「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第60回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ
クイズを作ろうとしている時に、「ホンダ・日産、経営統合を協議」のニュースが飛び込んできました。自動車産業の未来は、日本株にとって重要です。今日は、次世代自動車についてクイズを出します。
次世代エコカーとして期待される【1】~【4】について正しい説明を、【A】~【D】から選んでください。
【1】ハイブリッド車
【2】プラグインハイブリッド車
【3】EV(電気自動車)
【4】燃料電池車(水素エネルギー車)
上記【1】~【4】の説明
【A】水素を酸素と化学反応させて電気エネルギーをつくり、モーターを回して走る。
【B】動力源として、ガソリンエンジンとモーターの両方を持つ。ブレーキをかける時に発生する回生エネルギーを使って電気エネルギーをつくる。低速走行時にモーターを併用して走るため、ガソリン車より燃費が良い。
【C】家庭用コンセントなどの外部電源から充電することもできるハイブリッド車。
【D】外部電源から充電した電気エネルギーを使って、モーターを回して走る。
日本とドイツ、自動車産業の未来に不安
日本はドイツとともに「自動車王国」です。トヨタを中心に、米国・中国に加え世界中で販売を拡大してシェアを伸ばしてきました。ガソリン車・ハイブリッド車で依然として世界トップの技術力・競争力を有します。
ところが、日本もドイツも、自動車産業の先行きに大きな不安が生じています。EV(電気自動車)の販売台数で、米国テスラ(TSLA)・中国BYD(01211)にリードを許していることが不安視されています。今後、次世代自動車および自動運転で、日本やドイツが世界をリードできるか、正念場です。
トヨタ自動車(7203)は、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車の全てに注力する全方位戦略で、良い成果を出していると評価しています。ただし、高級EV・自動運転でテスラに、低価格EVで中国勢に出遅れていることが不安材料となっています。
昨年来、EV人気に陰りが出て、米国など世界中でハイブリッド車が見直される流れが続いていることが、ハイブリッド車で世界トップのトヨタに追い風です。
ただし、ハイブリッド車はガソリンを使うので、欧米では次世代自動車としては認定されていません。長期的にガソリン車からEVへ転換が進む流れは変わらないと思います。ハイブリッド車人気が続くうちに、どこまでEV・自動運転で、世界をリードできるようになるかが、鍵です。
かつて自動車生産で世界トップであった独フォルクスワーゲン(VW)の経営危機が表面化しています。EVが不振、ハイブリッド車でも優位性のないことが、同社の危機を生じています。
日産自動車(7201)の不振も、VWと同様の構造です。日産自動車は、カルロス・ゴーン氏が経営トップを務めていた時にハイブリッドに注力せずEV開発に集中した為、ハイブリッド人気復活の米国で苦戦しています。
また、EVに集中してきたにもかかわらずEV大国の中国では新興メーカーに押されて苦戦しています。EVが伸びている東南アジアでも中国勢に対抗できていません。このままでは、独VWと同様、不振が長期化するリスクがあります。
ホンダ(7267)は、ハイブリッド好調、かつアジア二輪車で稼いでいるため相対的に優位ですが、今のままではEV電池や自動運転の開発で世界をリードするのは難しいと思われます。
ホンダと日産自動車の経営統合は、両社が勝ち残るために重要なステップとなるでしょう。ただし、経営の主導権がどちらにあるのか、はっきりしないところに少し不安があります。
EVも自動運転も共同で開発すれば効率性が高まりますが、どういう勝負にするのか、何を捨てて何に集中するのか、経営の意思統合に手間取ると効果が薄れます。経営統合の議論が今後どのように進んでいくのか、慎重にウオッチしていく必要があります。