「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第61回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

今日のクイズ

 株式投資でよく「アノマリー」が話題になります。今日はアノマリーに関するクイズを出します。

 株式市場のアノマリーについての説明文【1】~【4】のうち、一つだけ誤りを含むものがあります。誤りを含む説明文はどれでしょう?

【1】アノマリーとは、経験的に観測される株式市場の「規則性」のことである。相場格言といわれるものに、アノマリーがよく含まれる。「落ちてくるナイフをつかむな(急落銘柄を買うと、さらに大きく下がることがある)」など。

【2】アノマリーとは、株式市場で繰り返し起こるパターンのことだが、なぜそうなるのか理由がはっきりしないものも多い。

【3】季節的に繰り返すことが多い株式市場の変動パターンも、アノマリーの一種である。
「セル・イン・メイ(5月に売れ:米国株は5月に天井をつけて株価が下がることが多い)」「夏枯れ(夏場に株式市場の売買高が減少して株が軟調になることが多い)」「クリスマスラリー(12月に株価が上がることが多い)」「掉尾の一振(とうびのいっしん)(12月末にかけて株価が跳ね上がること)」など。

【4】アノマリーとは、毎年、必ず繰り返す株式市場の変動パターンのことである。

「セル・イン・メイ」のフル・バージョン

「セル・イン・メイ(5月に売れ)」は、米国株に顕著に見られる季節性から、生まれた相場格言です。これは、全体の一部です。フル・バージョンは以下の通り。

「Sell in May and go away and take vacation, but remember to come back in September」(5月に売って立ち去り、夏休みをとれ。でも、9月に戻ってくることを忘れるな)

 これは、米国株の季節性から生まれた格言です。もちろん、毎年必ずそうなるというわけではありません。何か大きなイベント(リーマンショックなど)があると、それと異なる動きとなります。特に大きなイベントが無ければ、季節性からそういう動きになることが多い、ということです。

<米国S&P500株価指数の月別平均騰落率:1994年~2024年平均>

米国S&P500株価指数の月別平均騰落率:1994年~2024年平均の表
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 米国株は、けっこうこのパターンを繰り返します。上記は1994年以降の平均値ですが、1960年以降の平均をとっても同様の傾向が出ています。

 米国株の季節性は、米国経済の季節性によって引き起こされていると思います。米国経済は、クリスマス商戦のある10~12月に一番盛り上がり、1~3月は閑散期となります。4~6月からクリスマス商戦に向けて徐々に経済が盛り上がり、7~9月・10~12月にかけてクライマックスを迎えるというパターンを繰り返しています。

 GDP(国内総生産)は季節調整をした数字をみんな見るので、こうした季節性が分かりにくくなっています。しかし、米国民が肌で感じる経済は、季節調整前のものです。10~12月まで盛り上がっていた米経済が、1~3月に急にさびしくなったという実感が起こります。10~12月にかけて上昇していた米国株が1~2月に下がりやすいのは、そういう理由もあると私は考えています。

 日本株は、米国株の影響を受けるので、米国株と近い季節パターンがあります。

<日経平均株価の月別平均騰落率:1994年~2024年平均>

日経平均の月別平均騰落率:1994年~2024年平均の表
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成