株で資産形成:景気悪化をどう乗り切るかが鍵

 株式への投資は、長期的な資産形成に不可欠です。ただし、今年8月の日経平均株価の歴史的急落とその後の急反発を見れば分かる通り、株式投資の欠点は、乱高下を繰り返すことです。

 景気が減速・悪化する時には大きく下がります。日経平均のボラティリティ(1標準偏差で変動する値幅)は20%くらいで、日経平均インデックスファンドを買って景気後退局面に当たれば20~30%くらい下げます。景気が悪化しなくても、さまざまなショックによって10~20%下げることは、よくあります。

 全財産を突っ込んで過剰なリスクを取った時、いきなり20%も値下がりしたら大変です。そうならないように、きちんとやらなければならないのが「リスク管理」です。

日経平均(2012年末=100として指数化)の動き:2012年末~2024年12月(25日)

日経平均(2012年末=100として指数化)の動き:2012年末~2024年12月(25日)
出所: QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 過去2年以上にわたり続いてきた、「(減速してきた米景気が)ソフトランディングするかハードランディングするか」の議論に、ようやく終止符が打たれつつあります。

 2025年の米景気について、景気後退に陥ることはなく緩やかな成長が続くことを予想する「ソフトランディング」がコンセンサスとなりつつあります。深刻な景気後退におちいる「ハードランディング」説は、なりを潜めています。

 景気の先行きを予想することは悪いことではありませんが、先行きの予想に依存して高いリスクを取るのは問題です。景気先行きのコンセンサス予想はしばしば外れるからです。誰も予想しないタイミングで世界景気が急に悪化することも、誰も予想しないタイミングで世界景気が急回復することも、よくあります。

 現に2020年のコロナショックは誰も予想できませんでしたし、その直後の世界景気急回復も予想できた人はほとんどいません。

 景気予想は当たらないことを前提に、いつ急に世界景気が悪化しても良いように、適切にリスク管理すべきです。米景気ソフトランディングがコンセンサスですが、流れが変わるリスクはいつでもあります。

 というと、不安があるので、今のうちにさっさと株を売ってしまおうと思う人もいるかもしれません。そこにも落とし穴があります。リスク管理とは、「常に適正なリスクを取り続けるようにする」ことです。

 過度に大きな投資リスクを取るべきでないと同時に、「リスクを取らな過ぎる」のも問題です。リスクを心配し過ぎて株を売り払った後に、世界景気が好調に推移して世界の株式が大きく上昇することもあります。

 一方、米景気がハードランディングして世界の株式が暴落する時に、ゲームオーバーになるような過剰なポジションを取ることも、ないようにしなければなりません。

 緩やかな景気拡大が長期化しても、急に景気が悪くなっても、どちらになっても問題ないように、適切なポジション管理が必要です。株価下落局面で致命的なダメージを受けず、株価上昇局面の恩恵を「人並みに」受けることができるような投資ポジションを、景気が良くても悪くても常に保有し続けるのが妥当です。