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著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
米国株は2025年も上昇できるか?~ 「イメージ」とのギャップに注意 ~

 今週の株式市場は、日米の金融政策イベントを通過したことによる落ち着きや、海外市場でもクリスマスで休場となるところが多く、すでに「年末相場」モードに突入した格好ですが、これまでのところ、堅調な展開が目立っています。

 日経平均株価は3万9,000円水準を挟んだ値動き、米国株市場でも、クリスマスイブに当たる24日(火)の取引(この日は短縮取引)で、ダウ工業株30種平均が4万3,000ドル、S&P500種指数が6,000p、ナスダック総合指数が2万pの節目の株価水準に乗せるなど、「閑散に売りなし」という相場格言の通り、薄商いの中で株価はしっかりした足取りをたどっている印象です。

 このまま、2024年相場のゴールを迎えそうな感じではありますが、今回のレポートでは間もなく迎える2025年の米国株市場の行方について、海外金融機関の予想をベースに考えて行きたいと思います。

金融機関の予想から見る2025年の米国株は強気?

 実際に、海外の金融機関は2025年の米国株見通しをどのように見ているのでしょうか?

 下の図1は、金融機関それぞれが予想する2025年末のS&P500終値と、12月20日終値からの騰落率をざっくりまとめたものになります。

<図1>主な海外金融機関の2025年末のS&P500の株価予想

主な海外金融機関の2025年末のS&P500の株価予想
出所:各種報道、会社公表情報などを基に作成

 図1を見ても分かる通り、おおむね2025年の米国株は上昇を見込んでいるところが多くなっています。ちなみに、個人的に20社ほどチェックしたのですが、下落の予想を確認できたのは、シュティフェル・ファイナンシャル(5,500p)とBCAリサーチ(4,450p)の2社でした。

 では、これらの予想はどのくらいの強さなのでしょうか?

<図2>S&P500の年間騰落率の推移(1958~2024年)※2024年は12月20日時点

S&P500の年間騰落率の推移(1958~2024年)※2024年は12月20日時点
出所:Bloombergデータを基に作成

 上の図2は1958年からのS&P500の年間騰落率の推移を示したものです。

 2024年は12月20日時点で25.25%の上昇となっており、このまま年末を迎えることができれば、2年連続で上昇率が20%超えとなります。

 先ほどの図1で2025年末のS&P500を7,000p台と予想する強気のウェルズ・ファーゴやドイツ銀行は、「相場の勢いがこのまま続く」と見ていることになります。

 その一方、6,500p水準で予想しているゴールドマン・サックスやJPモルガン、モルガン・スタンレーなどは、図2の表示期間(66年)の平均(9.1%)より「ちょっと強気」程度であることが分かります。

 過去において上昇率が20%超え、もしくはそれに近い状況が続いていたのは1995年から1999年のITバブルの時しかなく、また、強い株価上昇が続くことによって、過熱感や割高感との勝負の面も色濃くなってくるため、「さすがに3年続けての急ピッチな上昇はないだろう」という見方も増えそうですし、仮に、強気シナリオとなった場合には、「順当な株価上昇」なのか、それとも「バブル的な株価上昇」なのかといった議論も出てくることが想定されます。