2024年10大ニュースTOP10をアンケート集計!

 2024年は投資家にとってどんな年だったのでしょう? トウシルはこのほど、お金の専門家や個人投資家が選ぶ「2024年金融・経済10大ニュース」を決定しました。

 プロのアナリストや、投資で成功を収めた個人投資家の目には、今年1年がどのように映ったのか。株式市場に影響を与えた10大ニュースを振り返り、新年の幕開けに備えましょう。

【アンケート実施方法】トウシルが選んだ32の金融・経済ニュースの中から、「特に重大」と思うニュース1~5位の回答を得た。1位に5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点と配点し、アンケート結果を集計した。アンケート期間は12月4~11日

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3位:8月5日、日経平均4,451円安。過去最大の下げ幅「令和版ブラックマンデー」

 8月5日月曜日、日経平均株価は急落し、前週末比4,451円安の3万1,458円42銭で終えました。下落幅は過去最大、下落率は12.4%安と、歴代2位でした。

 マーケットを襲った歴史的な大暴落は「令和版ブラックマンデー」と呼ばれ、新しいNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を機に資産形成をスタートした個人投資家らに冷や水を浴びせました。

 2営業日前にあたる8月1日木曜日には975円(2.5%)安、2日も2,216円(5.8%)安と急落しており、3日間の下落幅は実に7,600円以上になります。

 この暴落の引き金になったのは、日本銀行の植田和男総裁の発言です。

 日銀は物価高や急速な円安を抑え込むため、7月31日終了の金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げる追加利上げに踏み切りました。

 この利上げは想定内と見なされ、日銀が追加利上げを発表した7月31日の日経平均株価は前日比575円高で終了しています。

株価大暴落につながった植田日銀総裁の発言とは?

 しかし、株式市場の取引が終了したあとに記者会見した植田総裁は、今後の追加利上げについて政策金利0.5%は「壁」になるとは「認識していない」と述べました。

 また、今回の利上げは実質金利が非常に低い中での「少しの調整に過ぎず」、「強いブレーキが景気などにかかるとは考えていない」と想定以上に金融引き締めに積極的なタカ派的発言をしました。

 この発言をきっかけに日経平均先物価格が急落。8月1日以降の株価の暴落につながりました。

 為替市場では7月30日終値の1ドル152円72銭から、8月5日の最安値141円70銭まで実に11円という急速な円高が進行。背景には、投機筋が低金利の円を借りて、海外の高金利通貨や高利益が見込める資産に投資する「円キャリー取引」の巻き戻しがあります。世界の株式市場は、日本発の世界同時株安に見舞われました。

「植田ショック」とも呼ばれる日本が震源地の混乱は、長年、低金利を続けてきた日本が世界中のリスク資産に資金を提供する一大供給源になっていることを証明しました。

米国の景気後退懸念で株価の暴落がさらに加速!

 さらに7月最終週に発表された米国の景気・雇用指標が軒並み悪化して米国の景気後退懸念が急速に台頭したことも暴落を加速させました。

 米国では、8月1日に発表されたISM(全米供給管理協会)の7月製造業景況指数が前月から低下し、8カ月ぶりの低水準まで落ち込んだことが判明。

 同日発表された週間の新規失業保険申請件数も11カ月ぶりの高水準に達し、失業者が増加していることが分かりました。

 翌2日金曜日に発表された米国の7月雇用統計では、非農業部門新規雇用者数が予想以上に減少。失業率も市場予想より悪い結果となり、米国株は続落しました。

 米国雇用統計の悪化を受けて、S&P500種指数も5日には3.0%急落しています。

 つまり、植田日銀総裁のタカ派発言、円キャリー取引の巻き戻し、米国の景気後退懸念という三つの要因が絡み合って起こったのが8月5日の歴史的暴落といえるでしょう。