2025年見通し:ARグラス市場の拡大と自動運転技術の向上による再評価に期待

現地コード 銘柄名
02382

舜宇光学科技集団

(サニー・オプティカル・テクノロジー)

株価 情報種類

66.95HKD
(12/18現在)

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 中国の光学部品大手、舜宇光学科技の2025年の業績について、BOCIはスマートフォンカメラのアップグレード期の再来や米国の取引先の市場シェア拡大、国内新エネルギー車(NEV)市場での自動運転システムの競争激化が追い風になるとみている。XR(クロスリアリティ)デバイスに関しては、2025年半ば以降、ARグラス(拡張現実メガネ)市場での新製品投入ラッシュが舜宇光学科技の再評価を後押しするとの見方だ。

 BOCIは同社について投資家が求めている情報として、家電需要(スマホを含む)の喚起につながる中国政府の財政刺激策や、端末のカメラ機能向上、米顧客のシェアの拡大、カメラ性能の向上を通じた自動運転システムの進化、XR(特にAI搭載型ARメガネ)の開発状況などを列挙。業績の回復基調を受け、市場がポジティブな見方に転じているとした。半面、懸念材料としては◇国内メーカーが海外勢を上回る成長を遂げる中での車載レンズ利益率の低下、◇ARグラスの収益貢献が2025-26年には限定的となる可能性、◇買い替え補助金制度の2025年への延長期待が空振りに終わる可能性――を挙げた。

 品目別では、携帯端末用のレンズセット(HLS)とカメラモジュール(HCM)の年初からの出荷数が前年同期比14.6%増、7.7%減。同社の通期ガイダンスはHLSが前年比5-10%増で、HCMは横ばい。スマホ需要はほぼ予想通りだが、米国の取引先の市場シェア伸長やアンドロイドのハイエンド機種需要の拡大が、HLSの出荷量の上振れに寄与した。半面、HCMの出荷数は下期に大幅減(9-11月に前年同期比28-38%減)。ハイエンド製品への戦略的シフトが影響し、平均販売価格は30-40%上昇したという。

 一方の車載用部品は2025年の成長エンジンとなる見込み。国内メーカーの多くが下期に自動運転システムに参入し、カメラ/LiDARハードウエアの導入が加速するとみられることが背景。BOCIは2025年の車載用レンズセット(VLS)出荷量に関する予想を前年比12%増から20%増に上方修正。車載用カメラモジュール(VCM)の予想売上高を前年比20%増から同30%増に上方修正した。

 XR分野ではカメラと導波路光学(ウェーブガイドオプティクス)の分野で新製品サイクルの波に乗ると予想。AI ARグラスが相次ぎ登場する2025年半ばには同社株への再評価が進むとみている。

 BOCIはスマホの高付加価値化とXRおよび車載用部品需要に関する楽観見通しを反映させる形で、2024-26年の予想EPSを4%、5%、6%増額修正。2025年予想PER(株価収益率)24倍をベースに目標株価を引き上げ(22倍から上方修正)、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、レーティング面での潜在リスク要因としては、ハイスペックスマホの需要下振れや、市場シェアの拡大の遅れ、価格競争の再度の発生、マクロ経済の下押しなどの可能性を挙げている。