばしています。
ただし、3月下旬からの日経平均は調整局面を迎えます。
図1では、4月19日までの「値幅調整」と、そこから6月下旬にかけて75日移動平均線に沿って動く「時間調整」の2段階だったことが読み取れますが、急ピッチな株価上昇による相場の過熱感や、4万円台乗せの達成感による利益確定売りをはじめ、米国の利下げ開始時期の後ずれ警戒、さらに、中東情勢の緊迫化による地政学的リスクの高まりなども市場のムードを悪化させました。
局面(2):再上昇
調整が一巡した日経平均は再び上昇基調を取り戻しました。局面(1)での日本株の買い材料に加え、米国の金融政策転換(利下げ実施)の可能性が高まったことも好材料となり、7月11日の取引時間中には4万2,426円の最高値をつけています。
局面(3):急落と落ち着き
ただし、この7月11日をピークに相場の流れが変わっていきます。
当初は利益確定売りなど、株価下落は当然の反応として受け流されていたのですが、円高の進行や米景気の悪化懸念、米国による対中国の半導体規制への警戒などによって、徐々に売りが優勢となったほか、7月末に日銀が利上げを決定したのをきっかけに、ポジションを整理する売りが加速し、それに合わせて日経平均の下げ幅も拡大していきました。
8月5日の取引時間中には3万1,156円まで下落する場面がありました。
急落した日経平均はその後、比較的早い段階で3万8,000円台まで回復したものの、そこからの上値は重たく、9月に入ってからも振れ幅の大きい値動きを辿りつつ、相場が落ち着くまでに時間をかけていくことになります。
局面(4):レンジ相場
そして、10月を迎えてからの日経平均は概ね3万8,000円から4万円の範囲内での推移が長く続くことになりました。この期間中には、国内の衆議院選挙や米大統領選挙、企業の決算シーズン、FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀会合など、相場の行方に大きな影響を与えそうなイベントが相次いでいたにも関わらず、レンジ相場が崩れることはありませんでした。
確かに方向感にかける展開ではありますが、75日移動平均線が株価のサポートとしてしっかり機能しており、チャートの形は悪くありません。
このように2024年の日経平均は、「これまでの上昇分が一気に打ち消され、ある程度株価を戻したところで次の展開を待っている」ような値動きだったと言えそうです。
トレンドレスからの脱却と52週移動平均線
こうした相場の振り返りを踏まえて、2025年の日経平均の値動きを展望していきたいと思うのですが、図1でも見てきたように、レンジ相場が続いたまま新たな年を迎えることになるため、予想するのが例年よりも難しくなっています。
そのため、2025年相場における最初のチェックポイントは、「上方向と下方向のどちらに向かおうとしているのか」を見極めることで、そのカギは週足チャートの52週移動平均線が握っています。
図2 日経平均(週足)と多重移動平均線(2024年12月26日時点)
上の図2は、日経平均の週足チャートに多重移動平均線を描き、見た目が少しカラフルになっています。
多重移動平均線とは、複数の移動平均線を描くことでトレンドの方向感や強さを探るために用いられます。強いトレンドが出ていれば、多くの移動平均線が同じ方向を向き、移動平均線の束も広がっていきます。
反対に、トレンドレスの場合は、移動平均線どうしの交差が激しく、乱雑な見た目となります。図2では、2週移動平均線から28週移動平均まで、2週間ずつ14本の移動平均線を描いています。
足元の多重移動平均線の状況を見ると、複数の移動平均線の交差が激しく、トレンドレスであると言えます。ここから株価が上昇できるかについての兆候やヒントは図2からは読み取れませんが、少なくとも、52週移動平均線がサポートとして機能することが求められます。
52週移動平均線が重要な理由ですが、現在の状況が、図2の2021年から22年にかけての場面と似ているからです。当時も高値を更新するほどの強い上昇を見せた後、52週移動平均線をサポートしながら調整局面を続けていましたが、株価が52週移動平均線を下抜けてしまうと、しばらくのあいだ下落基調となっていたことが分かります。