2024年10大ニュースをアンケート集計!
2024年は投資家にとってどんな1年だったのでしょう? トウシルはこのほど、お金の専門家と個人投資家が選ぶ「2024年金融・経済10大ニュース」を決定しました。
プロのアナリストや、投資で成功を収めた個人投資家の目には、今年1年がどのように映ったのか。株式市場に影響を与えた10大ニュースを振り返り、新年の幕開けに備えましょう。前回に続き、6~4位のニュースを順に見ていきます。

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6位:円安、一時1ドル=161円台に。政府・日銀、過去最大の為替介入実施
10大ニュース6位に選ばれたのは、止まらない円安でした。
外国為替市場で、ドル/円相場を動かす主な要因は日本と米国の金利の差です。金利の高い国の通貨が買われ、金利の安い通貨は売られる傾向が強くなります。
1月に1ドル=140円台だったドル/円相場は、7月に1ドル=161円台と歴史的な円安水準をつけました。日米の長期金利の金利差が拡大したことが原因です。9月には米国が利下げに転じたことで140円台まで円高が進みましたが、足元では再び150円台後半で推移しています。
行き過ぎた円安を是正するために、政府・日本銀行は大規模にドルを売って円を買う「為替介入」を行いました。4月29日から5月にかけては総額10兆円近く、7月には総額5兆5,000億円規模の円買い・ドル売り介入を行いました。
急激な円安が進むと、日本国内の輸入品の物価が上がり、国内の物価高騰に拍車がかかることになります。為替介入には、こうした懸念を和らげる効果があります。
円安トレンドが止まらない理由には、投機筋が低金利の円を借りて、海外の高金利通貨や高利益が見込める資産に投資する「円キャリー取引」が横行していることもあります。少子高齢化が進む日本という国自体の衰退も影響しているのかもしれません。
回答者のコメントは?
専門家からは、「通貨は国力」(加藤嘉一)、「日本が『大安売り』されている象徴」(窪田真之)と、止まらない円安を懸念する声が多く集まりました。田代昌之さんは、「投機筋の円キャリーの力を思い知った」とコメント。今後も為替動向を注視する状況が続きそうです。
一方、個人投資家にとって、円安は運用の追い風にもなります。「歴史的な円安によって米国株を保有している人は為替差益を享受できた。通貨分散の観点からも外国株を保有する重要性を感じた」(バンクアカデミーさん)という声もありました。
5位:日銀、マイナス金利政策解除。「金利ある世界」へ、追加利上げも
日銀は3月19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除を決めました。マイナス0.1%としていた政策金利を、0~0.1%程度に引き上げたほか、長期金利を低く抑え込むためのYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)の終了も決めました。利上げは実に17年ぶり。日銀の金融政策がこれまでの緩和から正常化に向かう大転換となり、大きな関心を集めた出来事です。
日銀は日本の中央銀行で、民間の金融機関が短期の資金を貸し借りする際の金利を上下することで、物価や景気を安定させるのが主な役割です。利上げすれば、お金を借りるコストが上がり経済活動が抑制されることになります。
日銀が利上げに踏み切ったのは、物価上昇率で目標とする2%を、安定的に達成する見通しが立ったと判断したためです。
さらに、2024年7月には1ドル=161円台まで円安が進行しました。円安は輸出品の価格高騰を通じて物価高に拍車をかけます。
そこで日銀は、7月31日の金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げる追加利上げに踏み切りました。
取引終了後の記者会見で植田和男日銀総裁が政策金利0.5%は「壁」になるとは「認識していない」と金融引き締めに積極的な発言を行いました。
この発言を受けて8月5日、日経平均株価は過去最大となる4,451円の下落幅で大暴落しました。
「植田ショック」とも呼ばれる株価の暴落や急速な円高進行を見ても、日銀の金融政策の転換が市場に多大な影響を及ぼすことが分かります。
日本株市場では、銀行株や生命保険、損害保険会社など、金利上昇が収益増加に貢献する銘柄の株価が大きく上昇しました。
日本にようやく金利のある世界が戻ってきたことは、決して悪いニュースではなく、良いニュースといっていいでしょう。
回答者のコメントは?
「長期停滞が続いたこの日本で物価と賃金の好循環が起動し始め、しかもそれに伴って日銀の金融政策が正常化に動き出したことが極めて大きな出来事だった」(愛宕伸康)と、日本の金融政策の転換をポジティブに捉える回答が目立ちました。
「今後も日銀の利上げに対するスタンスや実施ペースが株式市場や為替相場を揺さぶるでしょう」(弐億貯男さん)、「利上げは比較的多く金融銘柄を保有している私にはプラスの出来事となりました。ただ同僚が、住宅ローンが上昇し困っているという話を聞くと手放しには喜べない状況です」(カブ主優待ライダーさん)という意見もありました。