2024年のプラチナ相場は安値水準継続
近年のプラチナ相場は、以下のグラフのとおり、1トロイオンスあたり1,000ドルを挟んだプラスマイナス250ドル程度のレンジ内で推移しています。2024年のプラチナ相場も、このレンジ内に収まりました。
図:海外プラチナ現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1974年~)
レンジ相場は、相場が上昇圧力(下に掲載の図中の赤い上向き矢印)によって形成された下値の目安と、下落圧力(青い下向き矢印)によって形成された上値の目安の間で推移している状態のことです。つまり近年のプラチナ相場は、比較的低い水準で、上昇圧力と下落圧力に挟まれ続けているのです。
下値の目安である750ドルは、リーマンショック(2008年9月)直後以降、長期視点で維持している安値水準です。上値の目安である1,250ドルは、2021年序盤にコロナショック発生後に行われた大規模な金融緩和時に一時的につけた高値水準です。
リーマンショック発生直前は2,000ドル近辺でした。この水準に比べると、近年のレンジの中心である1,000ドルはおよそ2分の1です。このため、近年のプラチナ相場は、長期視点の安値水準で推移しているといえます。
2025年のプラチナ相場を展望する上で必要なことは、現在の上昇圧力と下落圧力が何であるかを明らかにすること、そしてそれらの圧力がどう変化するのかを展望することであるといえます。筆者が考える上下の圧力は、以下のとおりです。
図:プラチナ市場を取り巻く環境(2024年)
下限を形成する上昇圧力は、短中期的には「主要国の景気楽観論」「金(ゴールド)相場の動向」など、中長期的には「フォルクスワーゲン問題関連」、上限を形成する下落圧力は、短中期的には「主要国の景気悲観論」「金(ゴールド)相場の動向」、中長期的には「フォルクスワーゲン問題関連」がもたらしていると、考えられます。
複数のテーマが同時進行していること、価格はそれらがもたらす圧力が相殺されて形成されていること、同じテーマでも正反対の圧力を生むことがあること、などに留意の上、考えていきます。